バナナチップス
お昼が終わればやることはやったという感じ。
男女混合のバトルはシメのバトルだったみたいで皆さんもご飯とデザートが終わって観るものも見た空気があるのでそろそろ帰ると一人こぼすと皆さんも長居をして悪いという事になって皆さん帰ることに。
お腹をパンパンにした精霊とタマエにお見送りをお願いしている間に一人で厨房に戻って片付けを始めます。
「お見送りに来なくてよかったのです?」
「調理も終わって、今日僕がやらないといけないことはすべてやっているからねぇ。お見送りはお願いされているわけじゃないし無理にしなくてもいいでしょ?」
「そういうものですかねぇ?」
「まあ明日の事を考えていたらちょっと食べたい物も思いついちゃったしそれの準備をするためにも片付けを早く始めたかったのもあってね」
「食べたい物ですか?」
「そそ。グラノーラバーも減っているし、明日以降の分を作るついでにそれも作ろうかと思ってね」
「ほほぅ?」
食べ物と聞けば精霊が反応しないわけもなく。
「美味しいモノですか?」
今、うちには食いしん坊が二人いる状態なのでタマエも同じように反応します。
「スナック感覚で食べることができるからねぇ。まあ、食べればわかるさ」
「早速作りましょう!!」
「いや、その為にもまずは片付けね?」
「「はーい」」
二人も手伝う気はあるみたいなのですが、いつも以上にお腹いっぱいみたいで動きは鈍い状態で。
手を動かしながら少しだけ疑問に思ったことを確認するような形でちょっと質問してみることに。
「そういえばさ、二人は見ていなかったかもしれないけど男女混合のバトルは接近戦が多かった気がするんだけど、何故だと思う?」
もっといろいろな魔法を見ることができると思っていたのでちょっとだけ拍子抜けの気分もあったのでそれを聞いてみると、
「あー、多分でいいのであれば予想は立てられますが?」
「予想でいいから教えてくれる?」
「ええ。それでしたら単純明快です。魔法はいつでも撃てるからです」
「ん?どういうこと?」
「そのままの意味です。魔法自体はいつでも放つことができるじゃないですか?だから威力も何もある程度わかっているわけで」
「……それは当たり前じゃないの?」
「ええ。魔法はダンジョンに入れば普通に撃てますし、いつもの草原でも撃てるじゃないですか?でも接近戦によるダメージは回復がないとダメ。何度も練習できるものじゃないです」
「あー、うん、うん。なんとなくわかってきたかも」
「折角の新しい魔法の中でのバトルができるのであれば普段しないことをした方がいいじゃないですか」
「うんうん。そういう事か」
「ですです。属性付きの人たちは別に自分の属性に絞って魔法を使わないといけない決まりがあるわけでもありませんし、それこそ雅が使っているような属性の剣や鞭みたいなものを作って攻撃だって出来るわけですけど、出来るだけ長く色々と出来ることをしたいとなれば遠距離攻撃を控えて接近戦を楽しむでしょうね」
「って事は皆さんもっといろいろと魔法は使えるわけだね?」
「あったりまえじゃないですかー。腐っても属性付きの人ですよ?街一つ火でドロドロに溶かしたり、水で埋めたり。風の一撃はダンジョンでもわかっている通り簡単に四肢を吹き飛ばすことぐらいできますし、土で何かを作ればかなりの硬度を持たせることも出来るのでその場で刃物を作り放題みたいなことだって簡単です」
いわれた通りの事が目の前で起ったらそれはそれでかなりすごそうなのでやっぱりそれはそれでみたかったような気はしますが、とりあえず今日はそういうのはなかった感じ。
「よっし、洗い物終わり」
「では早速ですね?」
「何かわかりませんが、楽しみです」
何を作るのかを伝えていなかったので何が食べられるのか分かっていない二人ですが、今日の一品は簡単でそれも甘くておいしい一品。
ある程度時間はかかるのですが、その辺りもいい感じに出来るといいなと思いつつ必要な材料をとりあえず冷蔵庫から取り出します。
「バナナ?ですね?」
「そそ。これでパパっと作るよ?」
「パンケーキも美味しかったですし、牛乳と一緒に混ぜた飲み物も美味しかったですよね?」
「先輩ばかりずるいですねぇ。聞いているだけでもかなり美味しそうです」
何やら結構期待値が上がっている気がしますが、やることは簡単で。
バナナを剝いて、そのバナナをある程度の厚さにそろえてスライスするだけ。
そのバナナはクッキングシートを敷いた天板の上に等間隔で乗せていきます。
「バナナをスライスしただけですか?」
「このまま食べても美味しそうですが?」
二人の言葉を無視してこれからやるのは魔法。
「脱水」
ジャーキーを作った時にも使った魔法ですが、今日のカニを食べているときに皆さんが魔法を日常でも使えることを見せてくれてふと思い出したのがきっかけで。
魔法をかけるとどんどん水分だけが飛んでいくので一瞬とは言いませんが数分で出来上がったのは脱水で作ったバナナチップス。
「で、同じようなことをするんだけどもう一つはちょっと風味付けをしたいから……」
やることはまるっきり一緒でバナナをスライスしてクッキングシートに並べて。
今度は火を使うので焦げるのと変色を防ぐために軽くオイルを塗るか、砂糖水を塗るか、はちみつ水を塗るか。
水分が少し残りやすいように軽くコーティング。
水にこだわらずにシナモンと砂糖を混ぜたものを軽くまぶす形でももちろんオッケー。
後はこれを普通はオーブンに入れて熱するのですが、勿論いつものように今日は魔法で。
あまり火を近づけすぎると焦げてしまって。だからと言って火力が低すぎるといい感じに水分が抜けなくて。
なかなかいい塩梅でというのは難しいのですがオーブンで温度と時間を決めてスライスする厚さを均一に調整すればそこまで大きな失敗になることはほとんどありません。
魔法で炙った方もいい感じにバナナチップスに。
「作り方はほとんど一緒なのに出来上がりの感じは微妙に違いますね?」
「まあ、火を使ったのと使っていない、の差もあるし、コーティングのありなしと多少の差はね」
「早速食べ比べを」
二人共に一枚ずつ脱水したものと火で炙ったものを渡します。
「一枚ですか?」
「ダンジョン用だからね?」
「もう少し食べましょうよ?コレだけ多く作っているのですし」
「気持ちはわかるけど、じゃあ追加は二枚までね。そうしないとすぐなくなっちゃうから」
「えー、もう一声」
「だーめ」
そんな会話をしながらも出来上がりのバナナチップスを食べてみるとなかなかいい出来。
脱水の魔法で作ったものは乾燥で作ったものと一緒なので優しい甘みがじわじわと。
火で炙った方はパリッとしていてコーティングの風味があってこちらも結構な甘さ。
どっちもいい部分があるので甲乙付けづらい感じ。
「どちらも美味しいですね」
「ダンジョンに行ったら食べられるんですよね?」
「まあ、その予定だね」
「明日が楽しみです」
気が付くと結構いい時間で。
いつもであれば急いで夕飯を作らないといけないような時間ですが、お昼が長かったのもあって二人もそこまで言ってくる感じはなく。
このままゆっくり片付けができるかと思ったのですが、
「さ、片付けを手伝いますからお夕飯をお願いします」
「お願いします」
やっぱりそんなわけもなく。
簡単なお夕飯を済ませましょうかね。
バナナチップスを二種類。
所謂ドライフルーツのタイプとオーブンで水分を飛ばすタイプと。
色々なパターンがあるみたいで何が正解という事はないのですが、実は作者……シナモンがあまり得意ではなく。
食べられないわけではないので困る事はないのですが、アップルパイはシナモンなしだと凄く嬉しいタイプの人。
シナモンロールは勿論食べられますが、そこまで好きではないですね(笑)
何でシナモンの話をしたかというと、さっきシナモンがちらっとでたから。
シナモンがあまり得意でないのに?と思うかもしれませんが、好きな人は好きなわけで。
微妙に少しだけの香りだとすぐにわかる鼻をじつは持っていたり。
得意じゃないので余計気になるんですよー(笑)
今回も読んでいただきありがとうございます
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誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
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