第24話 祭りの前の
「アラン、今日さ‥‥」
「うん? なぁに? シリウス?」
カール家に泊めていただくようになってから1週間ほどが過ぎ、色々な事を手伝わさせてもらった、畑をやっているというミューラさんについて果物や野菜の収穫を手伝ったり、カールさんの仕事で必要な書類を纏めたり、書かれている物が間違って居ないか確認したり。一応読み書きができる為、カレンちゃんに字を教えてあげたり。
平和な一週間が過ぎた今日この日‥‥
「デートしないか?」
デートに誘われた。
「‥‥‥‥へっ?」
「その‥‥最近、アランは頑張ってるから、何かご褒美をあげたくなったんだ、一人で選んでもつまらないからさ、君と一緒に行きたいなと思って‥‥どうだろう?」
「‥‥えと‥‥う、うん。いいよ?」
「ありがとう、1時間後、外で待ってる。」
「う、うん‥‥わかった。」
1時間後‥‥どうしようあんまり時間がない、私は急いで貸してもらって居る部屋に行く。
「えと‥‥どうしよう‥‥」
「どうしたいの?」
「あ、セイラさん‥‥ってあれ!? セイラさん!?」
「シーっ‥‥静かに。」
部屋にはセイラさんがいつかのようにお茶を飲んでいた。
あまりにも自然だった為、気づくのが遅かった。
「えっと‥‥デートに誘われて‥‥」
「うん、シリウス君でしょ?」
「はい‥‥あの、どうしたらいいんだろう‥‥私、この前もらったこの服と‥‥旅する時に使ってた服しか持ってないから‥‥」
「ふふっ‥‥任せなさい」
すると、何処からか取り出した派手すぎず、可愛らしい衣装たちがベッドに置かれていく。
「どれがいい? あげるわ。」
「えっ‥‥あの‥‥」
「いいのっ‥‥貰って欲しいな。」
「うっ‥‥」
そんな風に言われたら‥‥頂かないと悪い気がして来て‥‥
「あの‥‥私に似合うのを選んでいただけませんか‥‥?」
「いいわ、じゃあこの白と青い花柄のワンピースと、今日は天気がいいから、日傘ね。」
日傘はまた何処からか取り出したのか、セイラさんの選んだワンピースと同じ柄を施されたものだ。
「わぁ、素敵‥‥」
「アランなら何でも似合うけれど、私はこれが一番合うと思うの、どう?」
「えと、これでお願いします!」
「うん、それじゃあ1つだけ約束して?」
「約束‥‥?」
セイラさんは私をぎゅっとすると、言葉を続けた。
「私と会った事は秘密ね‥‥?」
「あ、はい‥‥わかりました。」
「お願いね、あら、そろそろ時間になってしまうから、着替えちゃって? それじゃあね。」
「はい‥‥ありがとうございます、セイラさんっ」
セイラさんはスゥっ‥‥と消えていき、選んでくれた服だけが残った、今日はティーカップと紅茶入れを忘れなかったみたい。
そろそろ行かないと、彼を待たせてしまう。
「‥‥‥‥ど、どうかな‥‥シリウス?」
「‥‥‥‥似合ってる‥‥すごく。」
「あ、ありがとう‥‥」
「あ、あぁ‥‥じゃあ、い‥‥いこうか。」
セイラさんが選んでくれた服は、私に似合ってるみたい。
畑仕事を今日は手伝わなくていいと言われたし、カレンちゃんは今日お隣のお家に遊びに行ってる、カールさんは仕事で早々と家を出て言って居る為、残ったのが私とシリウス。アーロンさんは他にも顔を出しに行って居るから二人きりだ。
本当に今日はいい天気で、日差しが強い、日傘を貸してくれたセイラさんに感謝しよう。
「それにしても、いつそんな服を手に入れたんだ?」
「あ、これね。ミューラさんと行ったお店に、シリウスから貰った料理代の余りで‥‥勝手に使っちゃってごめんね。」
「良いんだ、君にはお世話になっているし、あれくらいじゃ少ないなと思ってたんだ。でもよく買えたな? 義姉さんの行くところ、品物は良いが値段も良いぞ‥‥」
「料理代で貰ってたお金も結構な量だったし、サービスとかおまけとか一杯してもらってたから‥‥」
「そういえば、そうだったな」
実はそんなことなくて、料理代は料理代でキッチリと使った、なので私は一切のお金を持っていなかったりする‥‥
うん‥‥? ワンピースのポケットに何か‥‥
「‥‥!!」
「どうした? アラン?」
お金が入ってる‥‥結構な額が‥‥銀貨5枚と‥‥銅貨10枚‥‥!? 1か月の料理代くらい入ってる‥‥
「ううん、なんでもないっ」
「そうか?」
セイラさんだ‥‥あんまり使う事がないようにしよう‥‥それでお返ししよう。
「ごめんねシリウス、私。服の方に使っちゃって‥‥」
「あぁそれなら気にするな、俺の方は余裕があるんだから、気持ちよく奢らせてくれ。」
「うん、わかった、ありがとう‥‥」
シリウスにはいつもお金を出してもらってる‥‥お仕事出来るようになったらちゃんと返さなきゃ‥‥いくら使ってもらったかわからないから、これからは数える様にしなきゃ。
それにしても、今日は人が多いなぁ、何かあるのだろうか?
「そろそろ祭りの時期だからか、人が多いな。」
「お祭りがあるの?」
「あぁ、ベルンイン王国の象徴で、青い目のライオンが顔を出してくれる頃なんじゃないかな、俺は一度も会った事がないからわからないけど、そろそろ何だと思うぞ。」
「へぇ、会ってみたいなぁ」
「会えたらいいな? それより‥‥」
「‥‥あっ‥‥」
逸れたくないから‥‥そう言って手を握ってくるシリウス。
心なしか、少し恥ずかしそうで‥‥私も恥ずかしくなってくる。
「‥‥‥‥」
「‥‥」
2人とも無言で手を握って、デートを続けた。




