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精霊達の箱庭  作者: ヒヨコの小説家
3章

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第四十五話 領主達の苦悩

 物資が足りない…。

 今ある物資では避難してくる村民を迎えるだけの居所が無い…。

 街を統べる領主は、空を仰ぐ。


 無いなら…取りに行くしか無いのだ。

 冒険者達を護衛、兵士達の一部を森の警戒に充てながら。必要な物資を、森周辺の村を解体してでも。


 食べる物が無ければ飢える、飢えれば理性は薄れる。

 住む場所が無ければ人間性は失われていく、失われれば荒む。

 未来が無ければ活力は消えていく、消えていけば難民になる。


 彼等に衣食住と仕事を用意せねば、この街にはスラムが出来るのだ。

 そうなれば倫理は崩れ去る。人が人で無くなったかの様に互いを攻撃し始める。



 早く手を打たねばならない。今なら聖騎士も街に居る。

 領主達は手をこまねく理由も時間も無いのだ、期限はもうすぐそこまで来ているのだから。


 我々が人間である為に、人間として生活する為に、これは必要な事なのだ。



 領主の要請によって聖騎士主導の下、兵を集めて編成する。必要であれば動ける村民達を連れて行くのだ。


 物資を積む空の馬車を用意する。逃げ遅れた人が居れば乗せる為に、可能な限り。


 時間が無い。次のオークの侵攻までどれだけの猶予があるか分からない。急げ、急ぐのだ。


 これ以上の後退はあってはならない。


 これ以上後退したら、我々は人で無くなり、逃げ場も失い、獣に成り下がる。



 聖騎士達は自らの責務に忠実である。彼等は聖人である。聖人が人々に呼び掛ければそれが必要な事であると分かる。


 聖騎士の責任は重い。パニックと絶望を抑え、明日の為に言葉を発さなければならない。


 聖騎士の荷は重い。もし何かを間違えて更なる混乱が広がれば、物資すら回収出来なくなり、人の尊厳や生命までもが危険にさらされる。

 もはや人一人が背負う重さでは無い。


 だが、成し遂げるのだ、成し遂げなければならないのだ。我々には精霊教と聖女様と剣聖様の教え、そして精霊様の加護がある。


 我々こそが、人類の最後の砦なのだから。



 未来の為という免罪符を掲げて、人々が安寧を求めて作った物を破壊しに行く軍団が街を離れてそれぞれの方向に進む。


 彼等の顔に明るさは無い。だが希望を捨ててはいけない。

 絶対に、我々の援軍は地の大陸から来るのだから。


 我々が耐えれば事態は好転する。未来だけを見てやり通すのだ。



 聖人に先導されて、一団は進む。


 途中で避難する人々に会い、説明し、説得して。

より大きな一団となって進む。

 戦えない者や立ち上がれない者達は護られながら街へ向かう。



 村の一部が破壊されていく。必要な物資の為に。今までの生活が音を立てて崩れていく。


 昨日までの平穏はもう帰って来ないのだと分かる。

 だが手を止めている暇は無い。この瞬間も、多くの人がその命を賭けて村を守ってくれている。


 泣くのは明日で良い。明日泣く為に今頑張るのだ。


 村人も兵士も、作り上げた家を解体し家具を持ち出す。

 リレーの様に渡されて、馬車に積み込まれていく。


 やがて村は村で無くなった。取り残された人、大切な物、食糧。全てチェックしてから馬車は出発する。

 いつ帰れるか分からない。小さな故郷に後ろ足で土を掛けながら。


 やりきったのだ…これで明日が迎えられる。

 暗かった顔は汗と安堵に汚れている。


 帰ったら皆で泣こう。そしてまた頑張り始めるのだ。

 彼等は元々水の大陸から逃れた避難民です。たった3年でもう難民では無くなっていました。


 立ち直り方は既に知っています。

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