★ダンジョン216
あの後は夕飯を簡単に済ませて、お風呂に入って早い時間に就寝となったのですが、ちょっとだけ色々があって思っていたよりも遅い時間に寝ることに。
そんなことがあったのでいつも通りの起床とはならなかったのですが、念のためでかけておいた目覚ましがしっかりと活躍してくれたので寝坊するようなこともなく。
「あんなちょぴっとではチップスの味も分かりませんし、何で一食を三人で分けるなんて横暴を……」
「悪いとは思ったけどさ、思い付きが続いちゃって早くお風呂に入りたかったから仕方ないじゃない?」
「気持ちはわかりますが、たっぷり一人前をしっかりと一人で食べたかったので今夜のお夕飯でもう一度お願いしたいです」
「帰ってきたらね?」
昨日の夜に作ったのは旨辛スープ。
麺を入れればそれも美味しく、ご飯を入れてもいい感じ。
そんなスープを作ったのですが、雪平鍋一個分。
自分としては三人で食べるには十分な量だったと今でも思っているのですが、食いしん坊の二人はスープだけだとさらっと飲んでもっともっととせがまれる事に。
ですが、二人の言葉を無視するような形で思いついたことをどうしてもお風呂でやりたかったので食事をさっさと切り上げてお風呂場でソレをするとさらに賑わいを見せることに。
「おはよぉございますぅ」
「相変わらずお寝坊ですね、後輩は」
「先輩は早起きですねぇ」
「夕飯は昨日と一緒の物をお願いしたので今夜は渡しませんからね」
「先輩がとっていただけじゃないですかぁ」
二人はやいのやいのと話していますが自分はとりあえず朝食をサクッと済ませて、昨日の夜にできなかったダンジョンの支度をパパっと済ませます。
本当は昨日の夜にやるつもりだったのですが、お風呂場の一件があって用意はこの時間になってしまったのですが自分としてはかなりの手ごたえもあっていい感じのコンディション。
「顔を洗ってご飯を食べたらシャキッとしてきました。装備もつけたのでイケますよー」
自分の支度が終わるころにはタマエも支度をしっかりと済ませていて、早く帰ってきてご飯を食べたいという気の表れなのか精霊も人形を脱いでスーパーボールの状態でピカピカと準備は整っている様子。
「じゃ、行きますか」
「六十六階はオクトパーをサクッとですかね?」
「いや、面倒だからどんどん移動してさっさと次の階に進んだ方がいいかな」
「そういう考え方もありですね」
「水が迫ってくる罠があるとわかった以上、ゆっくりはしていられないからね」
「そういえばそうでしたね。ああ、一応後のそれよりも下の階についても色々と確認は出来ているので今回は安全?万全?の状態です」
「うん。ありがとう。詳しくはいつも通り階段でかな?」
「ですね」
念の為でもう一度装備の確認と食べ物の確認を。
因みに今回は凝ったものを作る時間はもちろんなかったので普通におにぎりと味噌玉、それにグラノーラバーと昨日作ったバナナチップス。
そして常備している干し肉をリュックに入れてある事を確認。
「ギルドカードもオッケーかな」
「では、出発―」
「お夕飯の為にもサクサク行きましょー」
お夕飯の為じゃなくて……普通にサクサク行きたいと言いたいところですがそこは言葉をぐっと飲みこんで頷くだけにしておいて。
「カードを」
ギルド職員さんにカードを返してもらったらいつもの感じで奥に進んで右側の転送装置に。
「じゃ、行こう」
僕の言葉にうなずく動きを二人がしてから強い光に包まれて。
光が収まると足元には水の感触。
部屋はそこまで大きくなくてアイテムはパッと見た感じはなさそうで。
「ダンジョンを駆け抜けろ!でしたっけ?今回の作戦は」
「いや、そうは言ってないけど?」
「ですがこの階はサクッと階段を見つけて進むつもりでは?」
「そうだけどね。とりあえずこの部屋は安全そうだね」
「お風呂での試みは試せそうにないですけどね」
「ですねー」
二人がそんな事を言っているのですが、気にしないで左右を見渡してみます。
「ほら、お喋りはそこまでにして階段を探すよ」
「了解です」
「はーい」
少しだけまっすぐ進むと目の前に一本の通路を発見。
「通路を早速見つけた訳だけど、二人の勘はどんな感じ?」
「微妙に嫌な感じがします」
「後輩に同じですね」
「じゃあ、この道はやめておこう」
そうなって来ると他の道を探すしかないので右か左か。
どっちかに通路があるといいのですが、どっちだろうと考えながら肩の上のタマエに確認をしてみると、
「右ですかね?なんというか今までにはなかった匂いみたいなものが感じられるのですが」
「匂い?」
「ほほぅ?」
自分と精霊の反応は結構違って。
「その匂いはレベルが上がってわかるようになった何かかもしれないので大事にした方がいいかもしれないですね」
「そういうものなの?」
「ええ。まあアレだけ私と戦いましたからね。多少経験を積めたとしてもおかしくはないでしょう」
「もしや先輩は経験値の塊?じゅるり?」
「なんですかそのじゅるりって!!!私を食べても美味しくはないですからねっ!」
「しっていますよぅ。普通の味ですもん」
「「!?」」
えぇ!?と言う表情を僕と精霊がすると、
「寝ているときにちょこっとだけ舐めてみただけです。食べていないのでノーカンです」
「……私、美味しくなくてよかった?」
「って、冗談ですよぉ」
前足をテシテシと左右に動かしてからほっぺたをポンポンとタマエが叩いてきます。
「通路、ありましたね」
「えーっと、何処までが冗談だったの?」
「全部ですよ。先輩を舐めたり食べたりするわけないじゃないですか」
そんな当たり前のことを何故といった表情でタマエが聞いてきます。
「え、あれ?冗談に聞こえないぐらい私も食いしん坊に見えているってことですか?」
「だよ?」
「です」
「そ、それは気をつけないといけないですね……。さ、とりあえず安全なうちに進みましょう?私が前を見るので通路の先に行きますね」
そう言って肩から降りて犬かきのような形でタマエが通路の先に。
「舐めるぐらいでしたら私もしたことがありますけど……なるほど結構ショックが大きいですね」
「ん?何か言った?精霊?」
「いえ、後輩の後をついてサクサク行きましょう?ほら、遅れてしまいますよ」
タマエを追いかける形で六十六階の探索をスタート。
今回のダンジョン探索も楽しんでいきましょう。
さて、今日からダンジョンです。
ココでどうにかストックを増やしたいところですが……。
頑張らないといけないですね。
ダンジョンの設定、すぐに思い出せるといいなぁ(笑)
今回も読んでいただきありがとうございます
目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです
誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




