9枚目
首席次席に授けられる加護を受け取った後、再びシェイの咳払いにより祭壇へと皆の注目を集める。
「ではあともう一つ。新入生の皆、祭壇前へと歩を進めよ。」
シェイの言霊に縛られたオレ達4人以外の新入生達は人を掻き分け前へと進み出てくる。ざっと見た感じ五、六十人の同級生が居るようだ。
「これからお主らの能力の測定を行うぞ。呼ばれた者から祭壇前の聖書に手を添えるのじゃ。」
「能力の測定?」
「うむ。皆は事前に送られた入学推薦状にて狭間の守り人としての能力を知ったじゃろう。そして、今日から共に異界トラブルの解決をしなければならぬ故、互いの能力を知らなければならない。」
淡々と語るシェイの声がこの狭間空間内に響き渡る。
「それに、ここ舞闊の能力解放空間に入れば、その名の通り各々の能力が解放され時には新しい能力を身につける場合がある。それも含め今ここでしっかりと自分の能力を把握しておく事が大事なのじゃ!」
能力解放空間……さっき辛さんが言ってた空間のことだ!という事はもしかしたらオレのこの瞳の秘密も分かったりするのかな??
「では先ずは首席の二人聖書の前へ。」
呼ばれたラファとローズは祭壇近くに置かれた二つの金赤色の聖書の前へと立つ。
ラファとローズは聖書台に載せてある聖書を覆い隠すように両手を添える。すると聖書が浮かび上がり独りでにパラパラと頁が捲れる。
ある頁に辿り着くと聖書の紙が千切れ空を舞う。次の瞬間プロジェクターの様に空間内に二人の能力情報が映し出された。
「ふむ。それぞれ主に治癒・身体に特化した能力じゃな。」
映し出された情報を上から視線で追う。
ラファは「治癒体質」「治癒力増幅」+α「体力保持」と言う能力。そして「天界の遣い」という称号を持っていた。
+αという事は「体力保持」「天界の遣い」という能力は恐らくこの舞闊に入った際に身についたものと見た。
「凄……治癒系に特化してたから私達に魔法をかけてくれた時、直ぐに気分が良くなったんだね……」
「うん…しかも天界の遣いって言う称号カッコよすぎない??」
「ボク自身もそんなに治癒に特化しているとは思ってもみなかったよ……」
祭壇前からプロジェクターを見る為少し後退り照れくさそうにはにかむラファ。すぐ隣に居る菫と感心しながら再びプロジェクターを眺める。
道理でラファは治癒魔法が得意だと思った……実際ラファからの治癒を既に二回受けているオレから言うと説得力抜群だった。なんと言うか、即効性が凄い。
魔法科学分野での即効性は能力値が高ければ高い程顕著に現れ、それを殆ど時間をかけずに実行していたラファは相当な能力の持ち主なのだ。
それにラファが保有している天界の遣いという称号があまりにもセンスが良い。そりゃあ首席に選ばれますよね。改めて凄い人と同級生兼ルームメイト兼友人になったものだ……
まぁ、多少黒い部分が垣間見える瞬間があるが正しくラファの内面も外見も表せる良い一言だと心から思った。
さて、ローズはどんな能力をしているのかと思い、菫と共に左側へと視線を向ける。
「…………!?」
オレと菫はローズの能力情報を見た途端目を瞠った。
そこに映し出されたローズの能力は「剣姫」「身体精強」+α「空間把握能力」。称号「戦女神」と記されてあった。
ローズの能力を見た他の生徒達からも驚きの声が上がり皆プロジェクターを凝視する。かくいうオレと菫もあまりの衝撃に言葉の通り、目が点になった。
いや剣姫は分かるよ?でもなんだい?身体精強って!!!つまりローズは桃色の薔薇のように儚く気高く美しい外見をしているのに中身はまさかの…………脳筋……って事ぉ!?!?
しかも戦女神という称号……え………つまり戦闘狂なの??急に物騒だな…
「戦女神って戦闘特化してるってことだよね……という事はあの時の冷や汗はローズちゃんの威圧感……?」
「うふふ。バレてしまいましたね私がお馬鹿だという事を。」
菫の声が聞こえたのかローズが後ろを振り向き喉を鳴らしながら笑った。
若干話の内容がズレている気がするがその微笑みが黒く見えた。あれ、ラファとローズってもしかしなくても黒いの??
「末恐ろしや……」
「そりゃあ国境警備隊の狂剣姫と言われるだけの実力は有るじゃろう」
「シェイはローズの能力を最初から知ってたの?」
「今知ったぞ」
シェイがあまりにも詳しそうに言うので知っているのかと思ったら全然そんなこと無かった。
でもこれで分かった。能力と称号は外見とは全く異なることもあることを。多少の偏見という名の決めつけで認識の誤差が生じるが、特別何かを思うことは無い。寧ろ言われると似合うなぁという感想が浮かぶ。
これってオレが楽観視し過ぎなのか?まぁ、ポジティブ思考はとても良い事。
「うむ。二人とも皆を率いるに値する素晴らしい能力じゃのう。少しの間能力の制御が上手く出来ぬかもしれぬが加護を備えたピンをつけていると多少なりともサポートしてくれるから安心せよ。」
能力値を表示したプロジェクターが光を失いながら聖書の中へと吸い込まれて行き、再び元の位置へと戻った。
「では次に次席の二人聖書の前へ。」
今度はラファとローズと入れ替わりにオレと菫は祭壇近くの聖書台の前へと一歩ずつ歩を進める。
菫とアイコンタクトをし、同時に聖書を覆い隠すように両手を添えた。微量ながら力が吸い取られる感覚を覚えながらも手を添え続けると聖書が浮かび、頁が捲られプロジェクターとなってそれぞれオレと菫の頭上に現れた。
オレの能力は入学推薦状で見た馴染みの「動体視力」「場面瞬間記憶能力」。そして+αである「色彩感覚激化」。称号「地獄瞳」
地獄瞳??何だそれ??
菫の能力も見ようと左側へと視線を移動させる。
菫の能力は「植物思念」「緑の手(薬効強化等)」+α「音響収集」称号「地獄耳」だった。
「「地獄耳(瞳)??」」
まさか、称号の名前が地獄うんたらと同じ系統のものとは思わず脳内に疑問符が浮かぶ。まず、地獄って何だ??聞いたことある気がするけど…
「あっ!それ俺知ってる!」
待機していた場所からとある男の子が名乗り出た。
「地獄耳って言うのは一度聞いたら忘れないって意味が有るから、恐らくそれだけ耳が優れてるって事だと思う!地獄瞳って言うのはそれと同じで瞳が優れてるんじゃないかな?」
「なるほどな…確かに各々瞳と耳に関しての能力になっておるのぅ。」
確かに。改めて見るとオレの能力めっちゃ瞳に対しての能力を持ってるみたい。前二個は分かるけど三つ目の色彩感覚激化って何だ?もう分からないことが多過ぎて分からん。
プライベートの方が多忙だった為、凄〜く更新遅れました!申し訳ないですm(_ _)m
こんな辺境の地を探り当て待っててくださった方々、有難うございます!!(居ない気がするけど)
これからも精進します!!




