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クトゥルフ神話  作者: ニャルラトホテプ
2章 前進

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第四十話 剣聖の魂

 精霊は…たった一人、間に合った土の精霊は剣聖の魂を連れて行く。帰るべき場所へ。


 魂になった剣聖はご機嫌だった。

 "どうせ死ぬところだったのだ、最期の最期に良いものが見れたし、役目は果たしただろう"と。


 このおじさんは何を言ってるんだか…精霊は呆れた。魂は若いままなのか、それとも身体が老いた様に見えただけなのか。



 逃げれば良かったじゃ無いか。別に。

 兵士達と戦えば普通に勝てただろうに。


 "犠牲を見るのはもう懲り懲りだ。それに、身体がもう保たなかったんだよ。"

 "しかし、あのオークの戦士を見たか?!私のランスの"二連撃"を軽傷で済ませたぞ?!"


 元気よく喋るなぁ…このおじさん…精霊はただただ聴いていた。

 途中でふと気になった。何故オークキングを見逃したの?そのまま当てれば良かったじゃないか。


 "んー…私にも良くわからんのだ。ただ何と無く子供に見えたからだな。私は子供は死んでも殺さんよ"


 また変な事を…どこが子供に見えたんだか…。


 …聖女のとこに一旦寄ろうか?少し気の毒になって聞いてみた。


 "魂になってから何かをしたいなどとは考えておらんよ。私が化けて出たり、未練を残して彷徨ってみろ、アレの顔がどうなるか…"


 確かに想像したくもないね。


 "…ありがとうな、最期に癒しを授けてくれて"


 ただただ忙しかっただけだよ。結局大した助けにはなれなかったし。あんな馬鹿デカい魔力使われたら近くに居たら気付くよ。


 "そうか…そうか……"


 "やはり会いに行くのは絶対ダメだな、アレの泣き顔を見たら未練が残る。剣聖がモンスターになど。笑い話にもならんでは無いか"


 …結局僕達は聖女の泣き声や愚痴を聞く羽目になるんだろうなぁ…そう考えるとこんな元気なおじさん道連れにしても良い気がするんだよなぁ…。

 精霊は本心では無い事を胸の内に秘めた。


 精霊は元気なおじさんを連れて飛ぶ。

 空はいつも通り澄んでいた。


 大丈夫かな、あの島。おじさん居ないと…。


 "大丈夫だろ。あの島にも精霊様達は居るし"


 おじさん、どうやって気付いたの?びっくりして聞いてみた。


 "悪戯好きな悪ガキ共が住み着いておるからな"


 本当に、勘やら何やら鋭いおじさんだなぁ。


 まあ…おじさんが言うならきっと大丈夫かも知れない。


 このおじさんは剣聖様なんだから…。


 "そんな事より、あのオーク、動きも良いが勘も鋭いぞ!?すぐに意図を理解してあそこまで伸びるとは!"


 …おじさん。僕の物思いするのを邪魔しないでよ。

 本当に元気なおじさんなんだから…。


 結局、土の精霊は到着するまで剣聖の話に付き合ってあげたのだった。

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