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異世界転生した俺が転生した俺が転生した俺が転生した俺が転生した俺が転生した話。

 時は令和、場所は日本。

 お約束のようにトラックに轢かれた俺は、これまたお約束のように何やかやあって異世界に転生した。

 何やかやというのは女神様的な存在に、力を与えましょう的なことを言われたということなのだが、気づけば俺は如何にもファンタジーっぽい世界に居たのだ。


「これ、流れ的にモンスターにエンカウントするんじゃない?」


 すくすく育って三歳になった頃、俺はこっそり家を抜け出して森へと探検に出かけた。

 その際のポツリと呟いた言葉が聞こえたのかどうかは定かでないが、直後にガサガサと音を立てて現れた影が一つ。

 それはまた定番中の定番、スライムだった。


「ふふ。魔法、特技、チートスキル。俺にはいったい何ができるんだろう。」


 期待に胸を膨らませた俺。

 そこに、 スライムのこうげき ▼

 おれは ち か ら つ き た 。


 ……いや、ぼかすのは止めよう。

 俺は死んだのだ。スライムの一撃で。

 ――教訓その一、好奇心から危険に首を突っ込むのは止めましょう。



 ところが自分の死を自覚した次の瞬間、俺は先ほどとは異なり見知らぬ室内に居た。

 そこでは目の前に慈愛に満ちた女性の顔が見え、俺はピンときた。

 あ、これ、もしかしてまた転生したのか、と。


「ねぇ、一緒に遊びましょうよ。」


「ダメ!今日は私と一緒に遊ぶの!」


「あはは、困ったなあ。」


 今度は危険なことはしないぞと心に誓ってはや五年。

 その代わりと言っては何だが、俺は五歳児ながらにモテモテだった。

 精神年齢が離れていることもあり、流石に幼女に俺への好意を持たせるには色々と疲れることもあったが、先行投資だ。

 こういう積み重ねが俺の未来のハーレムの基盤を築くのだ。


「おまえはいらん、死ね。」


 そんな不純なことを考えていた罰が当たったとでも言うのだろうか。

 仲良くしていた幼女の誘拐に巻き込まれ、邪魔者である俺が殺されるまではあっという間の出来事だった。

 ――教訓その二、特別を求めず普通に生きましょう。



 ……だが、その後も俺は死に続けた。

 そして、転生し続けた。

 もう、死ぬのは嫌だ。転生するのも嫌だ。

 異世界転生した俺が、転生した俺が、転生した俺が、転生した俺が、転生した俺が、転生した後からはもう数えるのも止めた。


 嗚呼、最初のあの女神様的な存在は、女神ではなく悪魔だったのかもしれない。

 なら、あの時与えられたのは、力なんかじゃあない。

 それはきっと――――


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