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私と冒険者と日常  作者: アイリス卿
王都ベルンイン編
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第20話 再会Ⅱ

「ど、どうしてセイラさんがここに!? ‥‥痛っ‥‥」

「シーッ‥‥静かに。」

「あっ‥‥ごめんなさいっ‥‥」


 目をぱちぱちしても、目の前の事は現実のようで、驚き過ぎてベッドから落ちてしまった。


「あ、あの‥‥」

「貴女が私を呼んでくれたのよ‥‥アラン」

「え‥‥? あっ、ペンダント!」

「そう、命の危険があった時‥‥っていったけど、アランの強い思いが、私に届いたの。」


 セイラさんが私にくれたペンダント、これが私とセイラさんをつなげてくれた。


「‥‥あの、セイラさん、今日‥‥」

「うん、見てたわ‥‥ずっと」

「‥‥‥‥孤児院で‥‥お母さんに‥‥」

「‥‥‥‥ごめんなさいね、アラン、辛かったでしょう?」


 セイラさんは私を優しく包んでくれた、どうしてだろう‥‥シリウスやお母さんに抱きしめられた時も安心したけど、セイラさんのは‥‥なんて言うんだろうか、母のような‥‥


「あっ‥‥大丈夫です、その、少し、話しませんか?」

「えぇ、いいわ。」


 部屋にある椅子に2人とも腰かけて、向かい合う。


「さっき、カールご夫妻が‥‥私を、家族に迎え入れたいといってくださって‥‥私‥‥どうしたらいいか‥‥わからなくて。」

「えぇ‥‥」

「孤児院に帰る訳にも、オジサンの所に帰る訳にも、行かないし‥‥働くにしても‥‥よくわからないからまだ出来そうにもないし‥‥お金も、家も‥‥」

「‥‥‥‥」

「あっすみません、突然‥‥」


 セイラさんと会うのは2回目だ、突然呼び出した形になってしまっているのに、こんな話を‥‥


「いいのよ、続けて、アラン。」

「‥‥ありがとうございます。」

「確かに、今のアランには‥‥家も‥‥お金も‥‥家族っ‥‥もっ‥‥」

「セイラさん‥‥?」


 また、セイラさんは涙声になり、泣いて居た。


「あの‥‥どうして? セイラさんが泣いて‥‥」

「ごめんなさい‥‥気にしないで頂戴。」


 ハンカチで涙を拭きとり、どこからか出したティーカップにどこからか出した紅茶入れを出し、注いだ。


「あれ‥‥? 何処から‥‥」

「これは私の魔法よ。アランも飲みなさい。」

「あ、はい‥‥いい香り。」


 注がれた液体は緑色で、ハーブのような香りがして落ち着く。


「落ち着くでしょう?」

「はい、落ち着きます。」


 2人で少し黙って、お茶を楽しむ。


「それで、アランはどうしたいの?」

「‥‥家族は欲しいです。でも、甘えてばかりは嫌だから‥‥もう少し考えたいです。」

「そう‥‥あの、シリウスという男性のこと、どう思ってるの?」

「‥‥へ? シリウス?」


 突然出て来たシリウスの名前に驚き、どう思って居るのかと聞かれて困惑していると‥‥


「ふふっ‥‥貴女にはまだ早いかもね。そうだ‥‥アラン、貴女は今まで狭い世界で過ごしてきたけれど、今度は広い世界で過ごしてみたいとは思わない?」

「広い‥‥世界?」

「そう、色んな人にここに来るまで出会ってきたでしょう? そういう出会いや景色、もっと出会いたいし綺麗な景色を、見てみたくない?」

「‥‥‥‥見たいです、色んな人と出会いたいです。」

「じゃあ、それを伝えてきなさい。」


 セイラさんはそれだけ言うと、どこからか取り出した指輪を1つ‥‥


「この指輪はね、私が作ったの、精霊達とお話が出来る指輪でね。貴女にあげるわ。」

「えぇ!?」


 そう言いながら私の手を取り、小指に嵌めてしまうセイラさん。


「あれ‥‥? 嵌まっちゃった‥‥」

「ふふっ、貴女に合わせて成長するように作ったの。」

「‥‥え? えぇ?」

「‥‥これくらいしか、してあげられないわ‥‥させてほしい。受け取って、アラン。」


 真剣な、それでいて泣きそうな顔で言うセイラさん、そこまでされていて受け取らない訳にはいかない。私は、ありがたく頂くことにした。


「ありがとう、アラン。」

「いえ‥‥その、ありがとうございます。高価なものを‥‥」

「いいのよ、それにしても、貴女のペンダント良く似合って居るわ。」

「‥‥えへへ、セイラさんが付けてくださったものですから、肌身離さずつけてます。あ、でも今日‥‥このペンダントを見せたら、お母さんが‥‥」

「‥‥‥‥その‥‥」


 セイラさん何か言いかけた瞬間、扉を叩く音がした。


「アラン? 他に誰か居るのか?」

「あ、シリウス? 今ね‥‥」


 セイラさんが言おうとすると、抱きしめられて、口が塞がってしまう。


「まだ、内緒ね。アラン。」

「‥‥‥‥??」


 瞬きをしたら、目の前のセイラさんは消え、使って居たティーカップと紅茶入れがだけが残った。


「入るぞ、あぁ、お茶を飲んでいたのか‥‥すまない、邪魔をしたか?」

「あ、ううん? どうしたの?」

「あ、いや‥‥どうしてるかなと思って‥‥兄貴達はもう寝たよ。」

「そっか‥‥あ、シリウス?」

「うん?」


 まだ内緒、セイラさんが言って居た言葉を思い出して、言うのをやめた。


「どうした? アラン。」

「‥‥ううん、それより、シリウスは寝ないの?」

「ん、あぁ、もう少し飲んでからと思ってな。」


 シリウスは酔いが足りない用で、もう少し飲むとのことだ。

 お酒というのは美味しいのだろうか?


「ねぇ‥‥私も飲んでみたい。」

「‥‥‥‥いいぞ、一緒に飲みに行こうか」

「いいの‥‥?」

「いいさ。1人で飲んでも美味しくないからな。」


 今日は少し、夜更かしをしてみよう。


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