ラーメン
休憩も終えて、魔法の練習を一式し終わり。
フライドポテトはそれほど盗られませんでしたが、オニオンリングは精霊も気に入ったようで、少ししか自分では食べることが出来ませんでしたが自分の料理が気に入られたこと自体は気分もいいので気にしない事に。
「これは本当に美味しいですね」
「揚げ物が好きって事?」
「いえ、まだいろいろと食べてみたわけではないので。ですが、今の所はこれが一番ですね」
座ってゆっくり食べるには丁度いいので精霊とゆっくりの時間。
「今日の夕飯はそれ以上に美味しいからね?」
「そういえば、アレを作ると言っていましたが何を作るつもりですか?」
「帰ってからのお楽しみ」
そんな話をしていると、おやつを食べたばかりなのに少しお腹も減った気がしてきます。
スクッと立ち上がって、出て来た扉に向かいます。
来た時と一緒の門番が立っているので会釈をして、扉の中へ。
出た時よりも幾分にぎわっていますが、それでもまだ夕方前。
噴水広場を抜けて、家の方に。夕方からの日の落ちは何処も一緒。
気がつけば辺りは結構暗くなっていました。
「ただいまー」
「おかえりなさい」
声に反応する様に、精霊が返事をしてくれます。
「うん、ただいま」
色々なところに行ったことはあるのですが、一人でずっとというのは殆どなかったのでやはり声に返事がある事は嬉しく感じます。
そういえば、全然気にしていなかったけれど今さっきまで家は真っ暗で家に帰ると自動的に電気がついた気がします。
「ねえ、精霊がこの明かりとかつけてくれているの?」
「私ではありませんが、家憑きの精霊がやってくれています」
え?ここって幽霊屋敷みたいなやつだったの?
「家憑きの精霊?」
思わず聞いてみます。
「この間質問された電気の為の雷の精霊などですね。この家には他にも調理場や風呂場などは水や火。窓の辺りには風。家自体は土の精霊によって守られています」
気が付かないうちに色々な精霊に手助けしてもらっていたことを初めて認識することに。
「精霊みたいに見えたりはしないの?」
「必要となれば、姿を現すかと思います。別段嫌われているわけでもないので、そのうちひょっこりと出てくると思いますので、気長にお待ちください」
精霊がそういうのであればまあ、そういう事なのだと思って今後もしっかり“ただいま”や“いってきます”を言う事を忘れないようにしようと思います。
「そっか。ありがとう」
「いえ」
そっけない返事ながらも、精霊は少しだけ気分が上がっているのかいつもより柔らかい足取り(浮いているのに?)に見えるのは気のせいでしょうか?
手を洗って、先に夕飯の準備。
といっても作るものはいたってシンプル。
鶏肉を茹でていた肉とスープをもう一度火にかけて一度温かくします。
その間に用意するのは中華麺と卵ともやし。
そう、今日の夕食はラーメン。ゆで汁でスープを使ったうどんやおじやも思いついたのですが、鶏のスープといえばやっぱりラーメン。
別の鍋を用意して、まずはもやしをお湯に通してサッとゆでて面倒なのでそのお湯で茹で卵も作ってしまいます。
茹で卵はタイマーで中を半熟になる程度に時間をセット。
この鳥のゆで汁だけでは味が薄いのは分かっているので、この間同様にガラスープのストックを少し使って、一気に作っていきます。
ドンブリを用意したら、まずは醤油、次にオイスターソース、ガラスープのストックを製氷皿でいう一粒分入れて、生姜のすりおろしとニンニクも少しだけすりおろしを最後に香り付けのごま油も入れたら準備完了。
「あとはここに茹で汁をいれたらスープはオッケー」
麺を茹でて、タイミングを計って作るだけ。
先に茹でたもやしを分けて、ゆで卵の殻を剥いておきます。
「精霊、そろそろだからねー」
「準備は完璧です」
一声かけて、後は仕上げ。
茹でた鶏肉は味こそありませんが、汁に浸して食べれば鶏チャーシュー。
スライスしてもやしと一緒に後でトッピングに。
指さしをしながらもう一度確認して、麺を茹でます。
茹で始めたら、残り三十秒ぐらいで鶏の茹で汁をドンブリに入れてさっとひと混ぜ。スープを完成させて、その流れのまま麺をお湯から上げて、水切りをしてドンブリに。トッピングはもやし、ゆで卵、鶏チャーシュー。
「さ、出来たよ。すぐ食べよう」
「はい」
「「いただきます」」
まずはスープを一口。
ガラスープも入れたので味はくっきり。ベースの醤油もニンニクや生姜で味が複雑化してオイスターソースのコクがちょっと本格的。
そのまま麺を啜ると、ゴマ油のいい香りが口に広がります。
「んまい」
シャキシャキのもやし、鶏チャーシューは味が無いのですがそれが逆に噛むと肉の旨味になっていいアクセント。
卵は半熟で中身がトロッと出てくるのはやっぱり最高。
気がつけば結構な勢いでラーメンは無くなって。
「美味かったぁ」
途中でコショウを少し入れて味の変化でもと最初は思っていたのですが、お腹の減りもあってか何もすることなく一気に食べきってしまう事に。
ふぅと肩で大きく息を吐くと、隣の精霊もお腹いっぱいな感じを表現していて、ドンブリを見ると中身は空っぽ。
「美味しかった?」
「この料理名は?」
「ラーメン。もっと美味しいのもあるよ」
「最高ですね。オニオンリングが二位に落ちました」
順位変動の早いことで。
夕食も終えると後はゆっくり時間。
バスタブ大の水を作って、火を入れて温めて。
「ねぇ、精霊。こんな感じでやれば調理も出来る?」
「そうですね。そろそろできるかと」
昼間の練習でも分かったけど、火はかなり難しい感じ。
「コーンフレークってそういう事か……」
マスターの言いたかったことが少しだけ分かった気がしました。
今回も読んでいただきありがとうございます
もしよければもう少し下の☆評価もおねがいします
目に見える形の評価、かなり嬉しいです
ブックマーク等をしてくださった方も重ねてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




