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18枚目 能力大暴走

 

 東校舎玄関前。

 新入生歓迎会で顔を合わせ、寮内でも既に交流を持った人物達が全員集まっている。


「おはよう諸君!」


 雑談で盛り上がり賑やかにさざめいていた声も、この言葉を区切りに徐々に静まっていった。その中で喋っていたオレ達も同様に黙り込み、この多くの生徒達の前に立つ人物に注目した。


 ショートカットでさっぱりとした女性が堂々と立ち、オレ達を端から端まで見渡す。


「私はこの学校で教師をしている松本律樹(りつき)だ。今私が持っているのが()()のクラス分けだ」


 右手に持った数枚の紙を掲げてその澄んだ声でオレ達皆に届く声量で発言した。

 自分の能力を駆使し、目を凝らしよくよく見てみると「赤」というクラスにオレの名前があり、「青」に菫、「黄」にローズ、「緑」にラファの名前がそれぞれ記されていた。


「え!全員違う!」


 全員違うクラス分けになっていた事に落胆しかけたが、先程の先生の言葉を思い出す。言葉の中に一つ気になるワードが入り込んでいた。これは()()のクラス分けだと。


「既に気づいた人も居るだろうが、その予想は恐らく合っている。ここ舞濶では一週間ごとに四つのクラスにランダムで分けられる」


 先生が言うには一週間ごとにクラス分けし、様々な人との交流を持ち、お互いの能力と人柄を知りいざと言う時に問題なく連携してトラブルの対処が出来るようにする為だと言う。


 クラス分けの割合も偏りがないように分けられるらしく、一クラスにオレ達首席次席が全員集まる事は無いそうだ。

 と言う事はオレともう一人は一緒になる可能性があると言う事。


 正直初めから皆んなと離れ離れなのは残念だが一週間後にまたクラス替えが待っていると考えると悪く無いものだ。


「じゃあ早速教室に行って授業をしよう!と言いたいところだが、今日は初日だ。一年生全員で合同授業を行う」


「「「「合同授業!!!」」」」


 クラス分けに騒いでいたオレ達はまるで息のあった兄弟かのように綺麗に声の合わさった歓喜の声が上がった。



「何するんだろうね〜」

「最初だからレクリエーション的なやつかな?」


 正真正銘の最初の合同授業は何をするのか考えを巡らせながら先生の指示に従い校舎からは離れた大きな建物が聳え立つ場所へと移動した。


 案内されオレ達が辿り着いたのは実験演習棟。ここは舞闊の四大科学部と魔法科学授業をする時に使用されている特殊な防魔素材で作られた文字通りの魔法・科学実験専用の建物らしい。

 中に入ると外見からは想像ができるほど広々とした空間が拡がっており天井の一部がガラス張りになっておりオシャレな内観となっていた。


 所で、実験とかするのにガラス張りって大丈夫なのか?強化ガラスなんだろうな多分きっと。うん。


「皆ちゃんと揃っているね」


 先生の後をゾロゾロと親鳥に着いて行く雛鳥かのように歩いて集まった全員を確認する。その中の一部に固まっていたオレ達四人に自らの元へ来るようにと手招きをされ歩き出す。


 これは自分の意思ではなく言霊の上位互換である言葉を使わず仕草だけで目的の相手に行動を促す「無言誘導」が使われている。

 強制力の強い「無言隷属」では無い為特に不快感無く素直に行動に移す。まぁ、そんな事したら魔法技術省に訴える事が出来る使用禁止の言霊なので、使う人はいないと思う。


 先生の隣に立ちここに居る全員の視線が集まる。


「今回の授業は首席・次席の四人が使う能力増幅の仕方と個々の能力の制御ついてだ」

「能力増幅……」


 そう言えば歓迎会の時に次席の証として授けられたピンには同性の人達の能力を増幅・制御を促す加護があると言う話をシェイからして貰った記憶がある。


「個々の能力制御をする四人以外の皆は向こうに他の魔法教師が居るからそこで説明を受けて励んでくれ」


 そう言い、先生が視線を向けた先には数人の先生が待ってましたと言わんばかりの笑顔でこっちを見ていた。能力制御を習得する為移動する皆から「瞳頑張れっ」とオレ宛てのエールを貰った。

 精一杯頑張らせて貰います!!!!


 ・

 ・


「能力の増幅の仕方は魔術式での能力値をアップさせる感覚と似ている。今回の場合は君達四人にはf(フォルテ)ピンから加護がかかっている。その加護を認識し、それを一点に集め相手に放出する感じだ。出来そうなら試しに先生に掛けてみてくれ」


 ほうほう。なるほどなるほど。加護を認識してそれを一点に集めて放出ねぇ…………


 何それ!!!!!!!どうやるの!?!?!?!?!?加護ってどうやって認識するのさ!!大体オレ魔術式どころか魔法式すら使ったことがないからそんな感覚知らないっっっっっ!!!!!!


「おお。エデンリーワンと伊集院は出来てるぞ。完璧だ」


 全く知らない感覚をどうやって掴みどのようにして発動しようかと奮闘していた矢先。ラファとローズは既に難なくクリアしていた。


「へ!?早くない!?!?まだ一分も経ってませんが!?!?」

「二人とも置いて行かないでぇ」


 取り残されたオレと菫はお互いにひしっと抱き合い自分のあまりの無能さに涙が込上げる想いだった。

 そう言えばそもそもラファは治癒魔法が使えるんだった。そういう感覚を掴むのは得意じゃないかもしれないにしろ魔法を一度も使ったことのないオレに比べたら確実に有利な筈だ。


「まぁまぁ落ち着いて二人共」

「置いていきませんよ。ゆっくり教えて上げますから安心してください」


 菫と抱き合い出来ないことに恐怖を覚え震えているオレ達をまるで子供を宥めるかのように優しい声色で落ち着かせる。

 ラファに至ってはオレ達に覆い被さり菫ごと抱き込んだ。


 寮生活で同じシャンプーを使っているはずなのに何故か自分より遥かに爽やかな香りがする。ラファ自身の特有の香りと混じりあった物だと思うが、あまりにも心地よ過ぎる。何これ天使か??


「仲が良いのは良い事だな。エデンリーワン、伊集院。二人に教えてやれ。学友から教えてもらう方が気が休まって良いだろう」


 先生の提案によりオレはラファから教えて貰うことにした。歴代でも魔法技術が使えなくして首席・次席に選ばれた人も居るらしくそういった人は毎回苦戦しているのだとか。

 魔法技術の中でも全ての基となっている魔法式を使うには自然の力を借りて行使する為そう言った()の流れを感じ取る感覚が必要なのだ。それが出来て初めて魔法式から得たエネルギーを基に効果を増幅・拡大する魔術式も使えるようになる。


 つまり何が言いたいかと言えば、魔法式で水のエネルギーを集め一滴の雫を生み出す。その雫を魔術式によって増幅させ力の加減によってはコップいっぱいの水にも更に多くの水にも増加させることが出来る。

 魔法式を基に魔術式で様々な効果を齎す。万能な魔術式。それ故に使うのにはだいぶコツが必要だと魔法技術が使えないオレに知識だけは授けてくれた我が父。


 知識はあっても使えなきゃ意味が無いんですよねぇ~………はぁ。

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