主人公はリア充(呪)
「じゃあ仕方ないわね・・・不幸な話しなさいよ」
「不幸な話?」
「うん、わたし、人の不幸な話大好きなの!」
笑顔でそういうクズ・・・いや、幽霊。
「僕そのものが不幸な人間です」
「えっ、なに?あんた不幸なの?
じゃあ不幸話一つや二つあるでしょ?
話してごらんなさいよ」
ニヤニヤと笑うむかつく顔が自然と浮かぶ。
「5年前、俺以外、家族全員が殺人鬼に殺された」
「えーーーまじわ、わら・・・笑えないんですけど・・・」
さすがのクズもこれは笑えないらしい。
「そ、その犯人は見つかったの?」
「見つかっていない」
「そんな・・・えっと、あの、ごめん」
へこむ幽霊。
「・・・いいんだ」
「ほんとにごめんね?」
「・・・いいよ」
「ほんとのほんとに?」
「うん」
「ほんと?」
このくだり、いつまで続ければいいのか。
まあ、事実家族は5年前に殺された。
僕が公園で友達と遊んでいるときに。
何者かに襲われたのだ。
そして帰ったとき、僕は家族の死体をみた。
肉の塊のようで、家族と一瞬認識できなかった。
あの熱くこもった嫌な臭いは、今も忘れられない。
「っていうか、なんだかしらけちゃったわね。
話す気分じゃなくなったわ。今日はもう電話切るわね。
明日もかけるから絶対に出なさいよね」
「明日はちょっと」
「なんでよ!」
「彼女の家に泊まりで」
「殺す」
電話からきこえる声は、さきほどと違う。
どすのきいた声だった。
「え?」
「あなた今すぐ殺すわ」
「あのー、メリーさん?」
「彼女もちのリア充とかまじ死ね!バーカバーカ!」
そして、勝手にメリーは電話を切った。
一体なんなんだ。