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The Emulator - 旧約 ザ・エミュレータ -  作者: Co.2gbiyek
5. グローヴ財団記念学園
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5.2 ランクA

 サクラは住居リージョンに移行した後もやはりヴィノのままだった。シンタロウはエミュレータ間を移動したタイミングでサクラが人間に変換されないだろうかと少し期待していた。ノア・バーンズが言うにはティア3検証リージョンのヴィノとティア3住居リージョンの人間では性能差がありすぎて、そのまま移行してもサクラは人間として機能しないという。


 エミュレータとヴィノについてはサリリサの専門であり、サリリサはティア2でその二つの領域にまたがる最も著名な研究者なので実現方法を聞いてみるといい、そうノア・バーンズが言っていた。シンタロウは早くサリリサに会いに行きたかった。


 試験を受け終えたシンタロウは、学園のアテンダーから学園に関する簡単な説明を受け、割り振られたクラスとその自席に案内されていた。


「ENAUのリージョンから来たのってあなたでしょ?」


 シンタロウに話しかけてきたのは、同じクラスのオリーブ色の髪を顎先の長さでそろえたショートボブの女性と、同じ髪の色をした短髪の男性だった。二人とも珍しい髪の色をしている。このリージョンでは普通なのだろうか。


 ENAU(European and North Africa Union)は西大陸と北アフリカの経済連合でUCL(United Capitalism and Liberal)と中革連(中央共産改革連合) と同様の組織体だ。それぞれがエミュレータを保持し、独自に運用している。ENAUはUCLと親交が深く、組織体間のエミュレータでインターコネクタが敷設されていた。


 シンタロウたちはENAUの住居リージョンから来たことになっていた。それはノア・バーンズが配慮してくれていたことだった。シンタロウたちとUCLー1の人間のカルチャーギャップが発生してもそれほど不自然にならないようにシンタロウたちの出身をUCLとは別のENAUという組織体が管理するエミュレータの住居リージョンから来たことにしてくれていたのだった。


「私はカミラ・ピニャ・マルティン、こっちはクレト・ニエト・メディナ。こっちでは結構珍しい名前かも。二人ともこの大陸のずっと南にルーツがあるからね。あなた名前は?」


 紹介されたクレトがよろしくな、とシンタロウに握手を求めて挨拶をする。シンタロウの名前を聞いてカミラは続ける。


「あなたも珍しい名前の響きね。ENAUではよくあるの? リージョンを越えてきた人、初めて生で見たわ。ね、クレトあなたもそうでしょ?」


 もちろんとクレトが答える。そして、シンタロウの名前から極東の国にルーツがあるのだろと聞く。クレトはゲームに登場するサムライの一人にシンタロウという名前を持つキャラクターがいるので知っていた。他にもゲームの話をしているのでクレトはゲームが好きなようだ。


「それにしてもその犬はどうした? ペットも学園に連れて来てんの? 」


 クレトがグエンのポインタである体重3キロの小さな黒い犬を指さす。


「僕は犬じゃないです。グエンと言います。シンタロウさん共々宜しくお願いしますね。」


 そういうグエンを見てクレトは目を丸くした。


「わざわざポインタを犬のスキンにしてんのかよ。」


 そう言って、クレトがのけぞって笑って、カミラの肩を叩き同意を求めた。カミラは反応に困っているようだった。


 ノア・バーンズからポインタは高価なサービスだと聞いている。リモート実体であり、基本的にボディーガードや身の回りの世話をする執事などに使うことを想定したサービスだ。こんな小さな犬ではポインタが想定している役割は担うことができない。



 ただ、リモート実体の人間型のボディーはバリエーションが少なく、ヴィノよりもずっとクオリティが低いため、連れ歩くとリモート実体であることが一目でわかり非常に目立つ。そのため、最近の流行としてペットのような小さな動物にポインタを割り当て子息・子女のお供をさせる資産家クラスがいると聞いた。


 カミラが困惑したような表情を見せたのは彼女の目にはシンタロウが風変わりなENAUの資産家の御曹司とでも映ったのだろうか。彼女たちもここにいるという子とはそれなりの家柄の子息・子女のはずだ。いや、本当の資産家はランクAに振り分けられるはずがないだろう。そうシンタロウは思い直した。


 シンタロウはランクAでスコアが上から2番目のクラスに振り分けられた。自分には何の才能もないと思っていたのに優性遺伝子があると知って正直意外だと感じていた。


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