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忘れられた約束
途中で頓挫したものや、本当に思いつきで書いてしまったものをここに並べる。ごく短く特に意味もないものだけが積み上がっていく予定。
彼女は大きなスプーンで、カレーをすこし掬う。そのまま口に運ぶと、チキンの旨味とルーの馨香が調和していた。
少し背伸びしたランチ。彼女は椅子の背にかるく靠れたバッグに目をやり、ちょっと荒っぽく水を呷ってやった。柑橘の酸っぱい風味に思わず嚬めてしまう。
眺めていても、スマホのヴァイブレーションが働くことはなかった。トーク画面には固定された時間だけがある、言葉は時間が経つにつれて、期待から緊張、疑問から詰問へ、困惑から不満に変移したというのに。留保された別れの一言だけが、再送信のアイコンを伴って、徒労感を漂わせている。
おおよそ五百文字以内と決めて、制限しながら書くため、意識が変わって面白い。