31.陥落※エン視点
玉座に座り深い溜息を付く。
「やっぱり、こうなったな」
冒険者国王城にはオレ1人しかいない。いや、王都にはだ。運べる物は全て持たせ国民は逃がした。
重い腰を上げて城のバルコニーまで歩く。
「ま、オレには王は向いてないってことだ」
各国の援軍が合わさった人類軍は魔界との境にある大砂漠に陣を敷き、魔王軍を迎え撃った。戦況は上々勝てると思ったその時、伝令が急報を伝えた。国境の長城《拒絶の壁》が破られ魔族が国内に侵入したと言う。
魔族の幹部で在ろう猛者が多くいたあの軍が囮だと?皆が動揺した。残念ながらオレが軍の代表だ。決断しなければならない。
国内に入った魔族は大量の小鬼族。あの長城を短期間で突破したのであれば相当の戦力だろう。残されている軍では守り切れまい。軍を二手に分けるか。悩んだが全軍で国内の魔王軍を追うことを選んだ。
全力で国に戻ったが魔王軍の進行速度はこちらの想像を遥かに超え王都に辿り着く前に追い付けそうもなかった。王都はそれほど守り強くない。落ちるな。
オレは各国の代表にそれぞれの国元に戻るよう伝え冒険者達も着いて行くようにした。
転移の魔法陣を使い1人城に戻る。転移の魔法陣は設置された所にしか行けず、大量の魔力を使う。更に冒険者であるならS級相当の強力な肉体でなければ移動に耐えれない。便利だが不便な術だ。
城に戻ったオレは重鎮を集め国から逃げる手筈を整える。この国にいるのは冒険者とその関係者である。混乱はあったが皆、素早く動いて魔王軍が来るまでに間に合った。
城壁が突破され魔族が侵入してくる。
「荒くれ者の国だが、お前らには勿体ない」
城に迫る大軍を見下ろしながら呪文を唱える。
「獄炎包囲陣!!」
王都に設置した魔法陣から炎が燃え上がり建物ごと魔王軍を焼く。
「歓迎の地獄の業火だ。充分堪能してくれ」
城にも火が回る。転移の魔法陣を使い考える。
「国が無くなったんだ。王は首だろう。これで気楽に戦えるな」
オレはお宝が好きだ。国という宝を奪った魔王は絶対に許さない。
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