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今日、なにつくろう  作者: 藻翰
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油淋鶏(ユーリンチー)

 少しだけ寒く感じて、目が覚めるといつもと違う場所。

「思ったよりもしっかり寝られたかな」

 目が覚めると、大きく伸びをして一回大きなあくびを。

 頭が少しぼんやりするので、しっかりと目を覚ます為にも顔を洗いたいところ。

 寝室を出て、一階へ降りて洗面所へ。

蛇口をひねれば水は出ます。

 顔を洗って、顔を拭くと眠気も吹き飛び目も覚めます。

「なるほど。コーンフレークってそういう事か」

 昨日作ったコーンフレークは袋に入れて乾燥剤を一緒に入れておいたので、適当にちぎって後は牛乳を掛けて食べるだけ。

 静かな朝食を一人食べていると少しだけ不思議な気分に。

「あ、精霊がいない?」

 昨日の夕食は一応二人で食べたのもあって一人というのは凄く久しぶりな感じ。

 自家製のフレークを一人食べていると、何処からともなく精霊が。

「おはよう。先に食べていたけど、食べる?」

 綺麗なスーパーボールは昨日と同様に縦に動きます。

 お皿にフレークを自分と同じ程度、大きいものはちぎって食べやすい大きさに。

「いただきます」

 機械音声のような無機質な声でそういうと、少しずつフレークと牛乳が減っていきます。

 こっちでの生活二日目はそんな感じに静かな朝からのスタート。


 アルバイトの時は十時半にお店に行ってお昼前までに準備を済ませて、ランチが始まったらモノを完成させて出す。そういう流れでやっていました。

 昨日は此方に来てすぐというのもあったので、知り合いも簡単なもので許してくれましたが、今日からは出来ればキッチリやりたいところ。

「今日、なにつくろう?」

 ポツリとつぶやいて、そう言えばマスターも毎日悩んでいたことを思い出します。

「思っていたよりも、毎日って大変だ……」

 知り合いが言っていたのはとりあえず五人前。

 今日は何人なのかわかりませんが、とりあえず最低でも五人前は準備が必要。

 まだ朝も早い時間ですが、考えてみるとあまり時間はありません。

「とりあえず、冷蔵庫の中身と相談しよう」

 朝食で使った食器を片付けて、厨房へ。

 お店と殆ど同じで、中身もしっかりと補充されているので何でも作り放題。

 昨日作ったナポリタンの材料もしっかり補充されていました。

 冷蔵庫を開いてたまたま目があったのは鶏肉。

「昨日は麺だったから、ご飯に合う方がイイか。だったら……」

 今日のメニューはアレにしよう。

 メインがアレなら、スープは少しさっぱりがいいかな?

 少し早いけど、考えているうちに時間は過ぎていくので早速お昼の準備をしましょう。


 まずはご飯の準備。

 お店では炊飯器と土鍋などの直火炊き。最初から自分ひとりで全部できるとは思っていないので、炊飯器を使います。

 お店ではお米を洗って一時間前後浸水をさせて、それから炊いていましたが忘れそうなので炊飯器にセットしてタイマー起動。これでお昼前にはご飯は大丈夫。

 次に作るのはスープ。

 お店の厨房のままなのでスープのストックも十分にあります。

「このストックも、後で確認しておこう」

 冷凍庫にある鶏ガラスープのストック。油と汁と分けられていて今日はこれを使ってランチのスープを作ります。

 鶏ガラスープ単体では味は薄いので塩でしっかり味付けを。

 具材は食感も欲しいのでカリフラワーとコーン辺りで。

 カリフラワーは葉っぱと茎を落として小さく小分けにして塩ゆでします。

 このままサラダに乗せて食べても美味しいのですが、今日はスープの具材。コーンと同じ大きさまで小さくしておきます。

 鶏ガラスープにコーンとカリフラワーを入れてもう一度味の確認。

 塩味の効いた鶏がらスープのいい味に、カリフラワーとコーンのいい食感。

「ふわっとした食感も入れるなら溶き卵を入れればいいかな」

 スープはこれで完成。

 メインに取り掛かりましょう。

 メインは鶏肉。とりあえず言われた通りの五人前の準備から。

 鶏はモモ肉を。厚さを均一にして塩、コショウ、お酒で下味を。

 少し漬けておきたいので、バットに置いて冷蔵庫で保管します。

 鶏肉に下味をつけている間に、タレから作りましょう。

 長ネギ、ニンニクを出来るだけ細かくみじん切りにして、生姜は皮を剥いてすりおろします。

 醤油、みりん、お酢、砂糖、ゴマ油を一緒に混ぜて、タレは出来あがり。

 お酒っぽい味がダメな場合はみりんも一度火を通して酒精を出来るだけ飛ばしてあげます。

「ん。美味しい」

 ちょっと酸っぱく辛いけど、これが後で丁度いいはず。

 後は鶏肉に片栗粉をつけて揚げ焼き。それに先程のソースをかければ完成のはず。

「精霊?精霊いる?」

 時間を見るとまだゆっくりできそうな時間。朝から見たり、見なかったりの精霊に声をかけてみます。

「ここに」

「味見してみる?」

 いつもの様に縦に精霊は動きました。

 ランチで出す予定の鶏肉とは別で少し小さめのもも肉を一枚。先程同様に塩コショウを振ってお酒を掛けて馴染ませます。

 フライパンに油を一センチ程度敷いて火にかけて油の温度を上げていきます。

 その間に下味をふった鶏肉に片栗粉を満遍なくまぶしておきます。

 皮目を下に油に投入。じゅわぁといい音が。火を少し弱めて弱火と中火の間ぐらい。皮目にこんがりといい焼き色が付くまで触りたくてもじっと我慢。

 いい焼き色が付いたらひっくり返して、大体8分前後。

 反対側にもいい焼き色が付いたらバットに取り出して油を切りながら三分前後お肉を休ませて、余熱でしっかり中まで火を入れましょう。

「そろそろいいかな」

 包丁で食べやすい大きさにザクッザクッと切って、先程作ったソースをたっぷりかければ出来上がり。

「今日のランチのメイン。油淋鶏だよ。どうぞ」

 どうぞと言いながらも自分の分も数切れ準備。味見は大事でしょう?

 精霊がすっと動くと、お肉が一部消えます。

 食べているのを確認して自分も一口。

「ん。イケるね」

 唐揚げのサクサク感と鶏肉のいい食感。そしてソースの甘辛味。

 ご飯が進みそうないい味。

「どお?」

 横を見ると精霊のお皿は空っぽ。

「気が付いたらなくなっていました」

 どうやら結構気に入ってくれたようです。




今回も読んでいただきありがとうございます

もしよければもう少し下の評価もおねがいします

目に見える形の評価、かなり嬉しいです

毎日投稿頑張ります


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― 新着の感想 ―
[良い点] 精霊がどうやって食べてるのか?がーー気になります。 かなりの食いしん坊のようなので(o^^o)
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