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私と冒険者と日常  作者: アイリス卿
王都ベルンイン編
36/47

第36話 弱い私

「そっか‥‥わかった、アランちゃん。」

「私達が言った言葉は本心で、そうなりたいと思って居る。今も変わらないよ。また時間が経ってその気になったら、来てほしい。私達はアランさんを待っているよ。」

「アランおねーちゃんまた来てくれる?」

「うん、また来るよ、またねカレンちゃん。カールさんとミューラさんも‥‥お世話になりました。」


 色んなことがあって、私には両親が居る事がわかり、会いに行く事を決めた。

 お爺ちゃんとお婆ちゃんは私とシリウスの後からついてくるようになるが、一緒に来てくれるそうだ。

 またしばらく、暖かい人達の家から離れるけど、それでもよかった。


 勝手だとは思う、お世話になっておいて、何にも恩返しを出来ていないのに、今日別れて、両親になりたいと言ってくれた2人の元から出て行くのだから。

 それでも、本当の‥‥お母さんとお父さんが居て、会えるとしったら、会いに行きたくなってしまう。

 恩を仇で返す事になっているのかもしれない、それで考えすぎて寝込んだ時もあった。

 だけど、シリウスが教えてくれた、私に関わる大切な事で、ちゃんと話せば理解をしてくれるし、送り出してくれると。


「皆さん、今日までありがとうございました。今まで経験したことのない‥‥幸せな毎日を、ありがとうございました‥‥」


 そして私は、今は返せなくても、いつか必ず‥‥暖かさをくれたこの人達に、恩を返しに来ようと思う。 返しに来るっていうのもおかしいかな‥‥? 私が返したいんだ。


「ワシらもあとから行くから、安心しなさい。」

「シリウスさん、アランをよろしくお願いします。」

「はい。命に代えても。」


 時間のかかる旅になるけれど‥‥着いて、会ったら何を話そう‥‥? 元気にしてた‥‥? 私がアランです、お母さん、お父さん‥‥? 久しぶり‥‥? 

 でもよく考えたら、私はお母さんとお父さんの顔を知らない‥‥お婆ちゃんが言うには、私はお父さんに似ているそうだ、お母さんには似てなくて、どっちかっていうとお婆ちゃんのほうに私は似ているとか。


「じゃあ、行ってくるよ、兄貴。」

「あぁ。勤めを果たせよ。」

「わかってる。行こうか、アラン。」


 考え事をしていたら、シリウスが私の手を引く。もう出発なんだね。


「行ってきます、皆さん。」

「いってらっしゃいアランちゃん、気を付けてね。」

「いってらっしゃいアランさん。」

「おねーちゃんまた来てねー!」


 立派な城門を潜り、ふと振り返って王国を見る。


「‥‥‥‥」

「どうした? アラン。」


 あのまま、カールさん達の子供になって、毎日幸せで、暖かい食事をして、柔らかいベッドで眠って‥‥朝起きて、お父さん、お母さん、カレンちゃん。おはよう。


 そんな普通の生活を望んでた。

 でも、それではただ甘えているだけなんだとも、わかってた。


「‥‥‥‥」


 必ず、どこかで、甘え続けて来たツケが戻ってくる。


「‥‥っ‥‥‥‥」


 だから私は‥‥甘えすぎてはいけないと知ってるから、離れなきゃいけないとも思ってた。


「また会えるよ、アラン。」

「うんっ‥‥」


 本当は、甘えて居たい。

 ミューラさんの作ったご飯を食べて居たい、カールさんのお仕事を手伝いたい。カレンちゃんと一緒に遊んでいたい。


「‥‥うん‥‥」


 でもダメだ。弱い私が、甘えさせようとするから。

 弱さは、私だけじゃなくて、他の人も困らせてしまうから。


「シリウス‥‥?」

「うん‥‥?」


 弱さに負けない様に、私は強くならなきゃいけない。

 

「手‥‥離さないでね。」


 だから私は、彼と一緒に両親の所に会いに行く。


「わかってる。離すつもりなんかないよ。」


 シリウスは強い人、彼の様に、私もこの旅で強くなれると思う。そう思わせてくれる。

 彼について行けば、変われると思うんだ。弱い‥‥甘えてばかりの私から。


「‥‥うん、またよろしくね、シリウス。」

「あぁ。任せておけ。」


 だから、今はさよなら、カールさん、ミューラさん、カレンちゃん。

 次に会う時は、成長した私を。受け入れてください。



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