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10枚目

 

「第五感のうち第二感の能力が優れているのはとても良い事じゃ。特に視覚と聴覚。この二つが優れている事による利点は数え切れん程あるのぅ。」


 シェイが頷きながら誇らしそうに皆へ説明した。

 でもなんか運命感じるなぁ……称号の名前が似ているなんてそうそうない事だろうしね。


 それから順調に新入生の能力測定は進んで行った。所々凄い称号や能力があったので本当に個性豊かな人達が集まったと改めて実感した。


 一通り能力測定が終わり、再びシェイの指パッチンにより寮の食堂へと戻された。


 先程のステンドグラスの光が目の奥に焼き付きチカチカと光を放っている感覚が残った。

 幸がオレの周りを舞い輝く鱗粉を付着させた。


 ほんのりと甘い香りが漂うそれは目の裏に焼き付いた光が消えていく。

 もしかして幸にも何らかの症状を和らげる能力が有るのだろうか……


「皆今日は御苦労だった!大まかなもてなしは済んだので後は各自、自由にしてもらって構わんぞ!」


 壇上に立ったシェイが宣言し、既に食事をし終わった生徒が何人かこの会場を去っていった。オレはと言うとまだご飯を食べ足りないので食べます。

 さっき貰った青葉入りのクリームパスタが美味しい。


「ボク達はもう少し食べるけど菫とローズはどうする?」

「そうですね……あちらにあるデザートを頂いてから部屋に戻ろうかと。」

「野いちごのケーキムースが美味しそうなんだよね〜」


 なぬ。デザートもあるだと?


「今あからさまに目を輝かせたのが分かったよ……」

「バレてる…?」

「バレバレだよ」


 なんで?オレもしかしなくても感情出やすいの?分かりやすすぎるんだ?

 かっこいい人間は常にクールに対応するべし。感情をもう少し分かりにくくさせねば。もう遅い気がするけど……


 席を立ち、四人でデザートコーナーへと足を運ぶ。煌びやかな飾り付けが施された甘美なデザート達。見ているだけでも眼福。まぁ、食べるんですけども。


 先程菫が目を付けていた野いちごのケーキムースと桃のシャーベットを頂くことにした。


「ん〜〜!!野いちごの甘酸っぱさとクリームが相性抜群だよ〜」

「水分たっぷりの桃のシャーベットも甘さ控えめで美味しいよ!」

「ボクはフルーツマカロンが美味しくて好きだな」

「同感です。フルーツが瑞々しくてとても美味しいです」


「んふ〜♡その二つには潤桃(じゅんとう)って言う瑞々しい桃ちゃんを使ってるからとっ〜ても美味しいんだよ〜!にしても君達は美味しそうに食べてくれるねぇ〜!!料理人冥利に尽きるよ!」

「でショ?いい食べっぶりなんだーヨ」


 突然の声に吃驚し声がする方を見ると辛さんの隣に小麦色の肌を持ったポニーテールの女の子が屈みながらこちらを見ていた。

 この方は準備前に出逢った野菜の入ったバスケットを持っていた人だと一目でわかった。


「辛さん!とリューユー…さん?」

「そうだよ〜皆、どんな感じの評判か見て回ってたら、一番美味しそうに食べてる君達を見つけてね〜」


 リューユーさんは嬉しそうな表情でオレ達一人一人顔を覗き込みもっと食べて食べて!とオレ達を促した。


「こラ。圧をかけるじゃないーヨ。ゆっくり食べさせなさーイ」

「だってぇ美味しそうに食べる子達にはいっぱい食べてもらいたいじゃない?」

「うン。分からなくも無いけード」


 と言いつつ、二人とも近くに置いてあったバスケットの中からフルーツを持ってきてジリジリと近づいてくる。


「ラファ。オレ、怖い」

「うん。目がギラギラしてるよ。」


「こらこら、二人ともお辞めなさい。皆さん怖がってますよ」

「そうじゃ。全く食事の事となると目が変わる奴らじゃのう」


 シェイと共に壇上から降りてきたウィリアムが、近づいてくるリューユーさんと辛さんの肩を掴み宥めた。


 観念したのか、二人ともフルーツをバスケットの中へと戻し素直に謝ってくれた。

 若干怖かったが全然不快感は無いので自分自身特に気にしていない。


「ごめんねぇ。お詫びの印に皆にはこれをあげるよ。」


 そう言ってリューユーさんが腰に着けたポーチから取り出したのはシンプルなデザインの小袋だった。開けてみて。と促されたので言われるがままに中身を確認すると、その中には黄緑色の正方形のキューブが幾つか入っていた。


「これはね私特製のフルーツキューブだよ」

「「「「フルーツキューブ??」」」」


 フルーツキューブと言われるこの物体から仄かな甘い香りが漂ってくる。これは、梨……かな?


「そそ、私の能力『味覚強化』で甘味をグッと濃縮させた果物の果汁と果肉をキューブ状にしたお菓子だよ!そのまま食べるのも良いし、甘過ぎると思ったらお湯で溶かしてフルーツティーとして飲むのも良いかも!」


「む。リューユー、妾のは無いのか?」

「シェイちゃんのは今、苺の甘味を抽出中だからまた今度ね!」

「そうか、それならしょうが無いな…」


 少し残念そうにするシェイの頭をウィリアムが撫でる。なんか、身長差も含めて二人が親子に見えてきた……と言うか、やっぱりオレには幼女にしか見えない。可愛すぎる。

 あ、決してロリが恋愛対象として好きとかそんなんじゃないから。癒しとしてだから!!!


「よみ。なんでそんなに顔歪めてるの?」

「己との闘い中。」

「写真?」

「撮りたい。」


 ……………。やべ。無意識に言っちゃった。


 そっと顔を上げウィリアムの方を見るとこちらの話が耳に入っていたのか、ピースをしてにこやかにこちらを見ていた。シェイは気づいていないのか大人しくウィリアムに頭をなでなでされ続けている。


 カシャ。


 これは、ウィリアムからのお許しがあったから大丈夫。だってこんなにも可愛く撮れたんだもの。許してくれるよ、きっと。

「では私達はここで。」

「明日からよろしくね!」

「じゃあボク達も部屋に帰ろうか。」

「荷物片付けなきゃだね〜」


「瞳。」

「ウィリアム。どしたの?」

「先程のシェイとのツーショット。現像して頂くことは出来るのでしょうか。」

「時間はかかるけど大丈夫だよ〜」


「! ありがとうございます!これでまたシェイ様のコレクションが増えます!」


………………?


((コレクション??))


 この時、瞳とレナートは思った。実はコイツ結構ヤベー奴なんじゃないのかと。

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