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精霊達の箱庭  作者: ヒヨコの小説家
2章 前進

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第二十六話 魔術の師匠

 魔力についての練習方法を教えてくれようとするお姉さんに、僕はコクコクっと首を縦に振り。お姉さんの動作に注目し始めた。


魔術師:「まず、目を閉じて深呼吸…自分を自分で見つめる感覚で身体全体に意識を向けるの…。そして自分の一番深い部分に、重い石を落とすイメージをする。」お姉さんが一呼吸おいた。


魔術師:「水溜まりに石を落とした時みたいに、雫が広がり波が立つイメージを波が収まるまで、深いところから指先。指先から波が返ってきて深いところへ…と繰り返しイメージする。」


 お姉さんが目を開けて、"大切なのはイメージだよ"と付け加えた。

魔術師:「自分の中に波が広がるイメージが、いつしか本当に魔力を動き出させる。そしてその魔力の動きが自覚出来たら、少しずつ小さな石で小さな波を起こして…」


 フィーシは聴きながら、試し始めていた。

 でも、中々上手くいかない。まず身体全体に意識を向けようとしても、周りの音、肌の痒み、風のくすぐり…。逆にどんどん身体以外に意識が向いてる気がする。


 魔術師は、目の前で努力している子供を見ながら静かにしていた。自分の師匠も努力を見守る時こんな気持ちだったのかなと、少し感傷に浸りながら。


 私の師匠は…厳しかったな…。出来ないと怒り、箒で叩く。痛みは少ないが心に響いた。

 "魔術は危険だ。お前には魔力はあるが、魔力を操る技術がまだまだ足りない。"何度も聞いた師匠の言葉だ。


 その通りだと、今ならよく分かる。魔術は簡単に様々なものを傷付けてしまう。感情に任せて力を振るい、火傷した事だってある。

 あの時師匠は大慌てで水を作り、私の腕を冷やしてくれた。"大丈夫だ、大丈夫だからな。"と何度も何度も冷たい水を作り、腕を冷やし続けてくれた。


 腕の火傷の痕を服の上からさすっていると、少年が目を開けた。綺麗な翠の瞳が落ち込んでいる。

 どうやら目の前の天才君は、操作までは天才君じゃ無いらしい。早い人はあっという間に感覚を掴む。


魔術師:「大丈夫だよ。これは瞑想っていう基礎にして最大の魔術の練習方法だから。 苦手な人も得意な人も毎日何度も何度も練習して、魔力を感じていく。いつか自分の魔力と他の魔力の境界線が分かるようになるよ」


 時間が掛かっても良いのだ。その間に魔術やその危険性を知り、自分を知り、コントロールしていくのも魔力操作の一環なのだから。


 魔術でどんな事が出来るか、折角だから見せてあげた。指先で灯した火を、手の平の上で動かしていく。

 自分の魔力の輪郭上なら、魔術は動かせる。

 ゆっくり動かしたり、早く動かしたり、少し大きくしてみたりして、子供に見せてあげた。


 そしてちょっと大きくなった火を指先から外に移動させていくと、離れる度に不安定になり消えた。

 

 自分の魔力の輪郭から離れると、魔力の操作や魔術の維持が困難になるのだ。


 次に石を手の平に作り出し、今度は地面に放ると。魔術で作られた石はしばらく残り、やはり消えていった。


 子供は興味深気に観察した後、また瞑想を始めた。

 私も瞑想を始めた。ゆっくりと息をして、意識を深く沈める。この子に、魔術をきちんと教えなければならない。意思を呼吸と共に身体に取り込んでいく。

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