第9話 旅の道中Ⅱ
ほのぼの‥‥?
「そういえば、アランちゃんは一旦の所、王国の孤児院に顔を出すつもりなんだよな? それならついでに玉には一人で買い物でもしてきたらどうだ? 金の事なら心配するなよ、俺もシリウスもぶっちゃけ少し有名でな、割と稼いでたりするんだわ。」
「あぁ、それがいいな、アラン、今までたくさん我慢してきたし馴れない旅で疲れただろう? 故郷についたら少し休んで行こうか」
「でも‥‥ホントに良いの? 私、2人と違って料理しかしてないから‥‥旅にしてもほとんどシリウスの背中に居たようなものだし‥‥」
実際の所、シリウスにおぶってもらっている時間がかなり長かった、悪いと思いつつ、少しだけ甘えてた、歩き馴れてないのもあったし、何より体力がない私には、獣道や足場の悪い所を歩いていくにはキツ過ぎる。
いつもおぶってもらっているから、私よりも体力も多ければ経験している物事の多さも違うシリウスでもさすがに大変だったに違いない、せめてもの恩返しとして、得意な料理を毎日、気を抜かずに丁寧に作った。
「聞き捨てならない言葉が多数聞こえた気がするんだが、まぁこの際はいいだろう、シリウスは見ての通り頑丈だし体力馬鹿だ。ぞんぶんに、上手く使えばアランちゃんの為になるよ」
「そうそう‥‥体力には自信が‥‥おい待て、誰が体力馬鹿だと?」
「お前以外に誰が居る? 大体なんでも自分の体力を基準に行動するような馬鹿はここにお前しか居ねぇだろうが‥‥」
「アハハッ‥‥2人とも仲が良いね?」
アーロンさんが私達と一緒に旅をするようになって1週間ほどが過ぎた、その間、私はアーロンさんととても仲良くなったと思ってる。
敬語は要らないよという彼の親切心が、仲良くなる為の手助けをしてくれたんだと思う。
気さくで良い人なんだけど‥‥ちょっと頭に血が昇ると大変なんだ、あと少し口が悪いと思う時もあるけど、本人は悪気があってやってる訳じゃないから、彼の個性の1つなんだと今は思ってる。
「後1日も歩けば王国に着くしさっきも言ったけど、俺達、割とホントに有名だから、それなりに金もあるし仕事もある、アランちゃんが3人ぐらい居ても不自由ない生活をさせてあげることぐらいなんて事はないんだよ。だから遠慮なんかしないでくれよ、アランちゃんのワガママ、出会って間もないけど言って欲しいんだ、俺は。」
「あぁ、アーロンの言う通りでな、アランはそんな風に感じないかもしれないが、意外とやることはしっかりやってるんだよ俺達。だから王国に着くまで後1日しかないけど、よく考えておいてほしいな。」
「‥‥うん、わかった。ありがとう、アーロンさん、シリウス。」
気にすんなって、そういってアーロンさんはニコニコしながら私の少し先を歩いていく。
シリウスは、アランはワガママをもっと言ってもいいんだよ、そういってアーロンさんの後に続いていく。
「私‥‥こういう時どうしたらいいんだろう、シリウスには結構甘えてる、でもアーロンさんやシリウスが言うワガママってどう言ったら良いんだろう‥‥?」
ワガママって、どういうのなんだろう、甘える事? シリウスには甘えている自覚はある、どうしても歩くのが大変な時は、おんぶをして欲しいと言うのだけど、普通なら嫌がる人が多いと思う、それなのにシリウスは、いいですとも!! そう言って軽々と私を背中に乗せるんだ。
最初は頑張って起きて居られるんだけど、次第に眠くなっていってしまう、彼の背中は広くて、温かい、それに少しだけ感じるシリウスの汗の匂いが私を安心させるのだ。
だからって、いつでもお願いする訳じゃないんだよ? 結構頑張ってギリギリまで我慢するけど、やっぱり歩き馴れてないし‥‥すぐ疲れちゃうから。
「おーいアラン、置いてくぞー」
「アランちゃん、置いて行ったりしないから安心してゆっくり歩いておいでー」
「あっ、はーい! 今行きまーす!」
そんな事を考えて居たら、少し距離が開いて居た、私は二人の声にハッとして、小走りで彼らに追いついた。
ほのぼーの!




