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精霊達の箱庭  作者: ヒヨコの小説家
2章 前進

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第三十話 フィーシの暴走

 フィーシは段々頭が冴えてきて、もっと気にするべき点がある事に気付いた。

 ティアはレオ君の傷を治していた。


 ティアは僕が手で抑えたら、抜け出しては来なかった。

 そもそも、精霊が扉から入ってきたところなんて見た事が無い。何でも通り抜けるからだ。


 マギ先生は、僕の手の平に先生の手の平を押し当てていた。

 段々集中した様子で、何かをしようとしていた。


 ティアが魔力のあるものを通り抜けられないなら、"周囲"も通り抜けない筈だ。つまり、精霊はかなり不自由な動きをする筈だ。


 精霊は…魔力の濃いものか人間を通り抜けられない。と考えるのが普通だ。


 そして先生がしようとしていた事が、僕の中の魔力を動かす行為なら。濃い魔力は薄い魔力では干渉出来ない…もしくはしづらい可能性がある。


 ティアはレオ君の傷を治していた…どうやったんだろう?レオ君は治す時痛そうにしてなかった…。


 精霊も魔術も魔法も不思議で仕方がない。


 フィーシは眠れないまま、ごちゃごちゃに色々な事を考え続けてしまった。

 消える魔術に消えない魔法。床の熱の冷め方。精霊、魔力、魔力そうさ。


 何かヒントがあれば…何かヒントがあれば進む気がするのに、全然頭に出てこない。


 マギ先生は…手から火も石も出していた。多分正確には手の平から少し離れた場所…かな。

 僕は自分の手を眺めて、魔力の出す穴みたいなものがあるのか見てみた。


 いや、無い。仮にあるのなら手の平を合わせる必要なんて無いんじゃ無いか?先生は指先をその部分に当てれば良い。

 それに、先生は火を滑らせていた。手から離れるにつれ不安定になった様子だったが、手の上では安定していた。


 魔力は身体のどこからでも出せる?それとも、身体から一定の距離までなら好きに使える?もしくは、そうさに範囲内や範囲外があるのかな。


 結局どれだけ考えても憶測や推測の域を出ない事ばかりだ。

 分かった事は、僕が先生を好きな事。魔術は消えてしまい魔法はなかなか消えない事。ティアには、僕を通り抜けれない理由がある事。

 おそらく魔力に濃い、薄いがある事…。


 …一番の問題である魔力そうさが分からない。

 皆何を動かしているんだ…?


 フィーシはもう一度、瞑想を始めた。何度失敗しても良いから、ヒントを得られそうな事を始めなきゃ気が済まなかった。


 目を閉じ…自分の身体の奥に石を放るイメージをした。

 波が立つイメージが…出来なかった。


 もっと重い石をイメージした。

 ダメだ…なんか違う気がする…。


 もういいや、月でも落とそう。

 これなら歪むイメージが出来そうだ。


 僕は自分の中に空に輝く月をイメージして、それを奥に叩き込んだ。


 僕は吐いた。頭がグラグラする。手足が痺れ、呼吸がズレる。

 何かが間違ってる気がする…。


 汚れた床と服を見て、服を脱いで綺麗な面で床を拭く。

 やっちゃった…お母さん達にバレない様に洗おう…。


 そっと部屋の扉を開け、水場で桶に水を静かに張る。

 叱られない様に…出来るだけ…。

 冷たい水に指がびっくりするが、無視して服を洗っていく。

 汚れた部分を軽く擦ってみたり、水ですすいだりして綺麗にしていく。


 水は濁っていた。吐いたものだけじゃ無くて、他の汚れも水に混ざったのだろう…。


 静かに桶の水を捨てて、また水を注ぎ桶を綺麗にしていく。何回かしてから、綺麗になった服の水を絞った。


 水だって不思議だ、色々なものに吸われたり混ざったり、形が変わったり。


 魔力が水に例えられるのは、こういうところなのかな。と僕は思いながら服を干し、自分の部屋に戻って新しい服を着てベッドに寝転んだ。

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