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8枚目

 

「有難うな瞳。」

「酸素足りない…………」

「私達にとっては大切なものだからね〜」

「凄い競争率でしたね……」

「うん。こんなに凄いとは思わなかったな……」


 苺飴とその他諸々の飴玉が入っているポケットに手を突っ込み、シェイとウィリアムに半分ずつ分け与えた。これは……凄い戦いだった。普通に家で飴玉を取る時は籠を持って待機していたら取れるくらいだったのにここは戦場かってぐらいの勢いにドっと疲れが込み上げてくる。


 あぁ。口に含んだ抹茶の飴が美味い。癒しだ……


「うむ。では一段落した所で四人とも移動しよう。妾についてくるのじゃ。」


 ウィリアムの肩から降ろされたシェイが先導を切りオレ達四人を導く。

 向かうは、放送部部長フロートが居る祭壇前。

 既にやりきった感を出していたフロートはせっせと大きく広げていた袋を畳んでいた。


「お。君達が例の……やっぱり見目麗しいなぁ。」

「余計なことを言わぬ様に」

「大丈夫。それが一応決まりだからねー。健闘を祈るよ」


「じゃっ!」と言い残し祭壇前から退きオレ達が来た方向へと歩いていった。シェイとフロートはオレ達にはよく分からない会話をしていた。予想するにこれから起こることなのだと思うが。


 ヴンッ


 突如この場の空気が張り詰めるような感覚がオレ達を襲った。鈍く重苦しい気圧のようなものが肩にのしかかり、中には耐えられず片膝をつく人も見られた。オレはラファ達と支え合いながらその衝撃に耐えていた。


「新しき狭間の守り人(チュトラリー)の子達よ。よくこの舞闊へと入学してくれた。感謝する。」


 声がする方へと顔を上げるとそこには転移魔法を使ったであろう転移陣が残っており、口許をハーフマスクで覆った女性が浮遊していた。


(転移陣を使った転移魔法!?そんな高等魔法を使えるなんて……)


「今しがた舞闊の校庭内で異界トラブルが発生した。だがしかし我が夫が対応に向かっている。こんなにもめでたい時にまで君達を酷使したくはない。案ずるな、じきに終わる。」


 転移陣を消し去り、ゆっくりとオレ達がいる祭壇付近へと降りてくる。先程までの重苦しいものは無くなり再び幸福感が沸き上がり始めた。


「新入生の者たちよ。先程の圧迫感が異界との入口がリンクし何らかの異常・トラブルが生じた時の感覚だ。非常に息苦しく感じるだろうが、慣らし感覚を鋭くして行って欲しい。」


 ハーフマスクに取り付けられた金の飾り紐を揺らしながらオレ達を一度一瞥し再び多くの生徒が居る方へと視線を移した。一瞬目が合った気がし、本能的に背筋が伸びた。


 この威圧感は少なくともこの人からも溢れ出ている。見目からして相当偉い人だと思う。


「まぁ、日常的なのでそんなに固くならなくても良いのでリラックスしてくださいね。」


 急に仰々しい口調が崩れ緊張感が解けた。


 ん????あれ?緩くね??て言うかこれさっき体験したばっかだぞ!?!?

 あ、これはアレだな。分かった。夫って言ってたから絶対舞闊の創設者の方だ。


「じゃあこの和やかな流れで儀式をしようと思うぞ。四人とも祭壇の前へ。」


 シェイとウィリアムが祭壇へとオレ達を誘導し生徒が居る方向へと向きを変えさせられる。

 改めて全体を見てみると二百、三百くらいの人がこの場に収まっている。やっぱり空間を広く出来たり空間を作ることが出来る狭間空間は凄い。


「この儀式は舞闊の学年毎に選ばれる首席と次席の者たちに理事長からの加護を授ける儀式じゃ。」


「え。」

「私達それに選ばれたの…」


 ざわめきと共に歓声が湧いた。

 本人はビックリだよそんなの。聞いてないっすよ。と言うか、やっぱり凄い役職の人だった……


「そりゃあ本人達には伝えてないからのぅ。」


 あ。どうやら声に出てたみたいです。


「コホンッ」


 シェイの咳払いを区切りに教会内の神聖な空気の中、先程よりかは穏やかで静かな空間へと変化した。


「今年度一年。男子首席レナート・エデンリーワン。次席四國瞳。女子首席伊集院ローズマリー。次席彼岸菫。理事長の方へ頭を垂れよ。」


 言霊が身体を縛り言われた通りに動く。祭壇上空に浮遊したままの舞闊の創設者こと理事長へと跪き頭を垂れる。

 跪いた足元へと陣が展開され眩しいぐらいの光柱をあげ身体全体を覆い尽くした。


 不謹慎ながら今、思った事。目瞑っててもめっちゃ眩しい……オレの極彩色の瞳より眩しい……しかもなんか既視感あるし……オレは何処でこの光柱見たのよ。


 光が収まり目を開け少し顔を上げる。そこにはペアになっている装飾がついた二色のピンが浮いていた。


「これは男女の首席・次席者に送られる所謂御守りじゃ。力の増幅、制御を促す等の加護が備わっており、同性の首席・次席者によって皆の力を発揮出来るのじゃ。妾らも襟に付けておる。これも肌身離さず付けておくのじゃ。」


 オレと菫の元には銀色のピンが、ラファとローズには金色のピンが襟元に付けられた。装飾はシンプルなf(フォルテ)。これが二つ揃っているって事はff(フォルテシモ)と言う事か。


「今この時より新しき狭間の守り人(チュトラリー)の君達を歓迎する。学園内では手を取り合いながら共生し、異界トラブルが発生すれば各首席・次席を中心とし速やかに解決に励む。そして何よりこの生活を満喫し充実した人生の一部を謳歌する事。今日この時からここに居る全ての生徒が我が舞闊響轟校の生徒だ!!」


 ビリビリと教会内全体に響き渡る声量で告げられたこの言葉はオレの心にストンと落ちて来た。感動、感激。いやこれは歓喜と言う感情。改めて舞闊に入学出来ただけでも感極まっていたが、真逆の今学年の次席という事実を知ってしまった。


 これは最早奇跡と言っても過言では無いのかもしれない。初めからワクワクドキドキする学校生活などこれからの期待が高まらない訳が無い。



 オレはここで精一杯の青春、人生を謳歌する!!!!!


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