第11話 暖かさ
「おかえりアナタ~、ってあれ!! シリウス君じゃない!! それにアーロン君まで!! それにちょっとちょっと!! すんごい綺麗な子じゃない!!」
「パパおかえりぃ~!! わぁ!! キレー!!」
「ただいまお前達、紹介しよう、シリウスとアーロンの連れで、アランさんだ。」
「は、はじめましてっ‥‥アランって言います‥‥今晩は‥‥」
挨拶をしようとする瞬間、奥さんと娘さんが抱き付いてきた。
「うーん可愛い~!!」
「おねーさんキレー!!」
私があたふたしていると離れてくれた、ごめんなさいと言われていえいえと返すと‥‥
「あ~ん!! やっぱりもう一回!!」
「も~いっか~い!」
またもみくちゃにされた。
「こらこら‥‥長旅で疲れてるんだぞ、その辺にしておきなさい。」
「あらごめんなさい、綺麗で可愛くてまぁもう‥‥テンション上がっちゃったわ‥‥」
「上がっちゃった~!」
すごく元気な奥さんと娘さんだった、カールさんは二人の扱いに馴れているお父さんで、すぐになだめてくれた。
なんだかあったかい家庭という言葉が良く似合う家族。胸がほっこりする。
「義姉さん、久しぶり、カレンも元気にしてたか?」
「久しぶりねぇ~、ちょっとは男前になったんじゃないの??」
「シリウス兄ちゃん久しぶり~!」
シリウスは娘さんのカレンちゃんを抱き上げてニコニコしていた。
「アーロン君は相変わらず?」
「うん、相変わらずだよ‥‥このバカにいつも苦労させられてる、最近は大変だったんだぜぇ‥‥?」
「あははっ、まぁゆっくりしていきなさいよ~、カレン? そのくらいにして、お風呂を掃除してきて頂戴?」
「は~い!」
お母さんの言う事をしっかり聞くカレンちゃんは、お願いされたお風呂掃除をしに元気に走っていった。
アーロンさんはカールさんの奥さんと苦労話をしているみたいだ。
「色々積る話もあるけど、まずは最初に、自己紹介をしなきゃね、私はミューラ・ディキソン、カールの妻です、今お風呂掃除に行っちゃったけど、あの子が私達の娘、カレンよ。」
カールさんの奥さんはミューラさんと言うらしい、良い名前だなぁ。
カレンちゃんも良い名前、いいお母さんとお父さんの間に生まれたからか、聞き分けがよくて、可愛らしい。
「お風呂の前にご飯にしましょうか、今日は何がいい?」
「うーん、君の料理は何でも美味しいから、何でもいいよ。」
「もう‥‥そればっかり、アーロン君とシリウス君は何食べたい?」
「俺も兄貴と同じー」
「同じくっ!」
全くこの男どもは‥‥そう言ってニコニコしながら私にも聞いてきてくれた。
「アランちゃんは何が食べたい?」
「私‥‥ハンバーグ食べたいです。あ、お料理なら少しはお手伝いできるのでさせてくださいっ!」
「あら、いい子ね、それじゃあお願いしようかしら。まずはお買い物に行きましょうかっ!」
何から何までとんとん拍子で進んでいく、気持ちのいい感じだ。
「それじゃあ私達は買い物に行ってくるから、カレーン! お買い物行くよー!」
「じゃあ俺が風呂掃除をしておこう、君達が帰ってくるまで少し飲んでいるよ。」
「えぇ、そうして居て頂戴。カーレーン! 置いてくよー?」
「待ってー!!」
小走りで戻ってくるカレンちゃんは可愛くて、途中で転びそうになってしまい、私が受け止めた。
小柄なカレンちゃんはとても軽くて、柔らかくていい匂いがした。
「おねーさん良いにおーいっ」
「わわわっ‥‥お風呂入ってないからあんまり嗅がないでっ‥‥カレンちゃんのほうがいい匂いだよー?」
「そんなことないよー! おねーさん! お名前は何て言うのー! わたしはカレン! 5歳です!」
「ご丁寧にありがとっ、私はアラン、15歳ですっ、よろしくねっ」
私とカレンちゃんが話していると、カールご夫妻とシリウスにアーロンさんは、ニコニコしながらこちらを見ていた、ちょっと恥ずかしい。
でもなんだか嬉しかった、受け入れてもらえたこともあるけど、何より暖かさを感じるから。
「なんだこの可愛い生き物達は‥‥」
「シリウス、アーロン、ミューラ、いい子だな、アランさんは‥‥」
「そうねぇ、いい子ね、アランちゃんっ」
それからお買い物をしに出掛けた私達は、沢山の食材を買い込む。
その際に、カレンちゃんが手を繋ぎたいと言ってくれたので繋いでいると。
「お、ミューラさん、今日はカレンちゃんみたいな可愛いお嬢さん連れてるねぇ? どうしたんだい?」
「あら、うちの二人目よっ!」
「うっそだろ!! そんならそれじゃあサービスしちゃるけんね!!」
「わーい!! おじさんありがとー!」
「良いってことよ、今日はベッピンが3人も来てくれたんだぜ!? 大儲けさぁー!!」
とかなんとかで、いつの間にか私はカールさんたちの娘になってしまった。
突然だったけど嬉しい、胸に温かさが広がっていく。
「あらどうしましょう、お金を使わずにいつの間にか両手が食材で埋まっちゃったわね?」
「ですねぇっ‥‥カレンちゃんのお陰だよ? ありがとっ」
「んふふー!」
両手で荷物を抱えて、カール家に戻ると、3人の男達が盛り上がって居た。
「カレンちゃんも可愛いが、アランちゃんもいいね!」
「だよなぁ!? 俺の娘も最高に可愛いが、アランさんも可愛いなぁ!!」
「ハハハッ!! アランなら当然さぁ!!」
とても恥ずかしくなった。




