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story No.15

今日は早めに4時に家に帰った。

愛美はまだいなかった。

一人になると、朝のことを思い出す。

藤崎君からのメールは全て消した。

ケータイのアドレス帳を開き、藤崎君の連絡先を見つめた。

削除ボタンを押すと、涙が溢れた。


私が送ったメールの返信が来る前に、メアドを変えた。

着信拒否もした。

徹底的にやらないと、気持ちが負けてしまいそうだった。

これでもう藤崎君と連絡することはない。

そう思うとまた涙が溢れた。

今日は思う存分泣こう。

リビングのソファに顔をうずめながら、

そう思った。




どれくらい経っただろう。

気がつくと、時計は8時を指していた。

ソファにもたれ掛かれながら寝ていたらしい。

愛美はもう帰って来たらしく、

キッチンからはいい匂いがした。

「起きた?目真っ赤よ。大丈夫?」

『…うん』

「よし、目洗っといで。今日はごちそうよ」

テーブルの上をみると

からあげ、スパゲッティ、ローストビーフなど、一貫性はないが私の好物ばかりが並べてあった。

『うわー、美味しそう!』

急いで目を洗い、イスに座った。


どれも最高に美味しいし、愛美との話もおおいに盛り上がった。

『大丈夫、いつも通り大声で笑えるじゃない。愛美の話がこんなにも楽しく感じるじゃない』

そう思えば、元気が出てきた。




片付けが終わり、二人でテレビを見ている時だった。

「梨子、優さまからメール来た」

『いつメアドゲットしたのよ?』

「泊まった時♪」

『あらっ、いやらしい女ねぇ』

二人でクスクス笑った。

『で、内容は?』

「…藤崎君のこと。急にどうしたんだ?って」

『あー、週刊紙見ろって送っといて』

「いいの?ほんとに何も言わなくて」

『うん』

「分かった」




今日は週刊紙が発売される日だ。

見出は

『恭ピー本命は鈴城杏里!』

と大きく書いてあった。

私が話したことそのままが書いてあった。

そして、藤崎のドラマは視聴率が徐々に上がり始めたと書いてあった。

『これで良かったんだ』

そう思った。




出勤すると、部長が嬉しそうに歩み寄ってきた。

「白石、お前がこの前言ってたメンズ用の日焼け止めとリップクリーム、韓国の会社が、製品化を前向きに検討してる。今すぐ企画書をまとめなさい」

『ほんとですか!?分かりました!』

「ビッグチャンスだ!頼むぞ」

恋に破れた私は仕事に打ち込んだ。




帰宅すると10時だった。

「おかえりー。遅かったね」

『ビッグチャンスつかんだの!』

今日のことを話した。

「すごいじゃない!お祝いしよ!あたしビール買って来る」

『いいね!飲も飲も。私チューハイね』

「分かってる。じゃ、行ってくる」


少しするとインターホンが鳴った。

愛美だと思い、確認もせずドアを開けた。

「梨子ちゃん!」

強引にドアを引っ張られ、いきなり抱きしめられた。

『ふっ、藤崎君!?』

「ずっと会いたかった」

そう言ってはなれると

「あの記事なんだよ!」

と言った。

『何って、そのままよ。藤崎君と鈴城杏里をくっつけたの』

「ふざけんな!」

『ちょっと、大きい声出さないでよ』

中に入って話をすることにした。

「俺が好きなのは梨子ちゃんだよ。なのに、急にに別れようとかメール来て、連絡も取れなくなるなんて…勝手すぎるよ」

『…ごめん』

「俺は今でも梨子ちゃんのこと好きだよ。でも梨子ちゃんは好きじゃないなら、もうこんなことしない。直接梨子ちゃんの気持ち聞きたくて来たんだ」


好きだよ…

そう言いたかった。

でも、ドラマの視聴率は徐々に上がり始めたという記事を思い出すと素直には言えなかった。

『…藤崎君、全然会ってくれないし、記者に追いかけられて。何か、もういいやって思えちゃって。アイドルと付き合うのがこんなに疲れるなんて思ってなかった』

「…俺が一般人だったら良かったのか?」

『えっ?』

「Kiss-jでもなく、アイドルでもなく、その辺にいる藤崎恭介だったら今でも付き合ってたのか?」

『どーだろ。結局はアイドルって肩書きに惹かれてたのかもしれない…』

「…そっか。そうなのか。梨子ちゃんは俺を好きだったんじゃなくて、アイドルとしての俺が好きだったのか…」

何も言えなかった。

そんなんじゃない!

藤崎恭介の全てが愛しい…

本心は言えなかった。


「俺、浮かれてた。ごめん。別れよう。

…さようなら」

そう言って部屋を出ていった。


『待って』

そう言えたらどんなに楽だっただろう。

がっかりした藤崎君の後ろ姿に

ただ、涙を流すことしか出来ない自分が

歯痒かった。




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