第10話 カール家にご招待
「お、見えて来たな、」
「へぇ、またデカくなったんだな。」
「‥‥あれ? こんな所だったっけ‥‥?」
夜を超えて、目的のベルンイン王国、私の故郷についた。
最初に生まれて来た感想の中で、一番大きいのは、なんかすごい。これだった。
「アーロン、お前は兄貴の所に顔を出すんだろ?」
「あぁ、そのつもりだ、その後は宿でも取るつもりだが、お前達はどうするんだ?」
私が口を開けてポカーンとしていると、いつの間にかこの後の予定が決まったらしく、とりあえず中に入ることになった。
大きな城門は、私達の入国を歓迎しているかのような、重厚さに似合わない雰囲気を感じさせる。
ベルンイン王国の国旗が緩やかな風になびき、国の象徴とされた青い目のライオンは凛として見える。
「一先ずは俺達もシリウスの兄貴に会いに行こう、個人的にアランちゃんを紹介したいな。」
「うん、行く、シリウスのお兄さんに会ってみたいっ」
「あぁ、それよりアーロン、個人的にとはどういうことだ?」
シリウスがアーロンさんの胸倉を掴んで、アーロンさんが少しバツの悪そうな顔をして困って居た、シリウスは真剣な顔というか‥‥神妙な顔で何かを言っている。
2人の事は置いておいて、私は先に立派な門を潜ろうとした‥‥その時、声を掛けられた。
「こんにちは綺麗なお嬢さん、入国許可証は持っているのかい?」
「へっ‥‥? 許可証??」
目をパチクリさせていると、いつの間にか戻って来た2人が声を掛けて来た武器を持った人に気さくに話掛け始めた。
「兄貴、久しぶり、今日はここの警備なんだな。」
「お久し振りですね、ご無沙汰してます。」
「なんだ、お前達の連れか? こんな綺麗な子を1人で歩かせるな馬鹿どもが。」
どうやら、この人がシリウスのお兄さんみたいだ、よく見ると兜の隙間からシリウスに良く似た目が見える。
優しそうで、しっかりしている雰囲気を感じる。
「あ、あのっ‥‥」
「あぁ、済まない、名前を聞かせてくれるかな? 私はそこの愚弟の兄、カール・ディキソンだ。」
「あ、はい、私は、アランって言います‥‥弟さんのシリウスには大変だった所を助けてもらったんです‥‥」
兜を脱いで、自己紹介をしてくれたシリウスのお兄さんであるカールさん、シリウスと顔はよく似ているけれど雰囲気が全く違って緊張してしまう。
シリウスは優しそうな雰囲気だが、カールさんは厳しそうな雰囲気だ。
「ご丁寧にありがとう、愚弟とアーロンの連れなら、許可証は要らないな。こちらで作っておく。ようこそベルンイン王国へ。」
「あ、はい、ありがとうございますっ」
「うっ‥‥弟よ‥‥一体お前はどこで‥‥」
「どうした兄貴‥‥?」
お礼を言って今度こそ立派な門を潜ることが出来た、城門の先には色んな人達が荷物を運んだり、和気あいあいと話して居たり、歌を歌って居たり、踊って居る人が一杯居た。
賑やかで活気のある良い所だ、私はこんな良い所で育って居たんだなと感じた。
「まさか兄貴‥‥ヤラれたな? あの笑顔に‥‥」
「‥‥弟よ‥‥お前もか‥‥? さてはアーロンもだな‥‥?」
「‥‥当然ですよ、コロっといっちまいました‥‥」
私が街並みを見て感動しているのを尻目に、男達は腕組をしながらウンウンと頷いたり目を瞑ったりしている。何をしているのだろう? 気にしてはいけないようなそんな気がしたから、放っておくことにした。
「あの笑顔は反則だな‥‥娘の今日一番の笑顔より可愛いと感じてしまったぞ‥‥」
「兄貴の子供も可愛いんだがな‥‥アランは、別格さ‥‥」
「うぅむ‥‥カールさんとこの娘さんも‥‥可愛いんですけどねぇ‥‥」
そんなに時間は立っていないけど、やっぱりあの3人は何かを話し込んで居る、私の故郷ではあるけど、あんまり3人だけで話をしないで欲しいな‥‥見ず知らずの村や町に寄った時と同じくらい、ここは初めてに感じるから少し心細い、そこで私は3人に話しかけることにした。
「皆さん、何をそんなに話しているんですか‥‥?」
「あ、いや。すまない、今夜は何処に泊まるつもりなんだい? アランさん。」
「まだ考えてないですね‥‥シリウスやアーロンさんと同じところに泊まりたいと思ってるんですけど‥‥」
私がその一言を言った瞬間、ピキッと何かが割れるような音がした。
「‥‥おいお前達、どういうことだ?」
「‥‥アラン‥‥君は少し、言葉を間違えたと思うよ‥‥? あぁ兄貴、そんな腕捩じりあげないでっ‥‥あぁ!!」
「アランちゃん‥‥もう少し言い方があったんじゃ‥‥おぅふ‥‥そこはそれ以上曲がらなっ‥‥あぁっ!!」
私の一言が原因で、カールさんに締め上げられているアーロンさんとシリウス。何かまずい事を言ったのだろうか‥‥不安になって、聞いてみることにした。
「あの‥‥私何か変なことでも言いましたか‥‥?」
「ううん、アランさんは気にしなくていいよ、ちょっとこの二人にお仕置きをしないといけないと思っただけなんだ、怖がらせてごめんね、それよりも君が良ければ家に来るかい? 意外と広くてね、妻と娘と私の3人じゃ使い切れない部屋があるんだ。どうか遠慮はしないで欲しい、このバカ2人も家に招待するから、君もおいで。」
どうやら私の一言が原因で、シリウスとアーロンさんはお仕置きされている訳では無さそうだ、ホッと胸を撫でおろし、カールさんのお言葉に甘えることにした。
「あ、あの迷惑でなければ、お邪魔してもいいですか?」
「いいよ、寧ろ来てもらいたいね、娘も妻も喜ぶ、そろそろ私も上がりなんだ、案内するよ」
「あっ‥‥あにきっ‥‥そろそろ‥‥あぁっ!!」
「カールさん‥‥俺もう‥‥あぁっ!!」
今晩の泊まる所を確保できた私が喜んでいると、2人の男の喘ぎ声が聞こえて来た。
カールさんのお家には娘さんと奥さんが居ると言う、きっと可愛らしい娘さんで、綺麗な奥さんなんだろうな。楽しみだ。




