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7.狼牙族※ルナ視点

 全力で走る。狼牙族の強さのあかしである獣化をして、狼の姿になっていながら逃げる。


 前を走る、黒と、茶の狼のテミスとセーレも同じだ。

 本来なら、狼牙族が三人もいれば苦戦する相手などそうはいないのに、今は逃げることしかできない。


 無様な姿に屈辱でどうにかなりそうだったが、狼牙族にとって長の命令は絶対だ。


「お前たちは北へ逃げろ」


 長はそう言って、戦場へと向かった。


 偉大なる戦士であり、父である長の命令に背くことはできない。


 怒りを力にかえて、必死にはしる。


「アイツらは、いったいなんなんダ!」


 つい、口にだして言ってしまった。あわてて後ろをみるが、なにもいない。

 

 だが油断はできない。アイツらはいままでのどんな敵ともちがう。なので、切り札の獣化をしてまで全力で走っているのだ。



 あれはいつ頃だったろうか。我ら狼牙族が支配する山に普段は現われない侵入者がいた。

 何人かが様子を見にいったが、帰ってこなかった。


 臨戦態勢で十数名の戦士がでていってやっと、相手がわかった。


 小鬼族である。


 小鬼族など、まだ幼く戦士になっていない私でも簡単に倒せる。

 それが、今回は戦士に大きな傷をあたえているのだ。普通ではない。

 小鬼族は大軍らしい。一部は倒したが、被害も多くて一度戻ってきたのだ。

 

 長は、自らで一族の戦士半数を率いて小鬼族を狩りにいった。


 あれだけの戦力だ。勝利の一報を待っていた。


 だが、きたのは傷ついて退いてきた戦士たちであった。

 あの強き長ですら怪我をしている。


 長は女子供に逃げるように伝え、この里で小鬼族を迎えうつつもりだった。


 私も戦うと言ったのだが聞き入れられなかった。


 しかたなく、皆と共に里をはなれ北に向かっていたら小鬼族に襲われた。


 護衛の戦士が戦ったが、まるで人族の様に鎧を着込み、大軍で攻めてくる小鬼族に苦戦していた。

 小鬼族のなかには、魔術を使ったり魔獣をけしかけてくるものまでいる。


 戦士の代表が全力で逃げろと怒号を飛ばす。


 皆、狼となって逃げだした。



 それから、ずっと走り続けている。


「ルナ様、もう少しで魔の森です」


 先を走るセーレが言う。北に逃げろと長は言ったが、北は帰らずの森とも呼ばれる魔の森だ。この先、どうするべきか。逃げる狼牙族に驚いた山の魔獣たちも魔の森に入っていったが森は静かなままだ。


 三人で話し合い、森に入ることに決める。


 小鬼族に負けるくらいだったら、森の養分にでもなろう。


 魔の森に踏み入る。体力が限界で獣化が解けた。


 ふらふらと歩いていると、丸い毛玉が飛んでいるのがみえる。幻覚だろうか。


「大丈夫?」


 毛玉は話しかけてきた。


 私は、狼牙族とはおもえない弱弱しい言葉を発していた。


「たすけてクレ」

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