ピーマンのみぞれ煮
ゆきのつゆはお客さん達を正気に戻すのに一役買ったみたいで、あの後は意外と静かに終わる事に。
まあ、女子会の話を聞いてしまった男性陣が男子会をやるぞー!と大きな声を上げ、お昼から続く二次会、三次会のような空気を醸し出した所まではよかったのですが、お昼から一向に帰ってこない為、心配をしている人も一定数居て。
ランチの途中で女性陣は連絡をしているのを確認していたので、同じように男性陣も連絡をしているものだとばかり思っていたのですが、どうやらそういう気配りは出来なかったみたいで、各自男性陣のパートナーの人達ががーさんを通じて連絡を寄越してくることに。
そこからは中々面白……悲惨……な状況になり、見ていて可哀想だと思ったのは土下座の状態で引っ張られるという荒業をその身に受ける事になっていた火の精霊付きの人。
ただ、がーさんが言うにはすぐにちゃんと治療はしてくれるいい人なんだよ?と、悪いのは何も言わない火の精霊付きの人という事に。
「なにかまた美味しいモノ作ったら、頂戴ね?」
そんな言葉を残して、がーさんも帰っていったので今度こそ一気に静かな時間に。
「なんというか、ランチが長かったですね?」
「ゆきのつゆ……おかわりを!」
「あ、後輩私ももう一杯貰います」
結局、ゆきのつゆもウチの二人がかなりの量を平らげてくれたので、残ったのは少量の天ぷらだけ。そしてその残った天ぷらもたぬきご飯にして欲しいと言われ、おにぎりにしたたぬきご飯はちょっとお腹が減った時にいい感じに食べられる明日のご飯に。
昨日はいつもとは少し違う感じのランチになったわけですが、今朝は昨日の残りもあるのでいつもとは少し違う朝食の予定で、更に折角の週末でもあって。
精霊やタマエも新しい力も手に入れたので、ダンジョンでも行こうという話になったので、いつもと同じ時間に今朝も起きた訳ですが、ダンジョンにいくなら昨日のご飯はちょうどいいかと思っていると、ウチの二人はあまりそういう遠慮みたいなことは出来ないのもあって、朝からしっかり昨日の残りをパクリ。
「美味しく食べちゃいました」
「何か別の持っていくものとか、出来ませんかね?」
いつも通りの食欲なウチの二人には驚かされるばかりですが、何かいいモノ。ついでに言えばダンジョンで食べても美味しそうなものをちょっと作る事に。
「なにつくろう?」
メインはおにぎりや味噌玉等を作った和食かサンドイッチなどの洋食が良さそうなわけですが、何となく昨日の残りを自分が全く食べられない事が引っ掛かりを覚えていたので、適当な具材を入れる形のおにぎりを何種類か作る形に。
勿論うちの二人もお手伝いをお願いして、味噌玉は茗荷入り、生姜入り、乾燥わかめ入りと三種類。面倒になってしまったら全部入れてお味噌汁を作ればどれもこれもはいっているミックスな味噌汁が出来るので、コレはこれでいいかと思ったのですが、おにぎりに味噌汁と揃っていると、あまりこれ以上欲しいと思えるものも無いモノで。
「ありゃ、ちょっと予想とは違う形になっちゃったかな?」
ダンジョンで食べるメインと汁物が出来てしまうとこれ以上は正直必要ない気もしてしまうのですが、それでも一緒に食べたいと思えるものが全くないとは思わないわけで。
何か良さそうなちょっとつまめるものは無いかと考えていると、ヒントになりそうなものは昨日のゆきのつゆ。
「タマエに手伝って貰えば、かなり簡単に出来るかな?」
思いついたものはみぞれ煮なのですが、入れるのが野菜だけになるのでウチの二人はお肉も欲しいと言いそうで。
別にお肉を入れてはいけないわけではないのですが、無い方がさっぱり食べられるモノなので入れるとしたら鶏のひき肉をボールにしたものなんかが良い感じになる気が。
とりあえず、一品でも浮かんだので形にしていきましょう。
使う材料は大根とピーマン。そしてウチの二人用に追加で入れるとしたらさっき思いついた通り鶏のひき肉。まあ、ササミ肉を湯がいて入れるのも悪くないと思いますが、食感を考えるとひき肉をボール状にする方がいいのですが、それも食べやすくしてしまう形だと少し潰れた感じに。
作り方としては、まずはピーマンを縦半分に切って中の種やワタを抜いて、ゴマ油を少しだけ敷いたフライパンでちょっと焦げ目がつく程度に焼きます。
このピーマンを焼く作業をタマエに見せてから、火の精霊さんと一緒にお願いをするわけですが、
「ゴマ油無しになっちゃいますが?」
「構わないよ」
「ちょっとの焦げ目がつけばいいんですよね?」
「そそ。頼める?」
「任せて下さい」
ピーマンはいくらあっても足りなくなると思うので、タマエにお願いをすると手持無沙汰になるのは精霊。
「私は?」
「じゃあ、こっちの味付けと昨日と同じ大根おろしだね」
「はーい」
ピーマンを焼いている間にやる事は大根をすりおろす事。
そしてすりおろした大根はピーマンを焼いていた鍋に一気に入れて、味付けは昨日多めに作っためんつゆ。
追加で少しだけさっぱりさせたいのでしょうがのすりおろしも入れて、一度沸騰させるぐらいまでぐつぐつと火を通し、後は冷ませばオッケー。
焼けたピーマンをある程度冷めたみぞれ汁に入れるといい音もなるのですが、キンキンに冷やすとこれがまた旨いのなんの。
「お肉が無いです」
「あー、入れるんだったら鶏のひき肉を練って、フライパンでちょっとボールから潰した感じにしっかりと火を通してから入れればいいよ」
「なるほど!」
やっぱりウチの二人はお肉が欲しいみたいで、追加で入れる事に。
あとは一度冷蔵庫等でしっかりと中まで冷やしてあげると、ピーマンのみぞれ煮の出来上がり。
鶏のボールも入っていますが、誤差なのであくまでこれはピーマンのみぞれ煮という事で。
「これでダンジョンに行けますね?」
「骨……出ますかね?」
「そういえば、火の階層でしたよね」
「焼き直し程度のダンジョンですから微妙でしたが……そろそろ強いのが出てくるのでは?」
「そういうフラグを立てるのは……出来ればやめてほしかったなぁ」
「そうです?強い敵、たまにはいいんじゃないですかね?」
「そうですよー。私達強くなったんですからね?」
フラグをそうやって立て続けに立てないで欲しいと思いながらも、とりあえず準備が進んでいきます。
大根おろしを使った何かがいいなーって思いまして。
みぞれ煮に落ち着きました。
ナスとかもいいんですが、ちょとだけ苦みがあって子供が取ってこないピーマン。
大人の味ぃです(笑)
取られる子供なんて居ないのですが、人に取られないモノってゆっくり食べられるので好きです。
若干、揚げびたしに近いので焼いたズッキーニとかパプリカも美味しそう。
まあ、お肉も結局今回入れましたが野菜だけだとさっぱりというか優しい味に出来上がるので、たまにはいいモノです。偶には……ですけど(笑)
作者だって、お肉があった方が嬉しいです(笑)……もしかするとあの二人は私の欲望の塊なのかもしれない?
今回も読んでいただきありがとうございます
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誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
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