★ダンジョン331
多分、毒無しのミストドラゴンになったはずなのですが念には念を入れた方がいいという気持ちは自分ばかりではなかったみたいで、
「念のため血を抜きましょう」
精霊がそう言うので頷くと、スパッと切れた首の所にある血管を右手で精霊が触ります。
「念のためですから」
そう言って精霊は自分の属性である雷をパリパリと血に流します。
「あー、もしかして?ソレ?」
「です。血が無ければいいハズですから」
言いながらミストドラゴンの血管に雷を流しているみたいで、パリパリと精霊の髪の毛は逆立って、少しだけ雷のせいで血管の一部が焦げているのかシューという音や煙が出て来ることに。
「……思っていたようには出来ないものですね」
「まあ、コレで血をある程度蒸発させたわけでしょう?」
「ですです。解毒剤だけで多分大丈夫だとは思うのですが、念の為ですね」
そして精霊のその行動を見て一番喜んでいるのはタマエ。
「コレで、ミストドラゴンのお肉もゲットですね」
「ミノタウロスにミストドラゴン……。美味しいご飯というより美味しい素材がたっぷりです」
そんな感じに話をしているのですが、すっかり右手のスワローの事を忘れていたのでサクッと痛みを感じないように注意をしながらスワローも倒してリュックに入れて、ミストドラゴンも同じようにリュックに入れようとしたのですが、
「雅、待ってください。このミストドラゴンは念の為私が預かってもいいですか?」
「それは構わないけど?」
「一応腐ったミストドラゴンがそっちに入っているので、二匹がなかで当たることは無いと思うのですが、念の為で」
「ん。じゃあ、お願いね」
二匹目のミストドラゴンは精霊に任せる事にして、タマエが倒してくれたスワローと右手のスワローをリュックに仕舞ったら後は進むだけ。
「部屋をあと少し抜ければこの階層も終わりですね」
「ミストドラゴンが思いの外簡単に倒せたのは良かったですね」
「そういえば、あんなこといつの間に思い付いたのです?」
次の部屋への移動準備をしながら会話を続けているとそんな質問をされて、
「速度低下のフンを食らった時に、こっちが食らうって事はあっちも同じことになるとすればかなり攻略が楽になるかなーって」
「で、実行してみたらイケた?と」
「そんな感じかな。でも、つかめるとは思ったけどその後がどうにもならないかって一度はあきらめそうになったんだけど、属性がほら、この脇差は一緒だからもしかしたらでやってみたら……」
「出来てしまったわけですか」
「だねー」
「凄いですー」
会話をしているうちに動ける準備が整ったので、後は部屋移動なのですがどうやらミストドラゴンを倒したことはスワロー達も分かっているみたいで、次の部屋もさらに次の階段の部屋もスワローは何もしていないのにマップを確認すると逃げていきます。
「ミストドラゴンと共生しているからこそ、それを倒すという事は……って事かな?」
「多分、でしょうね」
「最初から攻撃しなければいいだけだと思うんですけどねー」
タマエが辛辣な言葉を言いますが誰もそれを否定はせず。
結局そのまま他の敵に合うことなく階段に到着。
「ちょっとゆっくり休憩をしましょうか」
「ん。そうだね」
「ご飯におやつー」
そのまま安全な道を進んで階段に入ったらいつも通りに三段ほど降りてから、腰を下ろして休憩を取ります。
「ラップサンド下さいー」
「私は甘い物を」
二人共お腹が減っていたみたいで食事を初めたので自分も少々とラップサンドをまずは食べ、少しだけ残しておいたラングドシャやメレンゲも取り出すと、二人が目敏くそれをみつけて分ける事に。
「この間作っていた時にコソコソと何かしていた感じはありましたが、こういう事でしたか」
「ダンジョンでの疲れにこの甘さは沁みますぅ」
いつの間にかラップサンドを食べ終えていたタマエも甘い物を早速食べ始めている状態。
いつも以上にちょっと多めに休憩を取っている事に多少の違和感を覚えていたのでちらりと精霊の方を見てみると、何やらやはり少し思うところはあったみたいで、
「その様子だと、気が付きましたか?」
「ん。何かこの先有るんでしょ?」
「あるというよりは、情報の信用性が無い感じです」
「情報の信用性が無い?」
「ええ。先ほどのスワローもそうでしたが、あれほどの多彩な攻撃や連携をする話は聞いていませんし、あんなデバフを使えることが情報として上がっていないこと自体がおかしいのです」
「まあ、ある程度隠したいとかそういう気持ちが誰かしら煮あったとかそういう事じゃないの?」
「その可能性も考えられますが、生きる為のダンジョンで隠す必要性があるかと言われると正直微妙で、死んでも結局生き返りますしその可能性は限りなく低いハズなんです」
「そうなって来ると、精霊としてはどう思っている訳?」
「ギルドで集めた情報があまり役に立たなくなる可能性が高い気がします」
「そう言う感じかー」
「え、あれ?でも基本的にご主人はあまり私達に情報を聞かないので、それっていつも通りじゃないんです?」
二人の会話にするっと入って来たのはタマエで、さらっとそんな感じに言われてしまうと正直否定は出来なくて。
「言われてみると、雅は結構無謀でしたね」
「ですです。いきなりスワローを掴むような非常識なご主人ですから」
「なかなかの言われようだね」
思わず笑ってしまいますが、どうやらこの先は情報通りとは行かないみたいです。
勝てばいいんです。ええ……。
スポーツをやる人達からは非難轟轟になるかもしれませんが、物事に置いてはそう思う事もしばしば。
ルールの上で勝てばいいだけなので、ルールに抵触しそうなギリギリを責めるのもある意味ありなのかなぁと。
それでもルールというものが追いかけてくるイメージですが、
そして、勝てばいいだけの気持ちで勝ち続ける先には多分、正直「何もない」と思います。
ただただ実力で、相手に敬いの精神でもってかつから「楽しい」のであり「憧れ」があるわけで。
まあ、命のやり取りなどその場合の限りではないときは違うと思いますけど。
今日もどっちつかずな意見。
ちょっと疲れているのかな?(笑)
今回も読んでいただきありがとうございます
目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです
誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




