12枚目 創設!舞闊響轟校写真部!!
「………み。……よみ」
「ん………んぅ……」
どこからともなくオレを呼ぶ声が聞こえる。
かつて、何処かで聞いたことのあるような澄んだ声。フワフワとした意識の中自分自身、目を覚まそうと瞼を開けようとする。
目覚めなければならぬのに中々目を開けることが出来ない。最早自分の名前を呼ばれているのも夢なのかもしれないと勝手に錯覚しそうになる程、夢と現実との区別がついていない。
しばらくすると声はやみ、代わりに何か水音がし、次第に甘い香りが空気を吸い込むと同時に体内へと入ってきた。
「おはようよみ。よく眠れたかな?」
「………………あれ、………ラファの声かぁ………」
ゆっくりと上体を起こすとラファは甘い香りが漂うコップを手渡して来た。眠気に負けそうな瞼を必死に開き、何も考えられない頭で視界の状況を理解しようとする。
これはラファがくれた食べ物。飲もう。
湯気が昇るコップにそっと口を近づけチビチビと飲み、完飲した。梨の香りと甘みが口内から鼻腔を抜け、後味に爽やかな、目が覚めるような感覚が眠った脳を起こす。
「…………………ん?オレ昨日どうやって寝たんだっけ?」
ふと、昨夜自分がどのような経緯でベッドに潜り込んで睡眠に辿り着いたのかが分からず疑問に思った。
「あぁ。昨日はよみが写真部が無くてびっくりした拍子にお風呂場でそのまま倒れたんだよ。」
「え???」
「ふふ。昨日もその間抜け面だったよね」
そう言われればそんな気がする。
確か、オレは写真部に入りたいって瑛人さんに言ったらまさかの写真部無い発言。そこからの記憶が無いという事はオレは昨夜、お風呂場でぶっ倒れてから自室に戻って来たのは恐らくラファがオレを担ぐか背負うかして連れてきてくれたからなのか…?
「誠に申し訳ございません。大変ご迷惑をおかけしました。」
枕元にあった簡易テーブルにコップを置き、即座に頭を擦り付ける程の土下座を披露した。
耳元で幸の羽音が聞こえてきた。
あぁ。お前もオレの事を無様だと思って笑いに来たのか……あながち間違いでは無いがな。こんな馬鹿馬鹿しい人ですまん。
「ふふ、気にしてないから大丈夫だよ。それより朝ごはんを食べに行こう。時間が無くなっちゃうよ?」
「うん、ごめん。本当にごめん」
「はいはい。着替えようか」
土下座をするオレの肩を一撫でし、頭を強制的にあげさせられた。脳が働き始めてから改めて見るとラファは昨日の姿とは打って変わり、きっちりとした制服姿へと着替えていた。
しかもかなんか、ネクタイじゃなくて、なんて言うんだっけ……そう!ネクタイの代わりにループタイを身につけていた。その姿はまるで何処ぞの貴族子息の様な風貌をしている。
「イケメンが目の前に居る……」
儚さMAX美青年イケメンが制服を着て目の前に立っている。え、何。顔面偏差値高すぎん?キラキラしてるぅ
ヘル……ヘルは何処だ…君の出番だ。本能が叫んでいる。今すぐこの美しいご尊顔を撮るのだ…
何処かに置いてあるはずの魔導式カメラこと相棒のヘルを探す。案外近くの棚付きのヘッドボードの上にあったがそこに置いた記憶はない。恐らく昨夜ラファが首から下げていたヘルをそこへ置いてくれたのだろう。
紳士か……?
動作を確認する為すぐ様起動すると少しレンズが汚れていた。いつもは欠かさずメンテナンスをしているのだが、昨日は流石の自分でも手入れをしてはいなかったようだ。
後でしっかり磨こう。
その間ラファは背中を向け何かを探すようにゴソゴソと動いていた。
「ラファこっち向いて〜」
「はいはい」
パシャ。
如何にもしょうがなさそうに眉根を下げた顔で振り向き、写真の画角に収まった。……なんて言うんだろう、オレ。寝起きのテンションもあってかよく分からないことをしている気がする。
「はい。これがよみの制服だよ」
手渡された制服は襟元に薄く細い黒と赤のチェック模様が施されズボンはシンプルな黒色。ラファと同じ深緑の鉱石が埋め込まれたループタイだった。
「おぉ、まさかのオレもループタイ……」
まず、制服に着替える前に洗面台で顔を洗う。冷水が顔全体に散らばり雫となって落ちる。寝ぼけた脳を起こす追い討ちの刺激。
さっぱりとしたお陰で既に瞳は冴え渡っていた。
洗面台の横のコップに昨日には無かった花が生けてあった。多分これは昨夜の辛さんが後でくれると言っていた花だろう。本当に何もかもラファにやらせてる……面目ない。
真新しい制服に腕を通して気を引きしめる。姿鏡に映る、己自身の見るからに制服に着られている感が半端ない。
ラファはまるで自分の私服かのように着こなしているのに、何故こんなにも差があるのか……
「やっぱりイケメンはイケメンだな…」
「ふふ。ありがとう。それとよみはイケメンと言うよりかわいい系だから。」
確かに童顔と言われるけれど…オレはもっとかっこいいThe『漢!!!!』的なワイルドな顔に生まれたかったよ…でも産んで育ててくれた父母には感謝感激。これ以上の不満は無いです。
襟に取り付けられたfのピンとそのまま耳に取り付けられたままのイヤーカフを確認した。
そう言えば、着け心地が良すぎてイヤーカフ付けっぱなしでもなんの違和感も無かったな……
窓から入る日光を浴び、イヤーカフの蝶の飾りがキラキラと光るのが鏡越しに分かる。う〜ん、カッコイイ……
頬に幸が擦り寄る。自ら振り零される極彩色の鱗粉がチラチラと頬に着いた。
オレにラメの様なキラキラをつけて化粧しても大差ないぞ…慰めか……?
2022年我らは舞闊響轟校の生徒である!書き納めです。作者からしてもこのタイトルは長すぎて書くのも変換も面倒臭いですね(笑)
来年も面白おかしく展開できるように精進します(*´˘`*)




