★ダンジョン26
十七階に落ちてしまったので、すぐに行動。ゆっくりここで話は出来ないので動きながら精霊に聞くしかありません。
「パッと見る感じ敵は回りにいなさそうだけど、精霊この階には何が居る?」
「ちょっと待ってくださいね、ええと、ウォーキングパームとタートルが居る様ですね、あクロウもいますね」
ちょうどクロウがこちらへ飛んできたので、木刀を一閃。魔法をケチりたいところではありますが、色々と追い込まれていきそうな今はそんな余裕もありません。
クロウは煙となって、魔石をおとすのでそれを拾って、もう一度周りを確認。
「タートルは何となく想像が付いたから後回しで、ウォーキングパームってなに?」
名前の通りであれば、タートルはそのままで亀。動きは鈍重で防御力がありそうですが今の自分としては戦わないで済むのでありがたいぐらい。ただ、もう一匹の想像がつかないので聞いてみると、
「木です。動く木ですね」
「動く木か。もしかしてそれほど動きは素早くない?」
「本体はそれ程ですが、攻撃はそうでもないかと」
木のモンスターのようで、何とかなりそうな気がしてきます。
とりあえず一度落ち着きたいので、階段を探すような動きで敵との戦闘は最小限で行きたい所。
最初の部屋を過ぎて、通路を進むとそこには見たことのない様な木が通路を完全にとおせんぼ。木の形としては普通なのでしょうが、地面に近い部分が何本にも枝分かれした状態で箒を突き立てた状態のような感じ。
「来ますよっ」
じーっと観察をしていたわけではないのですが、うねうねと足を動かしてそれの一本が来るのかと思っていたのですが、そうではなく上の方で枝分かれした一本の枝を凄く撓らせた鞭の様な一撃を少し自分よりも高い位置からこちらへ浴びせてきます。
一テンポ遅れてしまっていたので、木刀を出すことも出来ずそのまま左腕で顔をガードするように防御をしてみると凄い音こそなりましたが、痛みは殆どなく。何とかなった様子。
「痛ったいな!」
痛みは無くとも、つい出てしまう言葉は痛いという不思議な感じですが、やられたらやり返します。木刀を腰から引き抜いて、上段に構えて次の鞭の攻撃をいなそうと思っていたのですが、すぐに来ないのでそのまま振り下ろしを一撃。
相手にもダメージが入った様で、よろけているので追撃を。
弱点部位が何処だかわからなかったのでとりあえずど真ん中を突いたところそれがとどめになった様子。煙になって極小の魔石が落ちます。
「通路に立たれると困るね」
「本当ですね。あ、一応言っておきますが……」
精霊の言葉の途中で正面からいきなりの攻撃が飛んできます。勿論避けたいのですが、直線の通路なので避けることも出来ず。
バッシャン!!
前から飛んできたのは水の魔法攻撃。さっきの鞭攻撃と一緒、左手で顔をガードするようにしてみたのですが、どうやらローブの防御力は本当に素晴らしいようで水をかけられた程度。
「進んでくださいっ」
「わかった」
次の攻撃が来る前に、通路を一気に抜けると部屋は罠が数か所と敵が二匹。
「こいつがタートル?」
「です。さっきの攻撃はタートルの水魔法攻撃です」
魔法攻撃だったのか。水をかけられた程度にしか感じなかったので問題はないのですが、ムカつくことに部屋に入った時には今の状態。今の状態というのは完全防御姿勢なのです。所謂亀の甲羅の中にすっぽりと入られてしまっています。
「コレ、攻撃通る?」
「木刀では難しいかもしれないですね。拾っていたハンマーなどで甲羅を叩けばもしかしたらもあるかもしれませんが、二体いるので隙を見せるとさっきの様に魔法を放ってきそうですね」
うむむむ、これでは此方から攻撃できそうにありません。だからと言って魔法攻撃も上手い事行く保証も無く。
「じゃあ、スルーするしかない感じか」
「ええ。今のままではそうですね」
「因みにこいつの弱点は?」
「殻の中身すべてです。首や手に一定のダメージが入れば倒せるはずです」
現在弱点の部分は全部殻の中。どうにもなりそうにありません。
仕方ないので、そのまま先へ進むことに。
チラチラと後ろを伺いながら通路へ何とか入って、直線状に居ない事を確認すると小走り程度で次の部屋へ。
「今まで何とか倒せていたけど、倒せない敵が出て来るのも嫌なものだね」
「ですか。まぁ、ダンジョンですから色々でしょう?」
「まぁね。次の部屋は、クロウとウォーキングパームか」
部屋に入ると少し奥の方でバサバサと羽音が聞こえるのでクロウを視認出来たわけではないのですが、木刀を構えるには十分。そして壁際にウォーキングパームが足をうねうねとさせながらゆっくり動いています。
「さっきの憂さ晴らしで倒させてもらうよ」
タートルには手も足も出なかったので、まさに憂さ晴らし。直線状にクロウが来たので風刃を飛ばしてクロウを倒します。するとウォーキングパームが歩みを止めて攻撃に使っていた二本の鞭の様な枝を器用に使ってクロウの魔石を巻きつけます。
「まさか!?」
スライムの様に食べられるとなれば強くなるのは必須。そうなると憂さ晴らしも上手い事行かないので慌てたのですが、鞭の様な枝は長さもあるのでこちらよりも早く行動をします。そのまま巻きつけた枝をうねうねとした足の方へ持っていくと、すぐに変化が。
ウォーキングパームの頭のてっぺんの所が枝状の形から花の蕾の様に変化していきます。
「食べられたけど、蕾まで?」
「どうやらその様ですね。次の魔石を食べられたら咲きそうですが、止めておいた方がよさそうですね」
「だね。とりあえず倒そうか」
二本の鞭状の枝は足のうねうねの辺りのままなのである意味無防備。木刀を突きの構えにして走る威力も込めた強突きをお見舞いします。一撃では倒せなかったようですがよろけて二本とも鞭が表に出てきてしまいましたが今からしなる時間は無く。
もう一度突きを一撃に横薙ぎを一撃当てると煙が出て魔石を落としました。
「ふぅ、ギリギリセーフ。食べたくせに、魔石は極小か。コレは気をつけないといけ無さそうだね」
「ですね。っと、雅アレ!!!」
精霊が何かを見つけた様子。
また厄介事でしょうか?
今回も読んでいただきありがとうございます
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誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




