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34.旅路

 アタ姉と南に向かって旅をする。

 元狼牙族の山には小鬼族が砦を建てていた。


 「あの山。もう狼牙族は戻れないのかな」


 狼牙族の皆は新しい集落でたくましく暮らしているが、戻りたい気持ちはあるだろう。


 「魔王様には逆らえないからね。しかし、見事な砦だ。小鬼族は建築に長ける能力はないのに。さすがだね」


 山を遠巻きに見ながら更に南へ。景色がガラッと変わる。砂の山だ。


 「大砂漠。暑いから気を付けな。かつての魔王様と勇者の戦いで出来たと言われているが、確かに魔力が乱れている。想像を絶する戦いがあったんだろうね」


 アタ姉は興味深く砂漠を眺めている。木なのにこんなに乾燥しているところ大丈夫なのだろうか。


 「アタ姉。大丈夫なの?こんな環境じゃ水飲めそうにないよ」


 「問題ないよ。身体は縮んでいるし。私くらいになると、この環境でも水は出せるさ」


 アタ姉は頼もしい。ボクと移動用に捕まえた魔獣のアシは水が無いと持たないだろう。毛だらけの馬のようなアシにはとても助けられている。名前の由来は葦毛だから。ボク命名。


 砂漠の魔獣は魔族を襲うものもいる。ワーム型、サソリ型、ヘビ型の魔獣をアタ姉は返り討ちにしておいしくいただいた。


 「しかし、広いね。砂も最初は珍しくて楽しかったけど、こうも続くと飽きちゃった」 


 「そうかい。私は楽しいがね。昼と夜とで雰囲気が大分変わるし。魔族も住まない環境にいる魔獣の生態は興味深い」


 ボクよりもアタ姉の方が旅を楽しんでいるみたいだ。旺盛な知識欲で何にでも興味を持つ。


 やっと砂漠を抜けると大きな壁が見えてくる。

 

 「なになに?所々壊れているけどこんなに大きな建物すっごいね!」


 はるか彼方からずっと壁が築かれている。


 「《拒絶の壁》か。魔族や魔獣が人の住む領域にこないようにする為に、随分と立派なものを作ったんだねえ」


 「じゃあ、これを越えたら人界なんだね。どこまで魔王軍は攻めたんだろう?」


 壁に人の気配は無い。この辺りは完全に魔族が支配しているのだろう。壊れた箇所から壁を超えると緑の景色が見える。草原だ。


 「やった。砂漠は終わりだね」


 格段に移動しやすくなった。広大な草原を順調に進み、ついにかつて人が治めていた国の王都についた。


 「あれ?アリスさんの話だと人の国は燃え落ちたって話だったけど……」


 そこには立派な都の姿があった。

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