第39話 両親への道3
「たまにはこんな真面目な話も良いな。」
「‥‥私は苦手かもしれない。」
歩きながらそんな事を言う、シリウスと真面目な話をしていると、今までの私が否定されているかのような気分になるんだ。
悪い意味でも、良い意味でも。私は別に卑屈なほうじゃない‥‥と思う、それでもシリウスみたいな物事の考え方は出来なかった。
「ハハッ、さぁ、宿を取りに行こうか。」
でも、私の前を歩く彼の背中がとても大きく見えて。なんというか‥‥広いなぁって‥‥思う。
「大人2人、相部屋で。」
「はいよー。」
この宿の名前は満月亭というらしい。
カエデ村は満月がよく見えることで有名らしく、その為だけに観光で訪れる人もいるのだとか。
「お兄さんはあそこの観光協会の看板の前に居る銀髪の女性の恋人なのかい?」
「そうだ、彼女は成人したばかりでね、もう少し経ってから式をあげようと思ってるんだ。」
「ほっほー‥‥にしても‥‥美しい銀髪と青の目‥‥顔も驚くほど小さい‥‥お兄さんはとんでもない幸運の持ち主なのだろうな?」
「そうだろう? もう俺は彼女以外見れなくてね。」
カエデ村は観光地として扱われる事が多く、ここに住む人達も観光客たちを持て成そうと屋台や清掃に力を入れ、少しでも満月を楽しむ為の下ごしらえを手を抜くことなく続けているのだという。
観光収入で生計を立ててる人も多い事で有名だ。
「ほいよ、2階の角部屋だ。」
「ありがとう。」
「1つ注意しておくが、”騒ぎすぎるなよ‥‥”」
「わかってるさ。」
パンフレットなどもあるらしい、開いてみると、そこには満月をいつ見るのが最も美しく見えるのだとか、宿は満月亭! とか、色々書いてあった。
「アラン?」
ペラペラとめくっていると、シリウスが宿を取ることに成功したらしく、私の所に知らせにきてくれた。
「あ、部屋決まったの?」
「あぁ、2階の角部屋だ。」
「そっか、ありがとう、シリウス。」
「いいんだよ、所で何を熱心に見て居るんだ?」
シリウスは私の肩の所から覗き込むように、手元のパンフレットを見る。
彼に教えてあげると、そうか、と囁く様に耳元で言う。
「っ‥‥んっ‥‥何?」
「いや‥‥あんまり熱心だったんで、ちょっと悔しかっただけだよ。」
耳元で囁かれるのはくすぐったいからやめて欲しい。
あと背筋がゾクゾクっと‥‥嫌なものじゃないんだけど嫌だ。
「ここの宿は食事を提供しない代わりに、外にある屋台で物を買う時、名前を出せば安くしてもらえるんだってよ? シリウス。」
あと突然にそういうことされるのが嫌。
腹が立った私は彼に言葉を投げた。
「怒ったのか? アラン。」
「‥‥‥‥別に怒ってないし。」
わかってるくせに。
「ごめんごめん、腹が減ったから食事を買いに行こうか。もうすぐ夜だからな。」
申し訳なさそうに言うから許してあげよう。
お腹も空いてたからイライラしてたのかな。




