★ダンジョン483
出来れば緑ビンを一本、二本は残して階段に入りたかったのですが、階段までは結構な距離があり、緑ビン一つで進める量もそこまで長くなくすべてのビンを使い切ってしまう事になったのですが、無事に階段を降りる事に。
「涼しぃぃぃい」
「山は越えましたねぇ」
「ちょっとだけ長めに休憩をとろうか」
「「さんせーです」」
通常の温度である階段がとても涼しく感じるぐらい前の階層は熱かったという事が分かる訳ですが、そう考えるとやはりタマエのやってくれている火の加護は素晴らしい事が理解できます。
「火の加護のお陰だろうね?」
「火の精霊さん的にはあの階層でも何も感じないぐらいに強くなりたいらしいのですが……え?あのドラゴンが欲しい?」
「どうしたのです?」
「いえ、さっき倒したレッドドラゴンの一部を貰えればもしかすると強くなれる可能性があるって」
「私達のお肉が減るって事ですね?」
「あー、いえ、まあそうかもしれませんが……」
精霊とタマエの会話をただ普通に頷く形で聞いていたのですが、とりあえず自分も水分補給がしたかったのですぐに飲み物を飲んで、二人にも水分補給をしてもらう事に。
体の外が涼しくなって、更に内側からも涼しくなってくると多少冷静さと言うのも出て来るだろうと思っていたのですが、タマエも鍵の情報を確認したみたいで色々と別の話も出て来ることに。
「レッドドラゴンは可食部位が少ないみたいですが、精霊さんが欲しいのは別の場所らしいですよ?」
「まあ、鱗や皮、角や翼膜などは私達要りませんからね」
「じゃあ、後で帰ってからあげてもいいですかね?」
「その辺りは私ではなく雅と相談したほうがいいのでは?」
「そうでした。いいですかね?」
「まあ、別に大丈夫だと思うよ?ただ、あと一階層あるからあまり気を抜き過ぎちゃだめだと思うけど?」
「言われてみれば!」
二人的には火の階層のボスらしいボスをクリアした事により今回のダンジョン探索が終わった感覚だったみたいですが、まだダンジョンは終わっていません。
「それに次の階ってゾロ目でしょ?ゾロ目は毎回面倒というか、不思議な階層が多かったから、いい方か悪い方か分からないけど気を付けないといけないでしょ?」
「言われてみると。って、私は特殊階のモンスターでしたね?」
「ゾロ目は何というか、アトラクション的な感じの階層が多いので、今回も多分そういう感じでは?」
「まあ、とにかく気を引き締めていかないとダメそうでしょ?」
「ですね。結構頑張ったので残っている食料バンバン出してください!」
「後輩?ちゃんともしもの為に残さないとダメな事は分かっていますよね?」
「えへへ……?」
完全にタマエは忘れているみたいだったのですが、食料を出すのは自分のリュックからというのもあってその辺りの安全性は意外と簡単に確保できます。
「でも、さっきと一緒であまり考えすぎても結局踏み出してみない事には分からないわけですよね?」
「まあ、そうだろうね?」
「……だったら、パパっと行っちゃった方がいいのでは?」
「別に構わないけど、ある程度一度しっかり休めば何かあった時に動きやすくなるでしょ?」
タマエの言うように勢いで行く事も大事だと思いますが、休めるときにキッチリと休み疲れのない状態で進む方が効率的にはいいモノでもあって。
「そういう考え方もあるわけですか」
「まあ、そうだね。勢いに任せて突き進む事が良いか悪いかで言うのは正直難しいんだよね。勢いで行ったから成功することもあるし、勢いだけではどうあがいても失敗することもあるわけだから、その辺りはタイミングとか勘も必要だからねぇ」
「なるほどぉ?」
分かっているような、分かっていない様な感じのタマエの返事は納得がいっていない感じ。
「そもそもですが、勘と言うのも二種類あるのは分かります?」
「え?二種類ですか?」
精霊が人差し指を一本だけ上げながら、二本目のピースサインに指の本数を増やしながら説明を始めます。
「そう。二種類です。一つ目はそれこそ天啓のような勘ですね」
「あー、何となくコッチとか私が階段を見つけているようなアレですかね?」
「多分そうですね。じゃあもう一つは何だと思います?」
「私は今の一種類目ぐらいしかないんですけど?」
「でも、勘が働く事はあるでしょう?」
「言われてみると……無いとは言えないですね」
「その二種類目の勘は『経験』が元になる勘です」
精霊が語ってくれるのはいつもの料理の話で、ちょっとした味付けにほんの一匙の塩を入れるかどうかの話になり、慣れた味に近づける為にも塩を入れた方がいいと勘が囁くと説明をしてくれます。
「まあ、そこは勘と言うより殆ど経験でいいと思うけど、悪い事が何度も続く時に無理飲茶をしてケガをした経験がある人はこの先に無理して進んでもケガをするから引き返そうって、勘が言ってるとも言いそうだからね?」
「そういう奴です」
「ほえー」
そんな会話をしながら、しっかりと休憩をとってグダグダと喋っているのも結構楽しいのですが、タマエの言うように勢いも大事なのでこの会話が終わったら進むとしましょうか。
勘は皆さんいい方ですか?悪い方ですか?
作者はどちらかと言えば、悪い方です(笑)
いや、結構勘を頼ることが多いのですが、私多分運はいい方なので勘もいいハズなのですが……。
勘に頼るといい事あんまりありません(笑)
ちゃんといい事もあるのですが、その後にオチが付く感じですねー
あんまり行ったことない道だけど……行ってみるか→新しいお店を発見→喜んでいるうちに曇り空→家に帰る頃には土砂降り。(いつもの道で帰っていれば十分前に帰る事が出来たので濡れずに済んだのに)
つけ麺とラーメン……どっちがいいかなぁ→つけ麺好きだしつけ麵にしよう→周りの人はラーメンばかり→美味しかったー(ラーメンが有名な店だと後でググって知る事に)
などなど、そこまで損はしていないけど二択を外していくタイプです(笑)
まあ、私の勘はそうやって外れると理解しているのでその理解の上で楽しんでいる節も。
経験とか直感とか頼らない人生と言うのもいいと思うのですが、どうなんですかね?色々と外している人生を送っている気がするので(笑)まあ、これもいいんじゃないかなーって思っていたりします
今回も読んでいただきありがとうございます
目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです
誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




