★ダンジョン486
「ガーゴイルと言うものはですね、ガルグイユが元となっている水落としの名称です」
精霊が説明をしてくれたのですが、自分もタマエも首をかしげる事に。
「水落とし?」
「壁にそのまま水が落ちるとそこから悪くなるのを防ぐために付けたものですね」
「えーっと、雨樋?って事?」
「端的に言うとその通りです。まあ、色々と伝説とか起源とかを辿ると情報があるのですが、大昔に有名な川がよく氾濫していたみたいで、その氾濫を起こしていた竜の名前がガルグイユ。要はガーゴイルの語源で、それを退治して祀ったと言われていたり、退治した時に残った一部だったり、色々とあるみたいですが普通に考えれば水の属性に近いハズですよね?」
かなり色々と端折って精霊が話してくれたみたいですが、そういう語源があること自体を自分としては知らなかったので頷きを何度も返すばかりですが、今の話を聞く限りは自分としてもかなり水の属性が近い気が。
「それに門番としてのガーゴイルなどはかなり近年になってゲームなどで追加された属性みたいなものですから、アレが階段や何かを守っているという考えは間違いだと思いますよ?」
「そうなんだね」
知ったかぶりをして失敗をしてしまったような感じの空気になるわけですが、ガーゴイルはそんな事関係ないみたいで、こちらを認識した模様。
「来る?」
「多分」
「来ましたっ!!」
どうやらアクティブタイプみたいでこちらを見つけたガーゴイルはゆっくりと浮きながらこちらに向かって移動してきます。
ただ、少しだけ可哀想だったのはその移動速度。
石で出来ていると思われるガーゴイルは浮いていてゆっくりとこっちに向かって動くのですが、それは自分達が歩くスピードよりもさらに少し遅くしたようなスピードで、はっきり言ってノロノロという感じ。
「遅いですね」
「あ、でも何かしてきそうですよ?」
少しだけ首が後ろに下がったかと思うと、口を大きく開けて吐き出してきたのは水の玉。
玉のスピードは普通なので意外と簡単に避けられるのがありがたいのですが、結構水の玉は大きめでそれが地面に落ちるという事は足場がどんどん悪くなるわけで。
「微妙に嫌がらせみたいな感じで地味にやる気を削ぐという意味では最適な敵なのかな?」
「そう考えるとかなりの強敵ですね」
五発目の水の玉を避けて、一気に近づくと腰の脇差を抜いてすれ違いざまに抜刀からの横薙ぎを当てます。
しっかりと横薙ぎは当たった感触があるわけですが、切れたという感じはなくガガッとコンクリートを棒か何かで叩いたような感触が手にあるだけ。
「切れていませんね」
「かなり防御力は高いみたいですが、どうします?」
「どうします?って言われてもね……とりあえずこのままだと倒せないのなら、距離を開けようか」
脇差に魔力を少しだけ流した為、刃こぼれなどはしないで済んだわけですが手に残った感触はあまりいいモノではなく、場合によってはまた前の時みたいに修理が必要になりそうだと判断。
そして攻撃をしてきたと相手側も切られていなくても攻撃を受けた事は理解しているみたいだったので、まずは距離を開ける方向に頭の中の考えをシフトチェンジしたわけですが、多分このまま戦っても今のところいい結果につながりそうには無かったので、確認をすると行きたい方向の通路を発見。
そのまま通路に入って、すぐに風の道をつかって距離を一気に開ける事に成功します。
「ガーゴイル、予想以上に硬いね」
「ですか?」
「刃こぼれをしたくないのは刀自体もだったみたいで、刃の前に土を纏ってくれて変にはならないで済んだからよかったけど、この先に階段の気配はあるんだよね?」
「ありますね」
そのまま通路を一気に風の道で通り過ぎると、部屋の中には待望の階段が。
「最後の最後、すぐそこなのに厄介ですね」
「パッと見ただけだとガーゴイルが三体。ですが、まだ他にもいる感じですよ?」
「って事は、踏んだら罠が発動するような感じのスライムが数体?」
「多分ですが……」
と、階段が見つかったにもかかわらず今回最後の部屋になると思われる部屋は殆どモンスターハウス状態。
「あ、アレもモンスターですよね?」
「アレってどれです?」
「あの奥の、アレですよ」
通路の奥からなので部屋の中は多少見づらい状態ですが、タマエが肩の上から肉球というか爪を立てた感じで一つの方向を示してくれたので精霊と一緒にそっちを確認してみるのですが、そこには殆ど土と同じようにしか見えない、こんもりとした土が。
「土に見えるけど、タマエの言っているのってアレだよね?」
「多分、そうですが……ああ、魔力レンズを使ってみるとわかりやすいですね」
「あ、魔力で見ればいいって事?」
さっきのスライムの時と一緒で目にレンズを作ってみてみると、そこに居たのは結構大きめの……ネズミ?
「あれ、アースラットですかね?」
「鼠だと、齧るか尻尾……って尻尾がない?」
「階層に合わせて各々進化しているんでしょうね?」
すぐそこに階段があるのであと少しなのですが、どうしましょうかね?
ガーゴイルは雨樋だった……ナンダッテー!?!?!
とは、ならない気がしますが(笑)
調べてみると意外と知らない事って多い。
ガーゴイルさん本当にこの階層でよかったのか……?水の階層の方がよかったような気もしますが、多分問題ないハズ。
大丈夫、なにかあったら未来の自分がどうにかしてくれる!(笑)
作者的には門番なイメージでしたが、調べてもあまりそういう記述が見つかる事は無く雨樋でしたわー
まあ、それは置いておいて、やっと終わりが見えて来た。
料理は何がいいかなぁ?
アレもよさそうだしこれもよさそう……美味しいモノが待ってるぞぉーwww
今回も読んでいただきありがとうございます
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誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




