第二十三話 友達と魔術
フィーシはレオ君と初めて会った夜、眠れずに居た。
今晩は友達のティアがどこかに行っている。ずっと一緒という訳にはいかない。ティアにもやる事があるからだ。
フィーシが眠れなかった理由は、人の死だ。どうしてもどこか遠い場所に起こる様なものと感じていた。
3年前の水の大陸から逃げ出す時も間近で見た訳でも無く、ティアとの話でも現実感は無かった。
ウルスス君が死に、ティアが連れて来て話し、レオ君が来て話し…泣いた。
今まで遠かった死が、急に身近に迫ってきていて僕は怖くなったのだ。
なんでティアは昨夜、ウルスス君を急に連れて来たのだろうか。
レオ君は冒険する戦士になりたいみたいだけど、僕はどんな人になりたいだろうか。
頭にふわふわと色々な事が浮かび消えていくと、朝が来る前には眠っていた。
次の日の朝、僕の顔を朝日が眩しく照らし始め、僕は日を嫌がって布団を被った。
誰かが扉を叩く音が聞こえた…静かにして欲しかった。
しばらく経つと僕の部屋の扉が開き、レオ君が起こしに来た。
まだ眠い目でレオ君を見ると、昨日より断然顔色が良くなっていた。良かった…と僕はほっとした。
レオ君はテンションが高かった。村に冒険者パーティーが来て滞在しているらしい…。
レオ君程興味の無い僕は、布団に包まれる…事は無く部屋から連れ出された。
お母さんが微笑みながら朝食のパンと家の鍵を渡してきて、"いってらっしゃい"と送り出してくれた。"いってきます"以前いつ言ったか分からない言葉をお母さんに返した。
レオ君に引かれるままに冒険者達の家に歩いて行く、僕はパンを齧りながらついて行った。
冒険者の家には人だかりが出来ていて人気だ。今日は一日村に居るらしく、冒険に興味のある子供や街なんかの様子を尋ねてる大人達が居る。
戦士っぽい身体の大きな男性は街の話をしている。それより小柄な男性は昨日のオークの話を。弓使いの女性は冒険の話をしているみたいだ。
レオ君に連れられて弓使いの女性のとこに行くと、そのまま冒険の話を聞いた。
何を倒しただとか。何を食べたとか。こんな場所があったとか。そんな話だった。
レオ君も皆も目をキラキラさせて聞いていたが、正直僕はあまり興味を持てなかった。冒険をしたら誰かが死んだりするし、色々な場所から怒られてる僕達人間に大した冒険が出来るとも思えなかったから…。
後でレオ君と話す事になるだろうし、一応話を聞きながら辺りを見渡していると。
一人でのんびりしてる女性が居た。話をするでも聞くでも無く、何かに集中しては休むを繰り返していた。
僕は熱中しているレオ君から離れて、その女性の元に足を向けた。
魔術師:「ふぅ…。 …ん?冒険とか街の話なら向こうでしてくれるよ〜」女性は近付いてきた僕に優しく教えてくれた。
フィーシ:「あっちは良いや〜。ところでお姉さんは何してるの?」
僕は一人でお姉さんと話し始めた。
魔術師:「ん〜。私あんまり知らない人と話すの苦手だし、のんびり練習してるの。」
お姉さんは指先に火を灯してみせた。
フィーシ「すごい!お姉さん魔法が使えるの?!」
僕は驚き、声を上げた。お姉さんの周りには精霊は居ないのにどうやって…。
僕の声に何人かこちらを振り返ったが、お姉さんが首を横に振るとまた話に集中し始めた。
魔術師:「魔法じゃ無くて、魔術だよ〜」
僕がよく分からない顔をしていると続けて教えてくれた。
魔術師:「魔法っていうのは精霊が周囲や自分の魔力を使って起こすの。魔術は自分の力だけで起こすんだよ。 だから魔術ならこの島でも普通に使えるんだよ」




