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story No.14

出勤中、マンションのロータリーに銀髪の男がいた。

「アイドルと恋愛なんてやめたら?」

すれ違い様に言ってきた。

『えっ?』

振り向くと、男は近づいてきた。

「疲れるだけでしょ?記者に追いかけられて、会えなくて」

『あなたたちのせいよ』

「俺らがいなくても、会えると思うけど?こそこそ密会しないで、堂々と熱愛宣言すりゃいいのに」

『それが出来たら楽よ』

「藤崎はモテるよ。一般人のお前なんてストレス発散のおもちゃでしかないんだよ」

『何も知らないくせに適当なこと言わないで!』

そのまま通りすぎた。

しかし、後ろから

「アイドル追い続けてる俺の方がよっぽど分かってる!アイドルと一般人は無理なんだよ!」

『…』

無視して行こうとした。

「藤崎が鈴城杏里の部屋に入ってくとこ、写真撮ったんだわ」

『えっ?』

男は近づいてきて、私に一枚の写真と名刺を渡した。

その写真はちょうど鈴城杏里が部屋から出てきて、ドアを開けているところだった。

外には、見覚えのある防止を被った藤崎君だった。

「二人は密会してた。昨日の夜11時頃」

『昨日の11時…』

私がちょうど電話した時だった。

あのとき、二人は鈴城杏里の部屋にいた。

『そんな…』

「これでもう分かっただろ?お前はおもちゃだって」

『そんなこと、あり得ません。もう行きます』

平常心を装いつつ、内心ひどく動揺していた。

まさか本当に藤崎君が二股なんて…

渡された名刺には「安藤 直」と書いてあった。


やっぱり、鈴城杏里の方が藤崎君にふさわしいのか…


次の日の朝。

いつものように待ち伏せしている記者の前で止まった。

『あの、』

記者たちがカメラと録音機を私の前でセットし、静まりかえった。


『私が藤崎恭介と付き合っているという記事ですが……全部ウソです』

記者たちがざわめいた。

『私と藤崎君はただの友達で、藤崎君の彼女は鈴城杏里さんです』

「では、どうしてすぐにそう言わなかったのですか?」記者の一人が尋ねた。

『私は藤崎君が鈴城さんと付き合っているのを知っていながら、藤崎君に片想いしていました。鈴城さんへの嫉妬心から、なかなか言い出せませんでした。すみません』

そう言うと、

「何だよ。時間の無駄かよ…」

そう言って記者たちは帰って行った。

最後までポツリと残っていたのは銀髪の男だった。

「とうとう終止符か」

『…もういいの』

男は背を向けて帰って行った。


私の後ろには愛美が立っていた。

気づかなかったが、一部始終を見ていたようだ。

涙目で駆けてきて

「梨子、どういうことよ?恭ピーと別れるの!?」と言った。

『そう。記者に追われて疲れちゃったし、会えないから冷めちゃったみたい』

軽く笑いながら言った。

「あんなに好きだったじゃない!」

『もういいの…』

「良くないよ!さっきの記者にきちんと言えば良かったのに!あたしが恭ピーの彼女だって!」

『愛美…。ありがとう。でも、ほんとにいいの。考えて出した結果だから』

そう言ってケータイを出し、新規メールを作成した。

「別れよう」

送信ボタンを押すの、少し戸惑った。


いろいろ思い出した。

初めてあった日。

ごはん食べた日。

告白された日。

付き合った日。

『藤崎君、好き。大好き。ごめんね…』

送信ボタンを押した。

涙がこぼれるのを必死にこらえた。



           つづく。

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