表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日、なにつくろう  作者: 藻翰
1036/1753

★ダンジョン333


「ちょっと多すぎるぐらいですよね。この状態」

「精霊もそう思う?」

「私もそう思いますー」


 まだ九十五階に着いて一歩もう動いていないので安心の状況でマップを確認しながら三人で会話を始めます。


「とりあえず階段の位置ですけど……」

「遠いよね」

「ですよねー」


 丁度一つ前の階の反動かと思う位部屋は遠くて、通路を六つ程抜けないと階段にたどり着けそうになく、更にその階段への最短ルートは赤いマークが沢山ある形。


「戦闘は必須だろうけど、ちょっとねぇ」

「これの真ん中を突っ切るのはちょっと……無謀ですよね」


 赤いマークは二つや三つかたまっているものが多くて、各部屋で結構距離を取り合っていることが多い感じ。

 そして、どのルートを使ったとしても確実に数回は戦う必要がある状態に変わりはなくて。


「さっきの階と違って、碁盤の目のような網目状にマップがあるからダメだったら別のルートって出来そうだけど……」

「それでも、ですね」


 そんな状態のマップをみんなで確認して、この後の動きを確認。


「最短ルート、風の道使ってダダダッと行く?」

「もしくは、状況確認しながら都度、都度、でルート変更ですかね」


 自分と精霊がそんな感じに言うと、


「面倒なので最初からこのルートって決めて、駄目だったらちょこちょこ帰るのはどうです?」


 タマエが折衷案を出してくれます。


「「じゃあ、それで」」


 という感じに、タマエの案に決まったらあとは動くだけ。

 とりあえず今いる位置は右下って感じで、ゴールは左上。西と北や左と上に向かって移動すればその内ゴールなのですが、


「あまり北へ行きすぎると駄目ですからね」

「だよね」


 端から端への移動だとどちらか一方の手を付けるほど一気に壁まで移動すればいい感じですが、今回はかなり広めでそう言う感じでもない為、あまり上や左へ行きすぎても戻らないといけない形。


「とりあえず今の所敵が少ない西へ向かえばいいかな?」

「ですかね」


 そんな感じに行く方向がきまったら一歩目を踏み出します。

 二人はいつも通りに肩に乗って、ある程度歩きながらも敵に合う前に移動したいので通路は風の道を使って出来る限りの高速移動。

 幸いな事に碁盤の目のようなマップは通路の位置も大体真ん中で多少のずれはあっても通路も真っすぐばかりなので困ることは無く、二つ目の部屋まではすぐに移動が出来ます。


「居ますね」

「イヤーラビットですね」


 精霊とタマエが同時に言うと、一番前のイヤーラビットは耳をぴくぴくと動かしてこちらを探知。ガルルルと草食動物らしからぬ唸り声をあげます。


「アレ、本当にウサギ?」

「ですよ?」

「目が血走っていて、可愛くないです」


 唸り声が吠えに近い形に変わると、後ろに居た二体がさながらロケットのような感じに耳を前に突っ込んできます。

 真っすぐの軌道でそれは避けられると思いながらサイドステップで避けると、そのまま自分達を狙ったイヤーラビットは壁に激突。


「お馬鹿さんですね」

「あれだとダメージも自爆であるのでは?」


 二人がそんな事を言っているのですが、ダンジョンの壁に当たっていた煙が晴れるとダメージを受けた様子はなく、ダンジョンの壁に大きな凹みがあるだけという結構恐ろしい状態に。


「ただのウサギじゃないよね」

「ロップイヤーラビットの色違いの癖に、ヤバいですね」

「当たったら穴が開いちゃいそうです」


 三者三様の言葉を口にしながら、すぐに土の脇差を抜いて前出すと唸り声は小さくなって、こちらを伺う様子。


「もしかして、かなり頭いいかもしれない?」

「まあ、この階層に居る時点で馬鹿じゃないかもしれないですけど」

「あの大きさでとなると、厄介ですね」


 イヤーラビットの大きさはタマエとほとんど変わらず、耳が長い分イヤーラビットの方が大きそうな感じに見えますが、ウチのタマエの尻尾も同じような長さなので多分一番いい例えのはず。

 それが避ける事が出来たとはいえある程度の速さで突っ込んでくるわけで。


「奇しくも三対三ですね」

「一人一体でやってみる?」

「構いませんけど、二人が足を引っ張るとしか思えませんが?」

「「ん?」」


 そんな安い挑発に乗るつもりはないのですが、話の流れ的にもちょっと最近精霊は調子に乗り過ぎているような気もするもので。


「じゃあ、先に倒した人が偉いって事でっ!」

「あっ、後輩っ!!」

「早い者勝ちねっ!」

「雅までっ!?」


 先陣を切ったのはタマエで一番前に居たイヤーラビットへ向かって自分の肩を蹴るようにして飛び出し、それを確認した自分が壁に突っ込んだイヤーラビットへ向かいます。


「でしたら、私は残りのこいつを」


 ウチの精霊はそう言う部分は分かって(・・・・)いるタイプのキャラなので、残りの一体へ肩を蹴って飛び出しながら、その勢いを使って出合い頭の一撃を狙います。

 ただ、イヤーラビットもやられるつもりはもちろんない為、精霊の一撃は地面を蹴るサイドステップのような形で避けて、更に避けた反動で最初の一体目と一緒の耳を前に突っ込む動き。


「先ほどそれはみましたよっ!」


 その声は結構大きく、自分もタマエも更には自分達の相手である他の二体のイヤーラビットも思わず精霊を見てしまうと、ロケットの様に突っ込むイヤーラビットをギリギリの位置で避け……る、だけではなくその耳を掴んで空中でくるりと一回転しながら、地面へ叩きつけます。


「ふふん。これが背負い投げですよ」


 かなり得意気な精霊が格好をつけます。





突っ込んでくるタイプのモンスターが出た時点でなんとなく予想がついていたかもしれませんが、そんな感じになりました(笑)


実際、ものが飛んできたらそれを持ってその力を逃がしつつ叩きつけるというのはまあ、ギリギリ出来ない事ではないかと思いましたが、遠心力を逃がすので見た目以上にダメージは少ない気がしますが……。


でも、格好いいので採用。


格好いいは正義です。

あれ?可愛いが正義だっけ?

正義は一杯あるので、あんまり好きじゃありませんが人に迷惑をかけない正義いいなぁ。

まぁ、人間一人、生きるだけで誰にも迷惑をかけないというのは不可能に近いので、なるべく迷惑をかけないとかが一番いい正義なのかもしれない……。



今回も読んでいただきありがとうございます

目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです

誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません

改めてありがとうございます

毎日投稿頑張ります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ