梨沙ちゃん 1
ここは虹の岬公園。
ブランコや滑り台とお砂場といった色鮮やかな遊具のとりまきには花壇があり、可憐なスイートピーが咲き乱れています。
ここでは子供や老人、スーツ姿の人、大きな犬を連れたお姉さんといった老若男女が賑やかに入り乱れていました。
その賑やかな公園の片隅でただ一人、木製のベンチにポツンと腰掛けている女の子が居ました。
頭の高い位置で二つに結ばれた柔らかな栗色の髪、ピンクの星柄のパーカにジーンズを合わせた活発そうな女の子です。
その女の子名前は梨沙ちゃんと言います。
梨沙ちゃんはその快活そうな見た目とは裏腹に、肩をガックリと落とし、頭を垂れてため息を吐いていました。
「はーあ、可愛くなりたいな。」
梨沙ちゃんは健太君という男の子に恋をしていました。
健太君とは幼稚園の頃からクラスが同じで小学校に入学した今も同じクラスでした。
二人はとても仲が良く、周りが二人は恋人同士なのではないかと思うくらい、いつも一緒でした。
そんなある日、いつもの様に二人が教室で遊んでいると、クラス一意地悪な男の子が言いました。
「なあ、お前らっていつも一緒にいるよな。」
「お前ら実は付き合ってるんじゃないのか?」
そう言って男の子は意地汚い顔でニヤリと片方の口の端を上げました。
これを聞いた梨沙ちゃんは顔を真っ赤にして黙り込んでしまいました。
一方健太君は眉間にシワを寄せ、怒ったような口調で言いました。
「僕は梨沙のことなんか好きじゃないよ。」
「だって梨沙は可愛くないし、男の子みたいにうるさいじゃないか。」
これを聞いた梨沙ちゃんは今にも泣き出しそうなのを堪えて、真っ赤な殊更紅くそめて、さらに深く俯いてしまいました。
その様子にさすがの意地悪な男の子もたじろいで、
「うっ何だよ、俺のせいじゃないからな。」と言ってその場から逃げ出してしまいました。
それからというもの、二人は気まずくなり、梨沙ちゃんは人生で初めて一人だけで小学校から帰宅路をあるくことなりました。
そして家に着くなり、ランドセルを自分の部屋に放り投げて、慌てて家を飛び出して来たのでした。公園。
ブランコや滑り台とお砂場といった色鮮やかな遊具のとりまきには花壇があり、可憐なスイートピーが咲き乱れています。
ここでは子供や老人、スーツ姿の人、大きな犬を連れたお姉さんといった老若男女が賑やかに入り乱れていました。
その賑やかな公園の片隅でただ一人、
木製のベンチにポツンと腰掛けている女の子が居ました。
頭の高い位置で二つに結ばれた柔らかな栗色の髪、ピンクの星柄のパーカにジーンズを合わせた活発そうな女の子です。
その女の子名前は梨沙ちゃんと言います。
梨沙ちゃんはその快活そうな見た目とは裏腹に、肩をガックリと落とし、頭を垂れてため息を吐いていました。
「はーあ、可愛くなりたいな。」
梨沙ちゃんは健太君という男の子に恋をしていました。
健太君とは幼稚園の頃からクラスが同じで小学校に入学した今も同じクラスでした。
二人はとても仲が良く、周りが二人は恋人同士なのではないかと思うくらい、いつも一緒でした。
そんなある日、いつもの様に二人が教室で遊んでいると、クラス一意地悪な男の子が言いました。
「なあ、お前らっていつも一緒にいるよな。」
「お前ら実は付き合ってるんじゃないのか?」
そう言って男の子は意地汚い顔でニヤリと片方の口の端を上げました。
これを聞いた梨沙ちゃんは顔を真っ赤にして黙り込んでしまいました。
一方健太君は眉間にシワを寄せ、怒ったような口調で言いました。
「僕は梨沙のことなんか好きじゃないよ。」
「だって梨沙は可愛くないし、男の子みたいにうるさいじゃないか。」
これを聞いた梨沙ちゃんは今にも泣き出しそうなのを堪えて、真っ赤な殊更紅くそめて、さらに深く俯いてしまいました。
その様子にさすがの意地悪な男の子もたじろいで、
「うっ何だよ、俺のせいじゃないからな。」と言ってその場から逃げ出してしまいました。
それからというもの、二人は気まずくなり、梨沙ちゃんは人生で初めて一人だけで小学校から帰宅路をあるくことなりました。
そして家に着くなり、ランドセルを自分の部屋に放り投げて、慌てて家を飛び出して来たのでした。
しばらく当てもなく道を歩き、無意識の内にこの公園のベンチに辿り着いていました。
ベンチに座ってからもう2時間も経っていました。
ここでようやく、梨沙ちゃんはあることに気が付きました。
「あっ、お母さんに黙って出てきちゃった。」
これは大変、きっとママがお家で心配していることでしょう。
梨沙ちゃんはやっとこ重い腰を上げて家に帰ることを決めました。
ところが帰り道を歩いてる内、梨沙ちゃん知らない通りに出ていることに気づきました。
「あれ?ここはどこかな…」