第41話 両親への道5
長らく更新出来ずに、申し訳ありませんでした。
良ければご覧ください。
「今日は色んな美味しい物食べられてよかったな、アラン。」
「そうだね、さっき食べた串焼きのせいで火傷しちゃったけどね‥‥」
「ハハハッ、急いで食べるからだよ。」
別に急いで食べた訳じゃないよ‥‥? お腹は空いてたけど、あれは熱かったんだよ。
「そうだアラン、こんなものも買ってみたんだ、良ければ一緒に楽しまないか?」
袋から取り出したのは、ピンク色や、オレンジ色、グリーンやブルーと言ったカラフルな液体が入った透明な容器。
他にも、ポーラビットのから揚げや、火傷を思い出す串焼き、ジャガイモを薄く切り揚げたポテトチップスという食べ物たち。
「どうしたの? これ。」
「美味そうだったんでな、この飲み物は大人も子供も好きなトレンという果実から絞ったジュースだ。アランはトレンを知らないよな?」
「うん、トレンってなぁに?」
「説明しよう、トレンはベルンイン王国の特産の一つで、ミルキィトレントという魔物から取ることの出来る果実なんだ、彼らは人間に協力的な生き物で、自分で雑草や枝木を排除できないのを俺達人間にやってもらうことで、報酬という形でトレンを分けてくれるんだ。」
へぇ。魔物ってみんな悪いのばかりだと思ってたけど、違うんだなぁ。
「トレンは果実事に味も色も違うのが特徴でね。専門家が言うには同じ味の物は出来ないそうだ。だからこうやって絞られたジュース達も個性がある。何個も買ってきたのは、このトレンジュースを混ぜて新しい味を作って楽しめるからなんだよ。」
「バラエティ豊富ってことなんだ?」
「そうだ、さぁ、食べよう。」
シリウスに促されるまま、ブルーのトレンジュースに口をつけてみた。
「‥‥ん‥‥?」
あれ‥‥酸っぱい‥‥? これ酸っぱい‥‥? ん‥‥?
脳裏に繰り返し出て来る、「?」
「どうした?」
「ううん‥‥美味しい‥‥の?」
「うん‥‥? 一口もらえないか?」
「あ、うん。」
シリウスに手渡して、口を付ける。
「‥‥‥‥うん、酸っぱいな。甘いと思ってたんだが。」
「ジュースだからてっきり私も甘い物だとばっかり‥‥‥‥‥‥っ!?」
再び口を付けようと思った時、気づいてしまった。
シリウスは私の飲み口と同じところに口を付けていたと言う事を。
「あっ‥‥うぅん‥‥」
シリウスは特に気にも留めていない様子、だが私は狼狽えている。
彼は気にならないんだろうか‥‥それとも私が気にしすぎ‥‥? なんで私こんなに気にしてるの‥‥?
自分の気持ちや考えがわからず、あたふたしていると追い打ちをかける様に‥‥シリウスが口を開く。
「あー‥‥すまん、配慮が足りなかったな。こっちと交換しよう。」
「えっ、いあっ、大丈夫‥‥気にしないで?」
「まぁ‥‥アランがそういうなら‥‥」
シリウスは私の異変に気付いてくれたが、あんまり気を使ってもらうのも申し訳なくて、このまま飲む事にした。
これってやっぱり、間接的に‥‥
「アラン‥‥?」
「ひゃい!?」
「‥‥顔、真っ赤だぞ‥‥?」
「‥‥‥‥ほっといて。」
「あ、あぁ‥‥ハハッ」
シリウスはニコニコしていたが、私には意地の悪い顔に見えた。
そのまま私は、半ばからかわれている状態で、トレンジュース達の味がいまいち記憶に残らないまま、その日は眠った。




