鳥皮焼き
昨日はがーさんも夕食を食べるとすぐに帰っていき、魔力も結構残っていたのでたっぷりのお湯で風呂を楽しんで早い時間に就寝。
早く寝られたので今朝はいつもよりも少し早めに起られたので、いつもの様に少し走ることに。
今日の気分はパンなので、南のお店に最後に寄れるようにルート構築をして軽いジョギング。この前までよりは外の温度少し下がっているので、家を出てすぐは少し寒かったのですが、走り始めて体温が上がっていくと逆に少し熱くて冷たい風が丁度いい感じ。
風を切りながら軽いジョギングも終盤。
いつものおばちゃんの所でパンを買って、家に帰ります。
「だだいま」
「おかえりなさい」
「おはよう、精霊」
「おはようございます。今朝はパンですか」
「うん。買ってきた。結構涼しくというか寒くなってきているね」
「そうなのです?寝起きする分にはあまり分かりませんが」
「まぁ、家の中は丁度いい温度に保たれているみたいだからね」
朝の挨拶をしながら、手を洗っていつも通りにパンを二つに切ったのですが、何となく今日は少しだけ温かくして食べたい気分。
「精霊はそのままでいい?」
「どういう事です?」
「いや、少しだけ温かくして食べてみるのもいいかなーって思って」
「という事は?」
「うん、そこのホットサンドメーカーで温めてみようかな」
「うーん、別に何かを足すわけではないのですよね?」
「うん。ただあっためるだけ。少しパンがカリッとなる程度だと思うよ」
「でしたら、私はそのままでいいです」
「ん、わかった」
精霊にそのまま買ってきて半分に切った分を渡して、自分の分だけをホットサンドメーカーに。
そのままだと多少具材が落ちそうですが、まあそれもいいでしょう。
真ん中に入れて軽く火で炙っていくとトーストの焼けるいい香りが。
焼きたてをそのままお皿に盛って、食べ始めるとなかなかいい味。中のチーズが少しとろけて、パンはしっかり焼けているのでパリッとして、トマトの水分がバランスを取ってくれます。
「うぅ、いい香りが雅の方からします」
「同じモノだから」
「お願いすればよかったかなぁ……」
精霊は自分の選択を少し悔やんでいるようですが、まあそのぐらいは数日以内に取り戻せると思うので、気にするほどの事でもなく。
今日は昨日のがーさんにお願いされているランチが決まっているので意外とやることは少なく。
「そう言えばお昼はがーさんに昨日頼まれていましたが、どんなものを作るのです?」
「あー、鶏を焼いてクリームソースのパスタに絡ませるんだ」
「おぉぉ、温まりそうで美味しそうですね?」
「そう言ってもらえると嬉しいね」
「まぁ、下準備でちょっとしたおつまみが出るから今日は精霊にとっては楽しいお昼かも」
「おつまみですか。楽しみですね」
お昼も結構な人数量を作る為に出て来る不要なモノの再利用なのですが、コレが実はメインよりも美味しいかもしれない一品。
やることは結構あるので朝ごはんを食べ終ったらすぐに準備を始めます。
不要なモノとして今日扱う予定なのは鶏の皮。
実際、皮を外さずに一口大に切っても何も問題は無いのですが食感を統一したいので今日は綺麗に外す予定です。
皮だけを綺麗に外して、鶏肉は一口大に切りそろえて一度冷蔵庫へしまいます。
「それは、鶏の皮ですか?」
「そそ。コレをじっくり焼くだけ」
「それがおつまみですか?」
「まぁ、ゆっくり待っていて」
「はい」
皮は大きいものは半分に。ある程度大きさを整えて、皮目を下にほんの少しだけ油を敷いて焼き始めるとフライパンにも優しい感じ。鶏の油を出しながら、結構時間はかかりますがパリッと焼けるまでじっくりと。
途中味付けで塩を軽く振って、おつまみらしく一品にするのであればタマネギのスライスを水にさらしてそれを敷いた上にカリッカリに焼きあがった鳥皮を乗せれば出来上がりの一品。
「鳥皮焼きの出来上がり」
「……皮を焼いただけですよ?」
「まぁ、イイから。そのまま食べても美味しいけど、ポン酢をかけて下のタマネギも一緒に食べてもいいから」
時間こそ結構かかりますが、味付けは単純で塩だけ。そして出ている油を使って後程今日の野菜を炒めると鶏の旨味もたっぷりとなるので、捨てることが無い一品。
パリッパリの鳥皮の塩味でせんべいのような食べ方もいいのですが、ポン酢でサッパリと皮がパリとクタの中間ぐらいの食感も中々楽しくていい感じ。
「コレは、お酒などが合いそうですね」
「まぁ、お酒のつまみだからねぇ。でも自分でこうやって使う人じゃないと食べられないから少し贅沢なおつまみだね」
「なるほど。私は普通にお肉のほうがいいですねぇ」
「そっかー。まあこの後ランチ作るからじゃあ後は我慢で」
「えー、そういう事なら頂きます」
「いいよいいよ、無理して食べないで。僕コレ好きだから」
「いえいえ、私も嫌いなわけじゃないのでいただきますよ」
精霊が分けてくれそうな空気があったのですが、そんなことにはならず。
ランチの前にちょっとしたおつまみを僕等だけで楽しんで、いざお昼。
作業を続けましょう。
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