6.異変
今日は特にすることもないので、アタおばさんのまわりをコロコロと転がっていた。運動することは大切だと、おばさんに言われているからだ。ちゃんと運動しているところをアピールする。
「どうにも、南の様子がおかしいね。キャサやキャウのやつ、なにやってんだか。なにかあったならすぐに言えばいいのに。しょうがないね。コウや、様子をみてきてはくれないかい」
キャサおばさんとキャウおじさんは、アタおばさんと同じくらい大きな魔樹だ。
(なにかあったなら心配だな。いろいろとお世話になっているし)
あわてて飛び立とうとするが、おばさんに止められた。
「そんなに急ぐことはないよ。本当になにかやつらが危険になっているようなら、私やシン様はすぐわかる。どうやらいそがしく、なにかやってるようだ。ウサのやつも、最近、森の外が騒がしくなっていると言っていたし、なにかおこる前兆かね」
森の東に生えているウサおじさん。アタおばさんとおなじくらい大きいのに、あまりしゃべらないおじさんが伝えてくるのだからよほどのことなのだろう。
おばさんは考え込んでいるので、僕は行くことにした。
「いってきまーす」
アタおばさんに、一声かけ、南東に向かって飛ぶ。目指すはキャサおばさん。
「キャサおばさーん。きたよー!」
声をかけたのに、返事がない。よくみるとおばさんの根元には魔獣が転がっている。
驚き、おばさんに近づくと返事があった。
「おお、コウかい。よくきたねえ」
おばさんの根元に降りて、まわりを見渡す。
「どうしたの、これ?」
「ああ。急に魔獣どもが森に入ってきてな。これ以上はすすませないと言ったのにきかないものだから、ちょっと灸をすえてやったのさ」
(魔獣はキャサおばさんがたおしたのか。あんなに大きな熊の魔獣まで。さすがだなあ)
「わるくなったらもったいないから、コウも食べたければ食べなさい。私も食べすぎて眠たくなってしまってね。ひと眠りしていたとこさ」
(普通なら魔獣は森には入ってこない。弱っていたり、傷をおっていくところがなくてしかたがないときくらいだ。こんなに多くの魔獣がくるなんてどうしたのだろうか)
「キャウの方も似たようなかんじらしくてね。南の山でなにかあったのかもね」
キャサおばさんはいう。南の山は強い狼の魔族、狼牙族のなわばりだ。彼らが魔獣を山から追い立てたのだろうか。
「それがね。狼の魔獣も森にきているのさ。狼の魔獣は狼牙族の仲間だからね。そうなると他のやつのしわざなんだろうが、狼牙族をどうにかしようなんてやつは、いないと思うんだがね」
(気になる。もう少し南まで様子を見に行ってみるか)
人族を見に行ってから、僕はアグレッシブなっている。
「おばさん、もう少し先まで見にいってみるよ」
「そうかい。気をつけるんだよ」
キャサおばさんに別れをつげて、飛び立った。
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