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精霊達の箱庭  作者: ヒヨコの小説家
1章 大きな過ち、小さな一歩

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第三話 愚鈍なオーク

 前話のオーク視点です。

 "ハラガ…ヘッダナァ…"

 何度目か分からない呟きを、オークは口にした。

 今年は森の栄養が少なく、食料が減ったらしい。飢えさえ凌げればなんでも良い…だが、餌も取れず戦いも下手な自分は群れにとって穀潰しに他ならない。


 追い出されてしまったが、どの道群れに居ても腹一杯食える事は無かっただろう…。平原や草原に行ってもゴブリンや兎はほとんど捕まらないだろう…でも行くしかない。他に選択肢など無いのだから…。


 森を抜けてしばらく歩く…やはり兎やゴブリンはこの巨体の所為でどこかに隠れてしまっているのだろう。探せども影も形も無い。


 食べるものは見つからないのに変なものは見つける…いつも通りだ…。

 木と蔓の様なもので作られた囲い…左右を見渡しても切れ目などない。

 ところどころ鈍く輝く玉みたいなものがあり、触れると小さく音が鳴った…。


 オークはその場に座り込み考えた…。囲いがあるなら中に弱い生き物がいるのでは?囲いの出入り口さえ塞げば中にいる者達を腹一杯食べれるのでは?と。


 幸い自分は、オークにしては手先が器用だった…音を鳴らさぬ様に注意しながら目の前の囲いの一部を解体していった。

 "ヨシ…" オークは自分の身体が通れるだけのスペースを開け、弾む様な気持ちで囲いの中に入った。


 最悪だ…。しばらく行ったら囲いの内側に更に囲いがある。内側の囲いを壊せば穴が2つ…自分一人では塞ぎ切れないし、囲いを静かに直す事も…。


 なんだかバカバカしくなり、その場で草葉の香りに包まれながら眠った。


 耳障りな音が聞こえた気がした。甲高い声だ。ゴブリンか?

 近付いてくる声と足音に目を覚まし、身体を揺すり起き上がる。

 獲物が近付いてきているなら、動かずじっとしていれば良いのだと叱られる光景が脳裏をよぎった。


 声の主を探すと、囲いの近くにゴブリンより大きな…何かが居た。

 なんだこいつらは?疑問もそこそこに歩み寄っていく。囲いの向こう側の個体は叫んで逃げ出したが、もう目の前にいる個体は動かずに目を合わせてくる。


 観察していると、その個体は木の枝のようなものを胸辺りに投げ付けてきた。そして足元に走り出してきた。

 手で掴み、持ち上げてみると怯えた様な目があった。

 "獲物は掴まえたらすぐ殺せ"何度言われたか分からない言葉通りに、地面に何度か叩き付けていると囲いから音が鳴り始めた。


 手元の個体より大きく、何か武器のようなものを持った一群を一瞥すると。自分の住処への帰路についたのだった…。


 久しぶりに狩りが成功した、また明日もあそこに行こう。森に着いてそう決心したオークは、自分が空腹な事を思い出し手に持った餌を食べ始めた。


 柔らかくて、美味しいお腹は狩りの成功者の特権だ…。滅多にありつけないご馳走様に喉を鳴らしながら、餌に齧り付いた。


 うまい…うまい…!程よく効いた塩味と歯を跳ね返す様な弾力の皮膚と筋肉、歯応えにアクセントを加える骨、溢れ出した中身まで特別うまい。

 自分の腹を満たし、命を繋ぐ為だけに生まれてきた餌に、オークは深く感謝しながら貪った。


 頭まで全て平らげ、小川で喉を潤したオークは、昨日見つけたばかりの秘密の寝床で眠りにつく…。

 明日食べるご馳走様に想いを馳せながら…。

 自分一人の力で獲った餌を食べれて幸せそうですね。私もお腹が空いてきました。

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