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story No.11

『もう、何なのよ!じれったい!他に言うことって何よ!…何なのよ』


藤崎君に相談したくて、メールをしたが

今日から3日間大阪に行くそうだ。

こんなときに会えないなんて…


答えはでないまま月曜なった。

愛美とは相変わらず連絡が取れず、会社で見かけても目すら合わせてくれなかった。

その時、同僚の雪子が持ってきた雑誌を見て、目を疑った。

その記事には

『Kiss-j恭ピーおうちデート!相手は一般人!』

との見出しだった。藤崎君の隣に写っているのは、モザイクがかかっていたが明らかに私だった。

「恭ピー、彼女いるんだ。ファン減るかもねー。まぁ、梨子はそんなの興味ないよね?」

雪子は言った。

『えっ、うん…』

ファンが減る?私のせいで…

最近の私、何やっても上手くいかない。

思い詰めていた。

愛美…会いたいよ。



家に帰ると愛美との写真が目に入った。

愛美の料理美味しかった。

会社の愚痴も聞いてくれた。

何よりも私を心配してくれる家族的存在だった。

あんな言い方…

『愛美、ごめんね。ありがとう…』

口からこぼれた言葉は心の声だった。

…ありがとう?ありがとう!これだ!!

愛美に言わなくてはいけなかった言葉は謝罪でも好意の言葉でもなく、感謝の言葉だった。

すぐに愛美に電話をすると、繋がった 。

「…もしもし?」

『愛美!あのね、あのね、あんなひどいこと言ってごめんね。愛美がいなくなって分かった。私、愛美にこんなに支えてもらってたんだって…』

「梨子…」

『愛美、ありがとう。ごめんなさい。だからお願い、戻ってきて!』

「梨子」

ドアが開く音がした。

愛美だった。

ケータイを耳から離し、愛美に抱きついた。

「あたしもごめんね。こんな子どもじみたことして心配かけて」

『愛美…』


仲直りした。もう大丈夫。

愛美となら、どんなことも乗り越えられる。

そう思った。



落ち着いてから、愛美に雑誌のことを話した。

愛美はカバンからその雑誌を取り出した。

「アイドルに熱愛疑惑でると、一気に人気落ちることもあるからね…」

『私、kiss-jを壊すことなんて出来ないよ』

「でも、恭ピー好きなんでしょ?」

『…うん』

「じゃ、梨子が乗り越えるしかないじゃん」

『そんな勇気ないよ…』

「大丈夫!恭ピー信じて」

その時電話が鳴った。恭ピーからだった。

「雑誌見た。すぐに電話したかったんだけど、仕事入ってて出来なかった。ごめん。愛美ちゃんとは仲直りした?」

『うん。もうすっかり仲良し!それより、どうしよう…』

「梨子ちゃんは何も心配しなくていいよ。俺が守るから」

『でも…』

「大丈夫!外出するときは、記者に気をつけてくれれば」

『分かった。私、藤崎君信じてる!』

「任せろ!」

『じゃ、仕事頑張ってね』

「ありがと。おやすみ」


「ふー、なんかラブラブね~!うらやましっ」

『何よ、梨子も優さまの家泊まったくせに』

「あっ、あれはお姉さんもいたし。事故よ事故!でも、優さまの家に泊まったなんて…もー幸せ。死んでもいいわー!!」

愛美はいつもの愛美だった。

藤崎君を信じよう。

きっと、守ってくれる。

そう思うと気持ちも少し楽になった。


          

         つづく。

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