あなたと私はお友達
「え、いや・・・その・・・どういうこと?」
僕がそう尋ねると、電話の相手はふふふと笑った。
「どういうこともないわ、そういうことよ」
そんな自信満々に言われても
意味がわからん・・・・・・。
「あ、あなたは、わたしの友達になったの。まったくなにを言わせるの」
「と、ともだち・・・?」
「そうよ!光栄に思いなさい、この天下の幽霊メリー様が、あなたの友達になってあげるの」
いや、なにをいってるんだ、コイツ。
「もし切ったら、あなたは死ぬ。わかってるわね?」
わかってるもなにも、こんなの脅迫じゃないか。
「・・・はあ」
ため息しかでない。
「そうと決まったら、話しなさいよ」
「なにを?」
「おもしろい話しよ!ほら、早く!」
「えぇ」
丸投げかよ!・・・しかも、幽霊が面白がる面白い話ってなんだよ。
僕はしばらく考える。
「えーっと、じゃあ一発芸をひとつ」
「なになに!一発芸って!ワクワク」
「3の倍数になると、アホになります。
では・・・1、2、さーーーんっ」
「・・・・・・アホなの?」
いや、そういう芸だから。
真面目に突っ込まないでくれよ。
「それで、あんた、面白い話の一つや二つもないわけ?」
「いや、僕芸人じゃないし、そんなすぐに面白い話なんて思いつかないよ」
「はん、本当使えない人間ね」
「そういうあなたは、面白い話しの一つや二つ、あるんですか?」
「もっちろん、あるわよ!」
自信満々に答えるが、嫌な予感しかしない。
しかし、これはきかざるおえないだろう。
「こほん・・・・・・。この前、真っ暗な公園でいちゃいちゃしている、くそカップルがいたのよぉ!!
ムカつくからぁ、その二人のうちの一人に電話かけたの。ぷーくすくす。ああ、落ちが面白すぎて今考えただけでも笑える」
こいつの話し方は一体何なのだろうか。
「そしたら、男の方がぁあああ超びびっちゃってぇええ、漏らしたのぉお、でゅふふふうっっっふ!
くそビッチは、それをみて幻滅して帰っていったわ。まじざまあああああああああああ。ぷーくすくす」
相当カップルが嫌いらしい。
本当は疫病神とかなにかじゃないのだろうか。
「・・・・あはは」
一応笑っているふりをする。
「はあ、人間のくせにこれぐらい面白い話ししなさいよね?」
「ああ・・・はい」
今すぐ電話を切りたい。