33.人化
「でねー。人の国が1つ無くなっちゃったんだって。これから戦いが激しくなったらもっと行けないとこ、見れなくなるとこでてくるでしょ。その前に旅してみたいんだよ」
さすがのボクも《森》でゴロゴロしているのは飽きた。のんびり旅をしてみたい。美味しいものに出会えるかもしれないし。おばさんに相談してみる。
「旅ってお前。戦争中のこんな時に。おまえの分身の誰かに一緒に行ってもらうのかい?」
おばさんは心底呆れているようだ。
「んー。でもさぁ。あの人達って強すぎると思うんだよね。目立ってのんびり旅が出来ないんじゃないかな」
「それはあるかもね。大体にしてお前のその小さな翼ではそんなに飛べないだろう。ずっと誰かに持ってもらうつもりかい?」
待ってました、その質問。僕は体に力を入れる。ふん。力むと身体が光輝き徐々にその形を変える。しばらくしたら紫髪の少年の姿があった。裸の。
「へっへーん。なんか出来そうって思ってやってみたらこの通り出来ました!」
得意げになって胸を張る。 おばさんは少し驚いたようだが喜んで褒めてくれた。
「あのコウがまともな能力を使うとはね。思えばほんの小さな頃に拾ってから随分と成長したものだ。どれ、私も一肌脱ぐか」
今度はおばさんが光って縮んでいく。緑髪の女性になった。裸の。
「ふ、ふーん。おばさんも人型になれるんだね」
「おねえさんだよ」
確かに人型のおばさんは本当におねえさんといった感じだ。
「でもおねえさんはちょっと普通と違うね」
良く見ると関節のところに違和感がある。
「これは『木人化』だからね。服を着てしまえばわからんだろう」
人形みたいなのはそういうことか。
「あ、そうだ人は服を着るんだよね。どうしようか。狼牙族か有翼族にもらう?」
「能力で服も作ればいいのさ。お前がそんなだから私もこの姿にしたが。変化で姿を変えているんだ。服を着た姿に変化すればいい」
おねえさんに言われた通り、服を着た姿を想像しながら変化する。無事服を着た姿になれた。旅人の姿ってこんなものかな。おねえさんも服を着た姿になっていた。
「それじゃシン様に挨拶して旅に出ようか」
「本当にいいの?おねえさんてここ動きたくなかったんじゃなかった」
「ああ。もういいんだ。それから何度もおねえさんて呼ばれるのもむず痒いね。アタでいいよ」
アタ姉は照れている。
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