★衝撃の事実
★が続きますが、一話でご勘弁を
いつもはかなり五月蠅いと言ってもいい位のギルドに着いたのですが、今日は人も居るのにとても静かな状態で。
さらに視線を感じるのですが、それは考えてみるといつもの事。
まあ、自分を先導するようにギルド職員が歩いているのもあってこういう事になるのは分かっていたような部分もあるのですが、それにしてもいつもとはかなり違う空気。
「流石にこの空気はおかしいよね?」
「変ですね」
「……この状態だと喋りにくいですね」
声自体はかなり小声で自分達だけでの会話のつもりだったのですがそれであれば魔力でいつも通りに喋ればよかったことを思い出します。
「明らかに、見られているけど原因も分かるかな?」
「まあ、ここまでの事をされているという事は何かしらあるのでしょうね?」
「だよねぇ……」
そんな会話をしながらも連れていかれる先はいつも通りのギルド長の部屋。
階段を上がった時点でこうなることは分かっていたので、そこまで構えてはいなかったのですがなんというか一応それなりに優等生だった気がする学生生活があるので、高難度も上の物に呼び出されるというのは……悪い子のような感じがして若干気落ちする部分もあって。
「さてと、色々と聞きたい話もありますし、確認も含めてしたほうがいいですよ?」
「言われなくてもそのつもりだけどね」
どうぞ、と言われてギルド長室にはいると若干呆れるような顔をしてこちらを見てくるのはいつも通りのギルド長。
「とりあえず、七十九階の突破おめでとう」
「あ、はい。ありがとうございます」
ギルド長から出てきた言葉はそんな言葉であれ?という空気に。
「色々と聞きたいって顔をしているが、それはこちらも一緒だ。ということで先に質問をしていいぞ?」
その言葉を聞くと同時に声をあげたのはうちのマネージャーである精霊。
ただ、いつもの体が無い状態なのでギルド長の視線が定まりません。
「何故七十九階の情報が殆ど隠されているのです?死ぬほど危ない状況になったのですが」
「人形の嬢ちゃんの声!?見えていないだけでいるのか?」
「そんなことはいいので、答えてください」
こればかりは情報を集めていた精霊がかなり責任を感じていたみたいで精霊も一歩も引くつもりはない様子。
その声に圧されたみたいで、ギルド長が零すのですがその内容は色々と思っていた以上の話。
「まず、教えなかった理由についてだがこの国と言うかここのギルドの洗礼みたいなものだ」
「洗礼ですか?」
「ああ。普通は低層階で一回。もしくはモンスターが実体化する階層手前で一回。それすら抜けた人間は今回お前さんたちが突破した階層で一回」
「一回、一回とは……まさか?」
「ああ。命を落とすんだよ。文字通り一回な」
いやいやいやいや。
何をこの人達が言っているのか分からないのですが、人は死んだら終わりですよ?
こちらの視線の意味は勿論分かっているみたいで、
「馬鹿にしているわけじゃないんだが、お前さんたちが抜けた先のフロアは今までの比じゃなく、モンスターが強化される。そして簡単に死ぬことがあるフロアなんだ」
「いや、そうじゃなくて、え?」
まだ混乱している状態なのですが、じゃあなんで教えてくれなかったという方向に疑問も伸びるわけで。
「このギルドの人間の殆どがダンジョンで数回、もしくは数えきれないほど死んでいる。ただ、その一回目が遅れれば遅れるほど、ダンジョンに行かなくなる確率が高くなる」
ギルド長の言葉だけを聞けば、さっさと引退してほしかったようにも聞こえ、こちらを案じているようにも聞こえて。
「変なタイミングで死ぬのであれば、ココがいいだろうと言われているのが七十九階なんだ。だから色々な情報を制限させてもらった」
その言い方は、明らかにこちらが不利になるとわかっていたが、情報を流さなかったと言っているようなもの。
それに関してはやはり憤りがあるわけで。
「突破したという事は、情報なしにあいつを倒したのだろう?これ以降の情報制限というのは無い。そして今回の措置はこちらの自己都合だ。何を言われても言い返す言葉は無い」
そこまではっきり言われてしまうとこちらも強く言い返しづらくなります。
「あのぉ、聞いてもいいですか?」
そんな感じに空気が重くなっている状態に風穴を開けてくれたのはタマエ。
「なんだ?」
「という事はこのダンジョン、死なないって事ですか?」
「端的に言うと、そうなる。どういう判定なのかはわからないが血を流しすぎたり、致命傷を負ったり、日常生活で言う死を体験すればそのように亡くなる」
「って事は、人が死なないという事ですか?」
「いや、実はそうでもないことも分かっている」
何やら少し難しそうな話になる気がしてきたのですが、
「多少の実験はしているが、寿命が近い人間をダンジョンに入れても、普通に死ぬことは分かっている。そして欠損がある人間は死んでも、欠損は治らない。何もかもが元通りと言うわけではないみたいだ」
と、一言で分かりやすく言ってくれたのでなんとなく自分の中に浮かんだのがここはもしかしたら、ゲームの世界なのでは?という疑問。
後でがーさんと話をする予定もあるので聞いてみればいいような気がしてきます。
「と、まあ、死なないという事を実感してもらうつもりだったんだよ……」
ギルド長は情報を封鎖してまでこちらを死なせようと舌みたいですが、同らやらそれ以上の事になってしまったみたいで。
かなり焦っているような顔をしています。
まあ、分かったからって命を粗末にする人間ではないのでちょっと安心はあるのですが、世の中そういう人ばかりではないもので。
確実に死なないというのは悪い事に使う人が居そうで困ります。
というのもあって、今まで秘密にしていましたがこれから先は簡単に死んでもいいようにと言う措置でこうなりました。
元々この話を書き始めたときは普通のダンジョンだったきがするのですが、あれ……どうだったかな?
見切り発車だとこうなるので怖いですねー(笑)
今回も読んでいただきありがとうございます
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誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
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