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13枚目

 食堂の席に着き、机の上のラミネートされた貼り紙を覗き見る。

 どうやら基本的に料理の提供は料理部の手作りらしく、予め作って置いた料理を時間停止空間と保冷温空間を兼ね揃えたボックスから自由に取り出し食事するシステムらしい。


 という事で、カウンター式キッチンにバイキング形式のように様々なボックスが陳列しており、手前に置いてあるお盆を手に好きな料理を取り出し、並べる。


 オレの今日の献立は白ご飯、チキンソテー、青菜のお浸し、大葉入りの卵焼きをチョイス。

 幸のは取り敢えず千切りキャベツがあったのでそれを。実の所地味に幸が何を食べて何が好きか嫌いかが全く分かっていない。

 まぁ、オレに似て好き嫌いはあんまり無いと思い込んでおこう。嫌いだったら多分食べないだろうし。


 どれも出来たてホヤホヤの状態で、朝イチの食欲を刺激する。既に眠いという感情はなく、ただただ早く目の前の食事にありつきたいという食欲に意識を持っていかれた。


「いただきまーす!」

「いただきます。」


 箸でチキンソテーを持ち上げ、滴る肉汁が零れなくなった瞬間を狙い、すかさず白ご飯の上へと乗せ共に口の中へと運ぶ。


 チキンソテーに降りかかっている黒胡椒が白米と絡み合い辛味を抑えベストマッチな味を醸し出されていた。

 はぁああああ………朝からこんなに美味しいものを食べてオレは生きていっても良いのだろうか………


「くふっ。よみの恍惚とした表情っ……w」

「だあってぇ……美味しいんだもの……」


 食べ物に目がないと言われれば喜んで肯定します。はい。オレは美味しい食べ物をくれるのであれば、わりかし誰にでも着いて行ってしまう自信があります。

 人間には衣食住が必要で、その一つである食はオレにとって一番大事。何をとってでももぎ取ります。


 あ、でも三大欲求の睡眠と比べたらちょっと迷うかも……


「うん。でもよみが言う事も凄く理解出来るね。本当に美味しい」


 ラファも自らが選んだ朝食を丁寧な箸捌きで口へ運んでいた。

 献立は白ご飯、目玉焼き、春雨サラダと少々軽めの朝食。

 ヘルシィ〜。


「あ!二人ともおはよ〜」

「おはようございます。相席宜しいですか?」


「おはよ〜!全然いいよ〜!ね?ラファ」

「勿論だよ。おはよう」


 良き時間帯になってきたため、段々と他の人達も目覚めここ食堂へと朝食を求めやってくる。その中に菫とローズも混ざり、既に朝食を食べ始めていたオレ達の所へやって来た。


 しっかりと身支度を終えた菫とローズもオレ達と同じループタイの制服とそれぞれ金と銀のf(フォルテ)のピンを付けていた。

 周りの人の服装を見るとループタイではなく普通のリボンやネクタイを付けている為、おそらくこれは首席次席の印としての物だと思う。


「はぁ〜お腹空いたぁ~」

「菫ちゃんさっきからこればっかりなんですよ」

「分かる……朝ってお腹空くんだよねぇ」

「同士だね瞳君……」


「謎の同盟が出来ているね」


 暗にオレが大食いって言ってるのか?それだったら菫も一緒になっちゃうだろ。女の子に向かって失礼でしょ!!オレは朝はよく食べる派なんだ。ご飯食べないと生きていけないでしょうが。


 あ、オレが大食いっていう分類じゃなくて朝をよく食べる派に分類したら菫もそうなるのか。


 何だこのしょうもない脳内議論(inオレ)は………


「逆に(わたくし)。朝は少食派です」

「じゃあローズはボクと同盟を組もうか」


 なんかそっちでも同盟できてるし……


「んん!昨日のお料理もそうだったけどやっぱり美味しいね!」

「これ本当に料理部の方達が作っているんですよね?朝から作るのは大変そうですね…なんだか申し訳なくなってしまいます……」


「時間停止空間に入れてあるから意外と朝に作ってる訳じゃないのかもね」

「あ〜それであのボックスに……納得」


 キッチンの方を見ると散乱した調理器具などは目に入らず、とても朝準備したとは思えなかった。調理中に片付けながらだったとしたら見えないのも当然だけれど。


 それって何気に神業では?オレはマルチタスクが苦手なので絶っっ対調理しながら器具なんて片付けれない。


「そう言えば昨日、本格的な学校生活が始まるのは1週間後で、その間部活をしながら生活に慣れる様に。って言ってたけど皆は部活決まった?」

「私は絶対園芸部!ここに来る前からずっと決めてたんだ〜」

「そうですね……(わたくし)は芸術部か武術部に入るか迷っています」


「ぶ、武術部……」


 大分格差が激しいですよ??舞闊の芸術部と言えば、文芸・絵画・演劇を主流とする部活動。そう聞いたら一部は体力は使うと思うけどほんわかしてた。でもローズが武術部って聞いた瞬間言い表しようの無い悪寒がしたよ。


 先日の能力測定でローズは「身体精強」という能力、称号『狂剣姫』を持っている所謂、戦闘特化した激強お嬢様。


 ふおぉぉぉ………


 いや、でも待って?こんなに麗しい人の剣筋を武術部で見れてこんなに麗しい人による合唱やら演劇やら絵画やらを見れる芸術部。


 どっちも美しすぎるぅうううう!!!!!


「いっその事どっちにも所属したら?」

「掛け持ちなんて出来るんでしょうか?」

「駄目とも言われていないから行けそうだけどね」


 寧ろ掛け持ちして欲しい。全オレが喜ぶ。


「そう言う瞳君とレナート君は何処にするの?」


「実はオレとラファは決まってないんだよね……写真部に入りたかったんだけど無いみたいでさ〜」


「? それでは創れば良いのでは?写真部を」


 つくる、作る、創る……

 そうだ!オレが創れば良いのか!!


 突然のローズのこの言葉を受け体に電流が走った様な衝撃が身体中を巡る。


「という事は、瞳君が部長だね〜!」


 オレが部長……この響き良いな。

 ラファはどの部活に入るか決めてないだけで昨日瑛人さんに園芸部に勧誘されてたからなぁ…そっちに入る可能性もある。


 その前にちょっと勧誘してみるのもありだな。誘うだけ誘ってみよう……勿論本人の意思は尊重しますよ。


「じゃあラファはオレに続き第二部員兼副部長になってよ!」

「ボク?」


 瑛人さん達園芸部に取られる前にこれから創設する際に必要な心の癒しを兼ねた味方を1人でも!特にオレ的にもう既に一番の友人ポジションに置いているラファを!


「あぁ、そりゃあ嫌だったら全然断ってもらっても良いよ!オレが勝手に言ってるだけだから」


 するとラファは考える素振りもなく即答で頷いてくれた。

 てっきり断られるとばかり思っていた覚悟が粉砕された。思いの外快諾してくれたお陰で少し心の余裕ができた。


 やった。やったぞ!!


「その代わりボク、カメラは持ってないよ?」

「ふふん。そこん所は大丈夫!!オレ魔導式カメラ、カスタマイズとかしながら作ったのが何台か持ってるからそれあげるよ」


「え!瞳君ってカメラ作れるの??」

「最初から作るのはまだ難しいけど部品を追加して魔導式カメラを作ることは出来るよ。今持ってる魔導式カメラもオレが一番最初に作った子なんだ」


 三人とも褒め言葉を発しながらが珍しい物を見るような目でオレを見つめる。特に菫がキラキラとした瞳を向けてくる。


 そう。オレが愛用しているこの特製魔導式カメラ「ヘル」はオレがカメラへ興味を持ち始めた頃、父さんに頼み込みカスタマイズカメラの部品を買ってもらい作ったのがこの子。


 父さんに手伝ってもらいオレ自身が頭の中で記憶した景色をヘルに繋ぎ現像出来たりするように様々な錬金術をかけてもらった正真正銘のオレ好み、オレ専用の相棒。

 この時のネーミングセンスは抜群だと自負している。


「よし。そうと決まったらすぐ創りたくなってきたな」

「瞳君。思い立ったが吉日ですよ?」


 皿の上に乗っている最後のチキンソテーを頬張り味を堪能し、既に食べ終わっていたラファと共に食器達を返却口に持っていく。


『思い立ったが吉日』


 ローズのその言葉に突き動かされ決意を決める。


「よしっ。理事長先生の所に行って創部してくる!」

「じゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃーい!!」

「お二人共ご武運を」

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