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20枚目

 

 落ち着いた菫を見てまだ少し危うそうな立ち方に肩を貸し、共に立ち上がる。どこからともなく現れた幸が菫の頭上に泊まり羽を休ませ始めた。君、今までどこに居たのよ。


 今この時我々四人は加護の形を認識し、皆の能力を増幅させる為の力の使い方を会得した。


 とは言え、ラファとローズはともかく、オレと菫はまだまだ制御が出来ず暴走してしまう可能性が高いので、続けて能力の制御の仕方を学ぶ運びとなった。


 本来は自分の能力を制御するだけで良いのだが、首席・次席のオレ達は、他の皆の能力を増幅させる事が重要であり、その反対に増幅させすぎて暴走しないよう制御する事も大切な役割なので能力の制御と言うのは一層大事になって来るらしい。


 確かに。元々普通の人間離れした能力の底力をあげるのだから勿論元の能力より強くなる。それが暴走してしまったら本来の被害に重なって二次被害を起こしかねない。


「そうだな、手始めにあっちで制御しきれていない……なんなら暴走しかけてる人達を制御してみようか」


 先生の目線で誘導された先には先程オレが見た時とはまた悪化した断末魔至る所から響き渡り、更には物理的に大炎上している光景が広がっていた。


 物理的に。そう、こちらまで熱気がくるほどの熱風と共に体から発火し眩しく光っている奴がいる。なんだアレ閃光弾みたい。


「いやっ!いーやぁーー!!!」

「たぁーすけてぇえええ!!!!」


 ちょっと不謹慎かもだけど一枚写真撮らせてもらいますよ。授業初日、合同レクリエーションの記念すべき一枚目だ。


 自らの首から下げていたカメラを構え、標準を合わせ急いで写真を撮ろうと設定を変えシャッターを切る。


 パシャッと軽快な音を立てて取られた写真機にちゃんと写真が保存されているかフォルダーを確認するため操作をしようとすると隣からくんっと裾を引かれた気がし、そちらを見ると菫が何やら驚いた顔をしながらある方向を指さしていた。


 指している方向を向いてみると、そこには先程まで物理的に大炎上していた場所が他の人達の能力共々消え去っていた。


「え?」


 心当たりがあった為、先程撮った写真を確認する。そこには全身発光しながら発火している「光耀(こうよう)」と様々な抽象的な何かを次から次へと生み出し続けていた「(かい)」、そして発火した炎と抽象的な何かを巻き込み暴風を巻き起こし更に混沌とさせていた「リリィ」の三人が写真の画角に入って居た。


「うわぁ収まったァァ!」

「もしかして瞳!?」


 ここから少し離れた場所に居た三人が収まった能力に安堵しながら自身の手のひらを見たり足元を見た後、遠目にカメラを構えたまま棒立ちになったオレの元に駆け寄ってきた。


「え、オレ?」


「瞳ありがとぉおおお!俺死ぬかと思ったああ!!」

「あ、暑かったから助かった…」

「脳が溶けるかと思ってたら救われた…」


 どうやらオレが写真を撮った瞬間その画角に入っていた最も暴走していた三人の能力が一瞬にして抑えられた様だ。訳が分からず混乱しながら先程撮った写真と三人を交互に見比べる。


 三人とも肌が露出していた部分に多少の火傷の跡があり、それに気付いたラファがいち早く治癒魔法を掛け始めた。赤みがかった火傷の跡がみるみるうちに消え去り、元の艶やかな素肌へと戻っていた。

 今一度ちゃんと完治しているかどうかをラファと一緒に火傷があった箇所を確認する。


 うん。どうやら大丈夫のようだ。


 オレ自身自覚はないが、恐らくオレとの繋がりによって強化されたラファの治療魔法によって年頃の活発な学友と、麗しき女性の学友の肌に火傷の跡が残らなくて良かった。ラファの腕の良さの賜物だな。


「ふむ……どうやら四國は制御の力が強いみたいだね。それも恐らく、物を経由して制御する力がある」

「物を経由して?」

「本来は溢れ出した能力を加護の力によって抑え込むのが普通だ。これは推測だが、四國の場合は写真機で状況を写真に収め更に能力をその中に()()()


「んん……?」


 少し複雑な話をされ脳内に疑問符が多数浮かんだ。つまりは、写真を撮ったのと同時に能力も一緒に写った場合、その中に能力が収納され力を抑えられたということ。

 考えれば考える程有り得ない話だが、実際問題、今目の前で自分が作り出したこの状況を見る限り頭から否定することは出来ない。


「困ったなぁ初回からは出来ないと思っていたのに真逆出来るとは……優秀すぎるぞ四國」


 先生はこりゃ参ったと言わんばかりに大袈裟な身振りでお手上げポーズをしてみせる。


「えっ!オレが優秀!?」

「凄いねよみ。ボクは制御の方法は少し苦手だからまだ出来そうにないよ…」

「瞳すっげええ!」

「四國ってもしかして天才!?」


 他の場所で能力を制御していた全員もいつの間にか集合しており口々にオレを褒め称える。

 キラキラとした個々の瞳が大量に向けられまるで国際的な有名人に会ったかのような騒ぎを起こし始めた。


 こんなにも褒め称えられてしまったら調子に乗ってしまいそうになる。こう言うのは必ず自身の力を過信しすぎ、力量を見誤った時にとんでもない過ちを起こすのが世の理だ。自己肯定感が爆上げするのは良い事だが、自信過剰になるのは御免だ。


 それにまだ、一度だけの挑戦で成功しているだけだ。これだけでは今後の全ての結果が成功すると決まった訳では無い。




「や、これもしかしたら偶然かもだし……って皆、落ち着けぇええ!」


 幸がキラキラと鱗粉を振り撒きながら優雅に舞う中、勢いそのままの騒ぎが収まらず初日の一年合同授業は大騒ぎのまま終了した。


 これからの期待に添えられるかの一抹の不安を感じながらも今後の授業で力の制御を頑張ろうと心に誓ったのであった。

2023年「ゆりかご」・「我らは舞濶響轟校の生徒である!」書き納めで御座います。


ゆりかごに関しては三話しか投稿してないという意味不明なことになってしまいましたが、来年も気ままに待ってくだされば幸いです。


来年2024年もよろしくお願い致しますm(_ _)m


【追記】

作中で登場する『(そう)』という人物が『(かい)』と間違えて表記していましたのを修正いたしました。


創と言う人物は今後登場いたしません!!!大変申し訳ありませんでした!!!

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