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7枚目

「はいはいはーい!放送部部長フロートにちゅうもーく!!」


 オレ達が食事をしている最中、壇上にはとある男子生徒が大きな袋を抱えて登壇していた。


「今日の天文部の天気予報で言っていた飴雲が発生し、大量の飴ちゃんが降ってきましたー!という事で、今から飴撒きしようと思うよ!」


「あ、飴撒き?」

「む!瞳。妾が好きな苺飴を取るのじゃ!」


 膝上に座っているシェイが輝く瞳をこちらに向けながら訴えて来た。

 と言ってもこんなに料理が乗ったローテーブルがあったら料理たちが宙を舞うことになるのでは?


 そんなことになったら料理が勿体ない。その場合オレは何としても走り回って死守するぞ。


 パチンッ


 耳元に届く音で鳴らされた指の音で一瞬にして目の前の机と料理たちが消えた。

 いいや、正しく言えば、オレ達が違う場所へと飛ばされた。そこはまるで教会のような場所。ステンドグラスが張り巡らされた神秘的な場所だった。


「えっ!?ラファここ何処??」

「……うーん。見た感じ狭間空間…かな?」


 思わずラファの袖を思いっきり握ってしまったが、気にせずラファは答えた。


「ここは舞闊の狭間空間の一つ。浄天の間じゃ。ついでにここで儀式もするから狭間ルートを使い移動したのじゃ。」


 四方は高く聳える天井に向かいステンドグラスが張り巡らされ光が差し込み眩しいぐらいに明るいが、何故かオレは少し気分が優れなくなってきた。

 ふと菫を見ると菫も口元に手を当て顔面蒼白になっていた。


「き、気持ち悪い……」

「オレも……」


「大丈夫だよ。ボクが何とかする。菫、こっちおいで」


 ラファが少し離れていた菫を手招きし、オレと菫の腰あたりに手を添えた。

 すると体の底から湧き上がるような嫌悪感と入れ替わり、幸福感のようなフワフワする感覚が体を巡り始めた。


「わ。なんか楽になってきたよ。」

「ほんとだ。スッキリ。」


「空間移動で酔ってしまったのかもしれんな…気が回らずすまんな。」


 落ち込んだのかオレの服の裾を掴み顔を俯かせた。

 本当に小さい。オレは一人っ子な為年下の妹が出来たような感覚が湧き、つい頭を撫でてしまった。菫もつられてよしよしと頭を撫でシェイのルビーレッドの髪がクルクルと踊るように動いていた。


「じゃあ!まずは一人ひとつずつ飴を取ってね!この飴は我が舞闊自慢のオカルト科学部が作った占い付きだよー!」


 そう言って宙に舞った様々な色の飴玉が頭上に落ちてくる。

 オレは目の前に落ちてきた緑色の包装紙に包まれた飴を掴んだ。


「占い付きだって〜どんな事が書いてあるのかな〜?」

「オカルト科学部の人名占いは良く当たりますよ。」

「姓名占いじゃないんだ?」


「姓名は生まれた時から決められた運勢。人名は今後起こりうる人生を占うと言われていますよ。まぁ、私も詳しくは無いのですが、要は占いという事は間違いないかと。」


 ウィリアムがシェイの取った飴玉の封を開けながら説明してくれた。

 という事は、この包装紙にはオレの運勢が書かれているのか。神社の御籤みたいで楽しみ。


 早速飴玉の封を開ける。飴玉の香りを嗅ぐと抹茶の深く濃厚な香りが感じられ、見た目も深緑と若緑の混じりあった可愛らしい飴玉だ。


「んん。おいし。」


 飴玉を口の中に入れコロコロと転がしながら手元に残った飴玉の包み紙に視線を落とす。

 書いてあったのは……


『貴方に何かが芽生えるかも☆』


 いや、かも☆じゃないよ。お茶目さんかよ。

 と言うか、なんだ?何が芽生えると言うんだ……あれなの?豊水蕐(ほうすいか)の種を食べるとおへそから豊水蕐が芽生えるとか何とか…………え、怖っ!!!


「芽生えるって何が芽生えるんだろう……」

「豊水蕐?」

「それ今オレが想像してたのと同じだよ……」

「やはり、結構大雑把ですね」


 皆がどんな御籤を引いたのか気になったので見せてもらった。


 ラファは青色の包装紙に、菫は橙色の包装紙に、そしてローズは桃色の包装紙にそれぞれ『永年の問題万事解決』『水難の相ありけり』『貴方の何かが開かれる☆』と書いてあった。


 絶対ローズの占いの言葉はオレの占いしている人と同じだ。文面的に。


「はっ!瞳!苺飴を取るのじゃ!」


 シェイの発言に上を見上げると大量の飴玉が降ってきている最中だった。

 えっ、待って待って待って!?!?そんな高い所から落ちてくるなんて多分これめっちゃ痛いやつじゃないの!?


 すると周りに居た他の生徒も一斉に動き出して揉みくちゃにされ始めた為、強制的にラファ達と引き剥がされてしまった。


「ぐぅえっ」


 オレ達狭間の守り人(チュトラリー)にとって自然現象の飴雲の影響で降ってきた飴玉は体内の環境・能力の制御をするのに1番最適な方法である為、皆が皆必死に掴み取ろうとしている。勿論、能力の持っていない一般の人々も同じく体内環境を整えたり、菓子としても嗜まれている。


 後、個人的にめっちゃ美味しい。


 この中でシェイは大丈夫なのかと思い、相棒のヘルを庇いながら飴玉を掴むついでに周りを見てみると、ウィリアムに肩車をされながらその場に立っていた。


 そりゃあそうだよね。あんなに小さくてこんな人の海に放り込まれたら窒息しちゃう。よし、肩車をしてて飴玉を拾えないウィリアムの分も掴み取ろう。


サブタイトルを大幅に変えさせて頂きました!


試行錯誤しながらの執筆で申し訳ないですm(*_ _)m

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