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【書籍化決定】凶悪犯罪を許すな!激闘!異世界警察24時最前線スペシャル!  作者: 片栗粉


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見学クライシス1

「え!!? 見学ですか……?」


 昼下がりでほんの少しだけ来客が落ち着いた署内に、ユリウスの声が響いた。


「そうなんだよ。管内の小学校2ヶ所来るの」


 警務係の浅野警部補が溜息をつく。恰幅の良い体躯を事務椅子の背にもたれさせると、椅子がギシリと悲鳴を上げた。


「俺がやるはずだったんだけどさ、生憎その日署長会議で運転手やるしかなくてさぁ」


 警務係の仕事は多岐に渡る。秘書や運転手、小学生中学生の見学のセッティング、採用業務まで幅広い。浅野が前に「刑事やってた方が何倍もラクだわ」とボヤいていたのを思い出した。


「はぁ……」

「だから君と、犬飼、毒島、但馬で相手して欲しいのよ」

「ちなみに、何人来るんです?」

「70人」

「ななじゅっ!? 署員より多いですけど!」

「一回で終わった方が楽でしょ?」

「それはそうですけど……4人で70人は……ちょっと……」

「今刑事もさ、最近スイカ泥棒でてんてこ舞いでさぁ。人がいないのよ」


 確かに、刑事課は先日、変死のあった車からの死体遺棄事案の裏付けやら連日発生しているスイカ泥棒で手一杯であった。

 だとしても、70人の小学生を4人で捌ききれるのかという不安しかなかった。


「白バイも呼んでるからさ。頼むよ」

「はぁ……」


 かくして、ユリウスたちはたった4人で70名の小学生に挑むことになったのだった。


「え!!! 70人!??」


 昼休みの休憩室に毒島の声が響く。ユリウスは申し訳なさそうに眉をㇵの字にさせながら、但馬と毒島に事の次第を伝えていた。


「さっき課長に言われたのってこれかぁ」


 但馬が昼飯の天丼を頬張りながら言った。

 巡回から帰ってきたとき、但馬と毒島は地域課長から「警務からお願いがあるそうですよ」とだけ言われていた。


「浅野係長から言われたら断れなくて……すみません」

「ああ~。わかる。怖いからね浅野班長。眼光が。機動捜査隊きそう時代も滅茶苦茶怖かったらしいしね。ザ・刑事って感じだし」

「二課時代は選挙違反のスペシャリストだったしねー」


 但馬と毒島がうんうんと頷いた。浅野警部補は捜査二課、機動捜査隊などで活躍したバリバリの刑事畑で、豊富な知識と経験、人脈が必要な選挙違反捜査を得意としていた。今も老眼鏡の奥の眼光は鋭く、睨まれれば若い警察官なら委縮してしまうほどである。

 そんな彼が、退職前に幼い孫との時間を大事にするために、激務である刑事よりも警務係という部署を選んだというエピソードは署員たちも周知の事実であった。


「白バイは呼んでるから時間はなんとか持たせられるって係長が」

「白バイかぁ……来ても2台ってとこだよねぇ。毒島部長と俺でパト説明しても捌ききれるかなあ」


 早くも完食した天丼の器を重ねながら但馬が唸った。

 白バイ、交通機動隊は主に交通取り締まりが主な仕事ではあるが、各署の見学やイベントで派遣されることもある。やはり白バイは子供たちに人気だし、イベントでも映えるからだ。


「3班に分けて説明しますか。さすがに70人ぞろぞろ連れて行けねぇっすよ」


 カップ麺の蓋を外しながら毒島が言った。キムチラーメンなのかキムチの香りが部屋中に広がる。

 署員数50人強しかいないし、あまり広くはない警察署である。全員引率したら署内が小学生で埋め尽くされてしまうだろう。

 ユリウスもキムチの香りに空腹を刺激され、さっきコンビニで買って来たサンドイッチをぱくついた。


「そうだねぇ。そうしたほうがいいね。あとは装備品の説明とかパトの説明で何とか間を持たせたら……」

「あとは逮捕術の実演とかどうでしょう。喜びそうだと思うんですが」

「いいじゃん。犬飼と毒島部長でさ、めちゃくちゃ迫力あるじゃん」

「え!俺ですか!」

「あ、私もそれ見てみたいです」

「じゃあ決まり!」

「マジすか」


 意外にも乗り気な但馬のおかげで、打ち合わせはスムーズに行った。だがしかし、予期せぬハプニングが待ち受けている事など、暢気に昼飯を食っている3人にはまだ知る由もなかった。

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