第十三話 精霊に好かれた子供③
ティアは泣き止まないし、レオ君と自室に戻って他の話をする事にした。レオ君はまだまだ色々聞きたそうにしていたが。
フィーシ:「レオ君はどんな冒険がしたいの?」
レオ君は一瞬言い淀んでから、答えてくれた。
レオ:「知らない場所を沢山見たいな…。臆病だし力もあまり強く無いけど、ウルススと同じで戦士になって人助けしたい。」
僕はレオと対面で話を聞いていた。
レオ:「モンスターをやっつけたり、精霊様に会ってみたり…。あと、エルフにも会ってみたい」
ティアが何か言いたげだが、そのまま聞く事にした。
レオ:「水の精霊様達が居た水の大陸って…どんなとこだったのかな…。人間が色々した所為なのか、水が多いくらいの違いしか分からなかったし…。」
レオがゆっくりと話していると、ティアが目の前に来た。
ティアが体当たりをしてきた辺りでレオ君の手を握った。
ティア:「精霊様に会いたいとか、エルフに会いたいとか、そんなの無理に決まってるじゃない。 精霊様をレオ君は見えないし、エルフは人間が嫌いよ?!」
僕は"空気読むのか読まないのかどっちかにしてよ"という目をティアに向けたが、意図は伝わらなかったようだ。
ティア:「あんた達人間が水の大陸をめちゃくちゃにしたから、水の精霊様達は大激怒。水龍様まで怒って仕返しに行ったくらいよ?!」
レオは、凄く申し訳無さそうな顔になりながら頷いた。
レオ:「水龍様って…水の精霊様達の中で一番偉い…あの龍様?」
ティアは、その場でふわふわしながら答えた。
ティア:「"あの"ってのが何か分からないけど、多分その水龍様よ」
レオ:「それにフィーシと一緒なら、精霊様達に会う事が出来るんじゃ無いか…?」
ウルスス君の話をして、レオ君も距離感がかなり近付いたみたいだなぁと僕は感じた。
ティア:「竜様くらいならもしかしたら…だけど龍様は忙しいから無理ね」レオ君は首を傾げた。
ティアは言葉にしてみて違和感を覚えたようだ。
ティア:「そういえば区別が付かない呼称よね。竜と龍って」
ティア:「簡単に言えば、一番強くて一番偉い精霊様と、その精霊様から生まれた上位の精霊様ね」
レオ:「人間に仕返しをしたのって?」
レオ君は恐る恐る聞いた。
ティア:「一番偉い精霊様」
レオ君の顔色は一気に悪くなった。
フィーシ:「ティア、普通に楽しいお話を続けるくらいで良いじゃん…。わざわざそんな…」言い掛けたところでティアは気付いたみたいだ。
ティア:「いや…だって…軽々しく精霊様に会いたいとか…言うし…ほら……。 ごめんなさい…。」
ティアは小さくなった。いや光が弱くなった。
全然気が付かなかったが、もう日が傾いていた。家の玄関の扉が開き、お母さんが帰って来た。
放心したままのレオ君をそのままに、お母さんに"おかえりなさい"とその場で声を掛けた。
お母さん:「ごめんなさいねー遅くなって……」
自室のドアが開き、手を繋いだままの僕と放心状態のレオ君を見て、お母さんは固まった。
固まる二人と、小さくなった精霊様。僕はどうしたら良いんだろうと少し考え、眠くなってきたなぁと思考を放棄した。
我に返ったお母さんはレオ君の手を優しく引き、レオ君の代わりにお母さんの手が僕に繋がった。
小さくなった精霊様が見えたみたいだ。何かを諦めた様な顔をしながら、2人共玄関まで連れて行かれた。
玄関まで行くと、レオ君のお母さんらしき人が立っていて、レオ君を抱きしめた。
"また明日ね〜ありがとう〜"と言いつつ僕がレオ君に手を振ると、レオ君はようやく自分の意志で動いて手を振り返してくれた。
レオ:「また明日な〜 今日はありがとうな〜」
本当に"ありがとう"で合ってるのか分からないまま、僕達は別れた。




